筋トレ後には、具だくさんで滋味深い鍋がトレーニング効果をアップさせる。全4回でお届けする【マッスル鍋】企画、第1回は「タンパク質たっぷり編」。「海鮮もりもりアクアパッツァ鍋」のほか、食べ慣れたおでんに一手間加えた新定番おでんなど、5つのレシピを紹介。
筋トレ後のプロテインもいいけれど、筋肉をつけるには必要な栄養素を毎日の食事から摂取したい。
「腸の消化吸収を高めてタンパク質の合成を促すには、タンパク源と一緒に温かいものを食べるといいんです。つまり鍋は最強のマッスルチャージ飯。魚介類に多く含まれるタウリンや、味のアクセントとなる生姜や唐辛子には血液循環を促す効果もあるので、相乗効果で温まり筋肉がリラックスします」(管理栄養士・平野實希さん)
紹介するレシピは、タンパク質多め、つまり体重1㎏につき1.5gのタンパク質(体重70kgなら105g)の1食分を設定。さらに、タンパク質の合成に必要な亜鉛、ビタミンC、B群もバランスよく摂れるものばかり。
今回は「タンパク質たっぷり編」と称して、40g前後のタンパク質が摂れる5つのレシピ。どれも簡単なので、お試しあれ。
1. 「海鮮もりもりアクアパッツァ鍋」
目で見て楽しめ、栄養満点。 彩り豊かな魚介鍋
魚介類をトマトとともに煮込んだアクアパッツァは、イタリア南部に古くから伝わる料理。オリーブオイルと白ワインをかけて蒸し煮にするのが一般的だが、今回は水を入れ鍋仕立てに。キャベツからも水分が出るので、魚介と野菜の旨味が凝縮したスープまで美味しくいただける。魚は切り身を使えば、なお簡単。
材料(2人分)
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魚小…2尾
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アサリ…1パック(200g)
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イカ…1杯
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キャベツ…1/4玉
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セロリ…1本
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ミニトマト…8個
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ブラックオリーブ…8粒
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ニンニク(みじん切り)…1かけ
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アンチョビ(みじん切り)…2枚
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オリーブオイル…大さじ1
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唐辛子…1本
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ローリエ…1枚
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白ワイン…1/2カップ
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水…1カップ
作り方
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鍋にオリーブオイルと下処理した魚を入れて火にかけ、表面を焼き、鍋を傾けて油を集めたところにニンニクとアンチョビを加えて香りを出し、唐辛子、ローリエ、アサリと食べやすく切ったイカ、キャベツ、セロリとブラックオリーブ、ミニトマトを加え、白ワインと水を注ぎ蓋をして煮る。
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沸騰したら火を弱めて5分煮る。
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煮汁を回しかけ、盛り付け直す。
2. 「鶏×魚×大豆×卵のおでん」
これからの定番! 鶏手羽元をプラスしたスタミナおでん
いつものおでんに鶏手羽元を加えた、〆いらずのボリューム満点鍋。一つひとつが主役級の具材たちは、鶏の旨味を吸うことで一層贅沢な味わいに。さつま揚げやちくわなどの練り物は放り込めばいいだけの簡単さに加え低脂肪と、優秀! 前日に作っておけば、味が染みていっそうおいしくいただける。
材料(2人分)
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鶏手羽元(ドラム)…4本
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大根2㎝厚さ…2枚
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酢…大さじ1
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茹で卵…2個
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厚揚げ…1枚
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ちくわ…1本
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さつま揚げ…1枚
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こんにゃく…1枚
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小松菜(長さ4cm)…4株
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鰹節…10g
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水…4カップ
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昆布…10cm
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麺つゆ(市販)…大さじ2
作り方
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前の日から昆布と水を保存容器に入れて昆布だしを取っておく。
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鍋に切れ目を入れた鶏肉と大根を入れ、麺つゆと酢各大さじ1、昆布だし1カップ分を加えて蓋をして火にかける。蒸気が出たら、火を弱めて10分蒸し煮する。
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厚揚げとちくわ、さつま揚げ、こんにゃくは食べやすく切り、だしを取った昆布は結び昆布にして、茹で卵と一緒に(2)に加え、残りの昆布だしでひたひたにして20分煮る。
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鰹節を1か所に入れ、残りの麺つゆを加え、煮汁をかけながら、濃い鰹のだしにする。
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最後に洗った小松菜をさっと加える。
3.「ラムと大豆のタジン鍋」
カレーの香りとニンニクパワーで食欲全開!
とんがり帽のような形をしたタジン鍋で、肉や野菜を煮込んだ北アフリカの郷土料理。自宅にタジン鍋がないという人はフッ素樹脂加工の深いフライパンでも代用可。ただしその場合は蓋に蒸気穴が開いているものが多いので、具材を焦げつかせないためにも水を少し加えるのがコツ。ラムの代わりに豚肉や牛肉、鶏肉、魚でもOK。
材料(1人分)
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ラム(スライスかチョップ)…150g
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水煮大豆(パック)…50g
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ブロッコリー…1/3本
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ジャガイモ…1個
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トマト水煮缶(ダイス)…1/3缶
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玉ネギ(スライス)…1/4個
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ニンニク(半分に切る)…1かけ
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オリーブオイル…大さじ1
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白ワイン…大さじ1
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レーズン…大さじ1
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グリーンオリーブ…4粒
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塩、コショウ、カレー粉…各少々
作り方
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ラムと大豆は塩・コショウ・カレー粉をまぶす。
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ジャガイモは1cm厚さに切り、ブロッコリーは小房に分ける。
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鍋に玉ネギ、ニンニクとオリーブオイルを入れて塩・コショウ・カレー粉を振り、炒める。
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ジャガイモを鍋底に敷き、炒めた玉ネギ、ラム肉、大豆、トマト缶、白ワイン、レーズン、オリーブを乗せて蓋をして煮る。
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沸騰したら火を弱めて10分蒸し煮して、蓋を開けてブロッコリーを加えて、塩・コショウをかけ、蓋をして2分火にかける。
4. 「エビと高野豆腐のゴマ豆乳鍋」
高野豆腐が豆乳をたっぷり吸って鍋の主役に大変身
高野豆腐はアミノ酸の宝庫。さらにカルシウムを骨に沈着させる役割を持つビタミンKが豊富に含まれており、丈夫な骨を作るためには欠かせない食材なのだ。そんな高野豆腐をふわふわの食感に戻すには、沸騰した湯で煮るのがポイント。〆は大根やニンジンをリボン状にしたものを投入し、麺に見立てていただきたい。
材料(1人分)
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高野豆腐…2枚
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水…3カップ
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エビ(背わたを取る)…4尾
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豆乳…1カップ
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練りゴマ…大さじ1
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昆布茶…小さじ1
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麺つゆ…大さじ2
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みりん…大さじ1
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シメジ…1/2パック
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大根(リボン状)…1/8本
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ニンジン(リボン状)…1/4本
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水菜(長さ5cm)…1株
作り方
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鍋に湯を沸かし、高野豆腐を入れて蓋をして火を弱め、2分煮る。
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エビは背わたを取り除き、練りゴマ、昆布茶を加えて溶かし、麺つゆ、みりん、豆乳を加えて混ぜ、小房に分けたシメジ、大根、ニンジン、水菜を盛り付ける。
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蓋をして2分で出来上がり。
5. 「豚肉の中華風草鍋」
するめエキスを吸った葉野菜たちを肉で巻いて頰張りたい
葉野菜をこれでもかというほど盛り付けた草鍋は、一度にたくさんの野菜が食べられると最近人気を集めている。この鍋の味の決め手となるのが、豚肉や豆腐に劣らぬタンパク質量を誇るするめ。だしの取り方はいたって簡単で、カットするめを一晩水に漬けておくだけ。風味をプラスするために、好みで香菜を加えるのもいい。
材料(1人分)
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豚肩ロース薄切り肉…70g
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木綿豆腐…1/2丁
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するめ(おつまみのもので可)…20g
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中華スープの素…小さじ1
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生姜(スライス)…5枚
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長ネギ(ぶつ切り)…1/4本
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水…2カップ
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青梗菜…2株
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セロリ…1本
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豆苗…1/2袋
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塩、コショウ…各少々
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食べるラー油…適宜
作り方
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鍋にするめと水を入れ、一晩漬けておき、中華スープの素、ネギと生姜を加える。
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豆腐、野菜を食べやすい大きさに切る。
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(1)に豆腐、たっぷりの野菜と肉を盛り付ける。
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蓋をして火にかける。
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塩・コショウで好みに味を調える。アクセントに食べるラー油をかける。
取材・文/黒澤祐美 撮影/山城健朗 スタイリスト/矢口紀子 料理製作/平野實希(管理栄養士、〈食デザイナー〉代表)
(初出『Tarzan』No.710・2017年1月6日発売)
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