RUN
2018.10.11

トレイルラニングってなに?

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雑誌『ターザン』のトレラン専門ページは13年前から掲載が始まりました。初心者のためのトレイルガイド「トレイルランキング」というタイトルでした、国内はもちろん海外にも出かけて実走調査、そのアーカイブはすでに500コースを超えています。

そしてレースを取材し、自らも出場し、世界トップの大会を目指す読者代表「チームターザン」を作りました。そしていま、タイトルは「ターザントレイルズ」、初心者のためのトレランガイドという大原則は変わらず、WEBでも読んでいただけるようになりました。よろしくです。

今回は初心者にもなっていない、まだ一度も山を走ったことのない人たちへ向けてのお誘い。すなわち「トレイルラニングってなに?」、山を走りたくなる理由、心がけることなどを説明しましょう。

4年前の調査で、すでに経験者は20万人、潜在人口は70万人、ビジネスとして150億円にまで成長している日本のトレラン。性別を超え、若者だけでなく中高年にも人気のアウトドアスポーツ、いったいなにをもって人を夢中にさせるのでしょう? 経験者には初心に帰るいいチャンスかもね。さあ行くよ。

山を走って、なにがおもしろいの?

ひとつめのおもしろさは「走る登山」あるいは「走るハイキング」だから。規則や組織、人間関係どっぷりの日常を離れ、人は自然の中にいるだけで楽しい。絶景、温泉、名物ごはんなどがイメージされるよね。それに加えてカラダを動かす根源的な喜び、ランニングの爽快感が加わるのだもの、おもしろくないわけがないでしょう。

ふたつめのおもしろさは「競走」だ。山道(トレイル)をレースコースにする競走、距離は5kmくらいから始まって20km、50km、100km、100マイルなど豊富。そして生まれてはじめて出場するなら20km未満のレース、楽しく終われます。50kmを超えるレースは必然的に夜間も走ることになって、走力だけでなく装備や山岳気象の知識が必須、また食事(エネルギー補給)を必要とすることから、代謝機能も含めてまったくの別の運動種目になります。負けず嫌い、達成感、自己管理、レース戦略あたりへ話が広がるよ。

いちばん最初は知らない街へ。

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トレランにいちばん必要なものは好奇心です。地図を広げてトレイルの先に温泉を探したり、100㎞を走ったら自分はどうなっちゃうんだろう、と実際に申し込んだり…そんな未知への探究心が山を走らせます。とはいえ山の知識も経験もなく、たいして走れないのが初心者。なので生まれてはじめてのトレランは山じゃないほうがいい。

未知への旅、冒険は安全な街でもできます。ケータイとICカード、水、これだけで見知らぬ場所へ、たとえば2つ先の駅の商店街とか、近所の川を遡るとか、走り出しましょう。お腹が空いたり、足にマメができたり、道に迷ったりします、もう十分にトレランです。

いいことも悪いことも、みんな自分のせいだ。

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前述の通りトレランは「走る登山」「走るハイキング」。なので遊ぶ現場は山、歩こうが走ろうが山は山。絶景や快適はウソじゃないけど、標高が高くなるほど天候の変化は急で、しかも激しい。暑い寒い雷、強風吹雪は当たり前、対応する知識と装備を持っていなきゃいけない。加えて山は街から離れているから、ケガをしたりお腹が空いても自分でなんとかしなきゃいけない。救急セットや非常食を携帯するのです。

つまりは万が一に備えること、自分の能力(寒さに弱いとか、すぐお腹が空いちゃうとか、走力10kmまでとか)を把握しておくこと。さ、いちばん大事なことを言います。山でいちばん怖いのは夜になること、真っ暗になったら1mmも動けなくなるから。明るいうちに麓に下りましょう、夏なら4時まで、冬なら3時までに。それを逆算してプランを立てて家を出ましょう。その山行予定を家族や友人に伝えておくこと、これも大事です。

山には自然と他人がいる。

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山は誰のもの? 実は国内の山すべてにちゃんと地権者が存在する。個人だったり、組織だったり、自治体の村や国だったり。世界遺産の富士山も北半分は山梨県、南半分は静岡県のものだけど、山頂だけは富士宮浅間神社のもの、私有地だ。ともあれ大会を開催するときには、地権者の許可が必要だ。

では、個人の通行は? 地図に載っているような明解なトレイルで、またそこに進入禁止のサインがないなら、登山者、ハイカー、ランナーは利用していい、暗黙のうちに地権者は通行を許可しています、ってこと。

もちろん、トレイルを利用するにはルールやマナーがある。自然の景観や動植物を保護するため、また利用者同士の安全を図るためだ。特に初心者に心がけてほしいのは「山で歩く人に出会ったら歩く人になろう」。ハイカーや登山者に出会ったら、走ることをやめて、歩いてすれ違う、歩いて追い越す、そして狭い道では積極的に道を譲るのです。

文/内坂庸夫

(初出『Tarzan』No.742・2018年6月14日発売)

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