トマトの瑞々しさを味わう。信州味噌で楽しむ腸活味噌汁15選。

信州味噌のクセがない旨味と軽やかなコクは、豆や野菜、海藻、発酵食品まで幅広い食材と好相性。毎日の一杯を飽きさせない、定番味噌の実力を探る。発酵食品から旬の野菜まで自然につなぎ合わせる信州味噌の懐の深さ。

text: Tatsuya Matsuura photo: Hiroshi Nakamura tableware: utuwa

『Tarzan』No.927 on sale June 11

教えてくれた人

酒井英彰(さかい・ひであき)/1984年、福岡県出身。大学卒業後、海外で料理の道へ。帰国後は〈並木橋なかむら〉などで修業し、2018年独立。最近マラソンを始めて体重17kg減に成功。

無限に可能性が広がる、味噌汁の懐の深さよ!

腸内環境に良い味噌汁。そのレパートリーが多ければ、腸内細菌の多様性へとつながる。せっかくなので、おいしくて腸が喜ぶレシピをプロに習いたいと人気居酒屋〈酒井商会〉の門を叩いた。

「もう十数年間、僕の朝は必ず味噌汁からです」と打ち明けるのは、店主の酒井英彰さん。酒井さんの朝食は白飯に納豆、卵料理に味噌汁が欠かせないという。今回の企画にうってつけの料理人だ。

酒井商店・酒井英彰さん

「豚肉があれば豚汁にしますし、根菜、葉野菜、海藻はもちろん、チーズやキムチなどの発酵食品との相性もいいんです」

今回は一般的な信州味噌、甘やかな白味噌、コク深い赤味噌を使った味噌汁レシピの中から、信州味噌を使うレシピをお届け。豆類や野菜、海藻、発酵食品など、食物繊維豊富な食材との組み合わせを教わった。

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味噌を溶かす様子

【だし】
昆布は前の晩から鍋の水に浸しておく。翌日、鍋を強火にかける。温度が80度まで上がったら弱火にして1時間煮出す。昆布を取り出し、薄削りの鰹節を入れたら中火にして10分加熱。火を止めて漉す。目安量は水1Lに昆布8g、鰹節(本枯れ節)20g。

【信州味噌】
全国どこでも手に入るメジャーな味噌。使う量はだし1カップに対し大さじ1が目安。

【赤味噌】
濃厚な味わいが特徴で、濃くひいただしと合わせると分厚い風味を発揮。濃いめのだし1カップに対し大さじ3/4が目安。

【白味噌】
だし1カップに対し大さじ2が目安。「味噌を入れたら、中火で5分沸かし、だしと味噌の味わいをなじませる」のが酒井流。

1.インゲン豆+トマト+ホウレンソウ|信州味噌の奥に広がる瑞々しさ。

インゲン豆+トマト+ホウレンソウ

缶詰の白インゲン豆の柔らかな甘みと生トマトの穏やかな酸味にホウレンソウのほのかな苦み。深い味わいの奥に瑞々しい野菜の泉あり。

2.インゲン豆+ケール|ケールの青々しさに背すじが伸びる。

インゲン豆+ケール

強い食感と清冽な香りのケールはシャキッと背すじが伸びる歯ごたえ。青々しさを嚙むうちに存在感を増す白インゲンのさらりとした食感が美味。

3.アボカド+サラダ豆|森の素材を味噌で和えたら……?

アボカド+サラダ豆

加熱するとアボカドの表情は変化する。鰹だしとアボカドの相性の良さは特筆もの。豆を食べ、アボカドを喰む。命名「森の実の味噌和え」。

4.ホウレンソウ+卵|仲睦まじい落とし卵と信州味噌。

ホウレンソウ+卵

静かに沸かしただしに卵を落としてフタをして、弱火で5分茹でる。ホクッとした黄身とプリッとした白身とホウレンソウの相性は言わずもがな。

5.ホウレンソウ+大豆ミート|大豆ミートで定番をアップデート。

ホウレンソウ+大豆ミート

油揚げや厚揚げよりも凝縮感ある味わいと食感の大豆ミートは、味噌汁の具材としても頼もしい。定番の味わいをさらにアップグレード。

6.芽キャベツ+乾燥サクラエビ|山海の若々しさをより香ばしく。

芽キャベツ+乾燥サクラエビ

芽キャベツはカットして油をひいた鍋で焼き目をつけた後、だしで軽く煮含める。カリッと炒ったサクラエビのトッピングが椀としての深みを増す。

7.ゴボウ+鶏胸挽き肉+ニラ|土と野趣の香りを一体で感じる。

ゴボウ+鶏胸挽き肉+ニラ

モチーフは惣菜の鶏ゴボウ。ゴボウはあらかじめ炒め、土の香りを引き出す。野趣に満ちたニラは仕上げのトッピング。異なる風味で味を多角的に。

8.ゴボウ+こんにゃく+万能ネギ|食物繊維盛り盛りの腸活味噌汁。

ゴボウ+こんにゃく+万能ネギ

食物繊維好きが泣いて喜ぶ一椀。こんにゃくは食感を活かすよう、さっと火を入れる程度に。万能ネギの清涼感がアクセント。超ファイバー味噌汁。

9.長芋+キムチ|長芋キムチが味噌汁に!?

長芋+キムチ

長芋は、だしから煮て、切ったキムチを加える。キムチ一つで辛味、酸味、旨味のブーストがかかる。もはやこれは飲める長芋キムチだ。

10.里芋+豚肉+とろろ昆布|主役を脇から支える名脇役、里芋。

里芋+豚肉+とろろ昆布

豚肉の野趣を支えるのはとろろ昆布と信州味噌の分厚い懐。里芋も前に出て土を香らせるより、脇からそっと全体を支えまとめる名脇役の佇まい。

11.ヒジキ+木綿豆腐+ちくわ|お惣菜ヒジキ全部入りの郷愁感。

ヒジキ+木綿豆腐+ちくわ

中国地方・九州地方でちくわは日常的な味噌汁の具。ヒジキや木綿豆腐から出るだしも含め、ヒジキ煮のような郷愁感満点の好相性に心まで温まる。

12.テングサ+納豆+三つ葉|寒天と納豆の新食感味噌汁。

テングサ+納豆+三つ葉

寒天は1分間水戻し。水を切り、ちぎって絞った後、納豆と鍋に入れ、ひと煮立ちしたら火を止める。寒天の新しい食べ方ここにあり。

13.キクラゲ+ニラ+卵|味噌汁版木須肉(ムースーロー)。

キクラゲ+ニラ+卵

中華の卵とキクラゲの炒め「木須肉」の味噌汁風。柔らかな卵にキクラゲのコリコリ感、加熱したニラの甘さ。食感、味、香りの多様な世界。

14.エノキタケ+納豆+万能ネギ|重層的な味わいと食物繊維。

エノキタケ+納豆+万能ネギ

使う納豆は大粒推奨。大豆ならではの風味が太くおいしい。不溶性と水溶性が多相で入り混じる食物繊維。味わい、食感すべてが豊かな一杯。

15.ブナシメジ+大豆ミート+長ネギ|油揚げのような食べ応えが◎。

ブナシメジ+大豆ミート+長ネギ

大ぶりに手で裂いたシメジ、短冊の大豆ミートに合わせて長ネギは斜め切り。煮込めば味は深くなり、具に味も乗るが、食感重視でさっと煮でも。

〈酒井商会〉

渋谷の裏通り、雑居ビルの2階に突如現れる、落ち着いた和食居酒屋。九州の産品を中心とした和食と酒で連日満席御礼。コースはもちろん、アラカルトメニューにも椀物が盛り込まれている。東京都渋谷区渋谷3-6-18 荻津ビル2F。17:00〜23:00(L.O.21:30)、日曜休・不定休。※予約は「TableCheck」から。WEBサイト