
食物繊維には2種類ある。

ニッポン人は海藻を有効活用できる腸内細菌を備えた世界でも珍しい民族。ワカメ、モズク、ノリなど積極的に摂りたい。同じくローカロリーのきのこもお供に。
母親から受け継いだ腸内細菌はほぼ生涯変わらない。でも発酵食品由来の有用菌も継続して摂ればカラダに利益をもたらしてくれる。ただし、そこにエサがあればの話。エサとはもちろん、食物繊維のこと。ここで改めて食物繊維のおさらい。
食物繊維は糖が鎖のように長く連なったもので、ヒトはこれを分解する酵素を持ち合わせていない。それゆえ、未消化のまま大腸まで届き、腸内細菌がエサとして利用する。
食物繊維は水に溶けるか溶けないか、「水溶性」と「不溶性」に大別される。消化・吸収・排泄に有効という意味で水溶性は糖や脂肪吸収を緩やかにし、不溶性は便のカサを増す作用が期待されてきた。でもこれ、ある意味で古典的な考え方。アップデート情報は下に続く。
水溶性と不溶性食物繊維の例
●水溶性食物繊維
- ペクチン…柑橘類、リンゴ
- グルコマンナン…コンニャクイモ
- グアーガム…グアーの種子
- アルギン酸…褐藻類(コンブなど)
- β−グルカン…きのこ
●不溶性食物繊維
- 寒天…寒天
- セルロース…穀類、野菜類、果実類
- ヘミセルロース…穀類、野菜類、果実類
- キチン…甲殻類の殻
有用菌を育てるなら、発酵性食物繊維一択だ。

大豆に代表される豆もまた、日本人が古くから食してきた食材。穀類は未精製のものほど発酵性食物繊維が豊富なので、パンならライ麦パン、米なら玄米が○。
腸内細菌が食物繊維をエサにして、短鎖脂肪酸というありがたい代謝物を作っているらしい。そのメカニズムが分かってきたことで、腸内細菌が分解し、発酵させやすい、発酵性食物繊維を摂る重要性が語られるように。
代表的な発酵性食物繊維は多くの水溶性食物繊維のほか、小麦粉由来の不溶性食物繊維や、でんぷんだが食物繊維のような働きをするレジスタントスターチなど。食材で言うなら下のイラストの通り。これらの発酵性食物繊維を積極的に摂取することで腸内細菌による健康効果がより期待できるというわけ。
「発酵性食物繊維が豊富な食材で漬物などの発酵食品を作れば最強です。私のおすすめは塩を加えたプレーンヨーグルトに野菜を漬ける漬物。山芋などで試してみてください」(宮城大学食産業学群教授の金内先生)
代表的な発酵性食物繊維
●水溶性食物繊維
- β−グルカン…大麦、オーツ麦、きのこ
- ペクチン…果物
- 難消化性オリゴ糖…豆類、玉ネギ、バナナ
- イヌリン(フルクタン)…ゴボウ、ラッキョウ
- アルギン酸…玉ネギ、海藻類
●不溶性食物繊維
ヘミセルロース(アラビノキシランが主成分)…小麦全粒粉、小麦ブラン(小麦ふすま)、玄米、豆類
●レジスタントスターチ…芋類、トウモロコシ、冷えたごはん
発酵性食物繊維で菌が育つメカニズム。

玉ネギ、ゴボウ、ニンジン、ラッキョウなどの根菜類、サツマイモやジャガイモなどの芋類は常備菜として。手軽に口にできるバナナやリンゴは毎日適量摂取を。
発酵食品を積極的に摂って菌の多様性を確保し、増やしたその菌を今度は発酵性食物繊維で育てる。これがダブル発酵効果による最強の腸活。
発酵食品で菌を腸に送り込むという理屈はシンプルで分かりやすい。一方、発酵性食物繊維は腸内でどう働くのか?
「口から肛門までは言わば一本の長いホース。食品はホースの中を菌によって発酵されながら通過していきますが、その時に何の菌が作用するかで腸内環境は変わります。タンパク質は悪玉菌の好物で、作用すれば有害な物質が作られますし、発酵性食物繊維に乳酸菌やビフィズス菌が作用すれば健康にいい効果が期待できます。ヨーグルトの乳酸菌だけ摂ってもあまり意味がなく、発酵性食物繊維をあわせて摂ることが重要です」
腸内での食物と菌の出合い。

発酵性食物繊維は乳酸菌など有用菌の大好物。菌が食物繊維を発酵させて短鎖脂肪酸を作る。一方、タンパク質は悪玉菌の好物で、副産物は硫化水素などの有害物質。


