つらい「背中の張り」を改善するマッサージ&ツボ押し
カラダのお悩みの筆頭といえば、肩こりや猫背など、背中に起因するもの。直接刺激するのは難しい部位ゆえ、ストレッチなどを組み合わせたスポーツマッサージをステップに沿って実践。すぐに痛みを何とかしたい!というなら、近くの関節を動かしながら血行やリンパの流れを効率的に改善する「動的ツボ押し」がおすすめ。今回はひどい背中の張りを改善するセルフマッサージを紹介する。
<b>スポーツマッサージ</b>:取材・文/井上健二 撮影/マルコ・ペルボニ スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 マッサージ監修/高林孝光(アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長、鍼灸師、柔道整復師)<b>ツボ</b>:取材・文/新田草子 撮影/中島慶子 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/野村憲司(トキア企画) マッサージ監修/寺林陽介(六本木・寺林治療院院長、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師)
初出『Tarzan』No.845・2022年11月2日発売
3ステップの「スポーツマッサージ」で改善
高林孝光さん
教えてくれた人
たかばやし・たかみつ アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長。柔道整復師、鍼灸師。バレーボールのJOCジュニアオリンピックカップ東京代表トレーナーを務めた他、オリンピアンをはじめ多くのアスリートの治療に携わる。
背中の張りの原因となるのは、外側からはアプローチしにくい深層のインナーマッスル。なかでも肩甲骨と胸郭の間にある肩甲下筋は、肩甲骨が邪魔するため、通常のマッサージでは歯が立たない。そこで、肩甲骨を大きく動かし、肩甲下筋にアクセスしやすくしよう。
ステップ① 背中を温める
背中の筋肉が緩みやすいようにウォームアップ。胸の前で両手の指を組み、左右に30秒ほど引き合うと、ふるえ熱産生で温まりやすい。
ステップ② 肩甲下筋のマッサージ
両足を腰幅に開いて立ち、両腕を体側に下げる。左肘を曲げ、肩より高く上げ、左側の肩甲骨を背骨から離し(外転)、下の端を上向きに回転(上方回旋)。脇の下からせり出た部分(肩甲下筋)を反対の手で摑み、10~20秒ほどマッサージ。左右を変えて同様に行う。
ステップ③ 肩甲下筋のマッサージ+動的ストレッチ
肩甲下筋を摑んでマッサージしつつ、高く上げた肘を時計回り・反時計回りに大きく動かす。続いて高く上げた腕を、肘を屈伸しながら床と平行に大きく動かす。各10~20秒。左右を変えて同様に行う。
2箇所を刺激する「ツボ押し」で改善
寺林陽介さん
教えてくれた人
てらばやし・ようすけ 六本木・寺林治療院院長。疲れを取るツボを刺激する「腎マッサージ」など独自のメソッドが口コミで評判に。著書に『女35歳からの「不調」は指1本で治せる!』(宝島社)など。
東洋医学では、背中の張りの原因は筋肉の緊張だけでなく、ストレスによってカラダを巡っているエネルギー、「気」が滞ることも大きな原因と考える。この詰まりを流すのに最適なツボが「肝兪」。カラダの前面から働きかける「中脘」とともにしっかり刺激しよう。
肝兪(かんゆ)
場所:胸骨の一番下に両手の3本指の先を当て、胴に沿って背中方向へと手のひらを滑らせていったときに親指が触れる、背骨の両側。脊柱起立筋の上。
押し方:親指の腹で左右に10回、押し揉む。さらに、へそと同じ高さまで、指1本分ずつ下がりながら同じように押し揉んでいく。最後に両手を前に組み、肩甲骨を開くように背中を丸めながら前へと突き出して、ストレッチを。
中脘(ちゅうかん)
場所:へそから指5本分上がったところにあるへこみ。
押し方:肘を後ろに引き、肩甲骨をしっかりと寄せた状態で、両手の中指を当てる。指先を立て、突くように素早く10回押す。前面から圧を加えて背骨の歪みを取るのが狙い。