【棚橋弘至・連載】第19回:ビッグマッチ前にどう痩せる? 調整に悩む棚橋の心のうち
新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第19回のテーマは「調整に悩む棚橋選手の心のうち」について。
気になるケトジェニックダイエット
皆さん、ケトジェニックダイエットって、知っていますか? これ、ビルダーやフィジィークの選手などがされている調整法です。
一般的なダイエットは揚げ物など、脂質が使われている食事を制限する脂質制限ダイエットが主流です。
トレーニーたちの今どきの調整法は、ケトジェニックダイエットで体脂肪が落ちなくなったら、脂質制限ダイエットに切り替え、そこでも頭打ちしたら、ケトジェニックに戻し、と交互に繰り返したりするみたいです。
ケトジェニックダイエットは、生活のエネルギーを糖質から脂質に変えるもので、カラダのエネルギーシステムを脂質メインの状態にするところから始まります。
糖質の摂取を抑え、タンパク質の摂取量を確保した状態で、残りのエネルギーを脂質から摂取する食事法なのです。脂質をメインのエネルギーとするカラダになるので、体脂肪もエネルギー源になりやすくなり、体脂肪が使われて減っていくということです。
ケトジェニック、挑戦をしてみたいけど…
しかし、これがなかなか難しい。まず、脂質を体内に入れることに抵抗を感じるじゃないですか? それに、糖質は野菜などに含まれてたモノくらいに留めないといけない(1日のエネルギー摂取量の10%以下)。
大量の糖質を一気に、体内に入れたときの、脳天を突き抜けるような、血糖値の急上昇による快感を味わえないと思うと辛かったりもしますが、脂質制限ダイエットを続けていてダイエットが2年近く停滞している僕にとっては「何か新しいことを試さなければ」と思っていることも確かなのです。
しかしながら、脂質をたくさん摂っているのに、体脂肪が減っていくという理論はにわかに信じられないのも確か。こればっかりは、実際にやってみて体感してみないと分からない。
果たして、ケトジェニックダイエットは本当に体脂肪率が減っていくのだろうか? ただ、挑戦してみたいと思う理由の1つとしては「(ケトジェニックダイエットは)長期でやってはいけない」という前提があるということ。
3週間程度で頭打ちしたら、脂質制限ダイエットに戻して、そこで、頭打ちしたら、またケトジェニックという流れが理想的なやり方だそうです。しかし、これに挑戦するには、かなりの覚悟と知識量が必要ですね。あいにく、今の棚橋には、その両方が…ない。
感謝の気持ちを込めて。いざ!カラダ作り
しかしながら、今のカラダつきをなんとかしないといけないのもまた事実。年間最大のビッグマッチ、2023年1月4日(水)の東京ドーム大会まで3か月を切りました。2022年12月1日(木)の藤波さんとのシングルマッチまで2か月を切りました。10月30日(日)の武藤さんとの試合まで1か月を切りました。
ここから話題性のある試合が続く。ということは、露出も増える。しっかりしたカラダ作りを始めたのは、プロレスというジャンルを飛び越えて興味のなかった人にも興味を持ってもらいたかったから。
よし。初心に帰ろう。今一度、あの頃の情熱を。やはり、しっかりとコンディションを作って、試合に臨むのが、先輩達への感謝、思い、そして、礼儀ですからね。
ならば、やはりやったことのないケトジェニックダイエットに挑戦してみるのも1つの手ですよね。これで、しっかり調整できたら、来年以降も光が見えますしね。
ただ、糖質大好きな僕としては、その成功率は果てしなく低い。
困った!困ったーー! 筋トレの頻度の問題か? 人工甘味料摂りすぎがいけないのか? 年齢による代謝の低下なのか? ただ、意志が弱いだけなのか? やはり、何かを得るには何かを犠牲にしなければならないのだろう…。
よし! 決めた。…運動量を増やそう! ケトジェニックダイエットに関しては来年以降にしよう。今まで通りのアンダーカロリーと、有酸素運動とを上手く組み合わせてやってみます。朝ご飯の前とかにも、歩こう!
こうして、やる気にブーストを掛けた棚橋。これは、ここからのカラダの変化に期待ですね!(ハードル上げてしまった!)
棚橋弘至
たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。