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新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第18回のテーマは「目的意識の重要性」について。
トレーニングを長く続けていると、毎日、新日本プロレスの道場やジムに行くことがルーティンになってきます。プロレスラーなので、カラダを鍛えることが仕事ではありますが、そこにはしっかり目的を持つよう意識しています。
試合の日程や、季節、体調といった、状況の変化によって、トレーニング内容も変化する必要があるからです。…と言っても、明確にオンとオフのシーズンが無いのがプロレスという競技。
年間約150試合を常に良いコンディションで出場できれば、それが理想です。しかし、意志の強弱、テンションの浮き沈みがあるのが人間というもの。疲れはしませんが(笑)、多分に漏れず「今日くらいはいいか?」と、突然チートデイを発動することもままあります(汗)。
話を戻します。今回のテーマは「目的意識の重要性」です。これは、僕自身にも言えることですが、トレーニングで最大限の成果を得たいのなら、目的はより細かく具体的な方が良いということなのです。
ちょっと何言ってるかわかんない。…という方のために説明していきましょう。
ジムに行く目的は、皆さんありますよね。カラダを大きくしたい。痩せたい。体力をつけたい。美味しいごはんを食べたいetc。まず、ここを意識することによって、ジムでのトレーニング内容が変わってきます。
大きくしたいのであれば、高重量を扱う。痩せたいのであれば、ワークアウト前後に有酸素運動を入れるなど。そうすることによって、トレーニングの成果をより引き出すことが可能となります。
ジムでのトレーニングの効果を得るには、食事面も気をつけるのが正解です。僕の意識では「トレーニング50%食事50%」くらいです。せっかくジムでキツイ練習をしたのであれば、理想のカラダに近づきたいわけです。
しかし、食事面が乱れていると、ジムでのトレーニングが無駄になってしまうと言っても過言ではないのです。大きくしたいのであれば、タンパク質+炭水化物+脂質。絞りたいのであれば、タンパク質+炭水化物。
もしくは、タンパク質+脂質のケトジェニックダイエットなんかも有名です。僕はやったことがないですが…。
トレーニングノートにメモしておくことも大事です。扱う重量の重さが、筋肉量に比例しているところもあるので、基本的に扱うウエイトの重量が重ければ重いほど、筋肉は大きいと言えます。
上級者の方だと効かせ方が上手なので、一概にはそう言えない部分もありますが、ベンチプレス、デッドリフト、スクワットの3種目くらいは自分のMAXを把握しておくことで、自分の筋力の伸びを感じることができるはずです。
より具体的なイメージを描く。どういう事かと言うと、例えば、胸のトレーニング。大胸筋をどう変化させたいのかで、メニューが変わります。
厚みをつけたいのか? 広がりが欲しいのか? 大胸筋上部を狙うのか? 大胸筋下部やアウトラインを出したいのか?
そういった、目的意識を持ってジムに行くことによって、ただなんとなくジムに行く場合とでは、結果的に大きな違いが生まれてくるように思います。
繰り返しになりますが、キツイ練習をしたのであれば、最大限の効果を引き出したいじゃないですか? カラダに変化が出れば、嬉しくなり、モチベーションも上がり、さらに頑張れる、というよい循環も生まれます。
トレーニング本では、基本的な知識は得られますが、より具体的なやり方は、やはりYouTubeのトレーニング動画などがオススメです。
あと、なりたいカラダを持っている人を見ることも大事です。僕は若手の頃、部屋にボディビルダーのポスターをたくさん貼っていました。余談ですが、寮生活のときは3人部屋で、ドアを開けて手前が真壁さん、真ん中が僕、奥が柴田さんでした。
真壁さんの壁にはグラビアアイドルが。僕の壁にはボディビルダーが。柴田さんの枕側の壁には、ブルースリーのポスターが貼ってありましたね。真壁さんが留守の間に、グラビアのポスターを剥がし、ビルダーのポスターを増やして侵食していったのは、よい思い出です(笑)。
そのせいで、2000年前後に活躍していたプロボディビルダーのドリアンイエーツやショーンレイ、ケビンレブローニ、ナッサーエルサンバディの名前を真壁さんが覚えてしまったほどです。
そうして、20年が経って、真壁さんはテレビでの仕事も増え、柴田さんはブルースリーのイメージもあり(僕の中で)、そして、棚橋は…太ってしまった(泣)。僕だけ成果が出てないじゃないか!
いや、成果を出すのはこれからだということかもしれない(前向き)。というわけで、今日もジムへ行ってきます。ちなみに、今日は胸の日。厚み、広がりを意識して、デッカくなってきます。
たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。