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トレーニーのための「テコの原理」解説・基本の“き”

ストレングス学園 運動法則・テコの原理

カラダ作りに関する知識を深める「ストレングス学園」。今回からは、カラダの解剖学的・機能的な分析による力学的な運動法則「テコの原理」を学んでいこう。

問1. カラダの力学に関する研究分野を何というか?

  1. 運動生理学
  2. バイオメカニクス

地球上に存在する我々のカラダは常に重力のもとで働き、力学の法則に従って運動が行われる。このように、ヒトの解剖学的かつ機能的な分析に基づく力学的研究は、答え②のバイオメカニクスとして知られるものだ。

人体の動きは、その力学的な特徴と原理を分析することでより理解が深まり、運動効率を考えるうえでは、生体力学とも呼ばれるバイオメカニクスが必須の知識となる。ちなみに①の運動生理学は、運動による身体機能、すなわち神経・筋肉・骨格などの変化を研究する学問だ。

バイオメカニクスは比較的新しい研究分野でもあり、その要素としては、例えば時間や速度などの空間的要素、つまり“動作”を分析する運動学(キネマティクス:Kinematics)や、運動に関与する“力”に着目する動力学(キネティクス:Kinetics)などが挙げられる。

これに関連して、運動時のカラダの動きや動作の仕組みなどを、物理的・力学的な知識を用いて研究・解明する試みが「スポーツバイオメカニクス」と呼ばれるものだ。

問2. カラダにおけるテコの原理で「力点」として関与するのは?

  1. 関節
  2. 筋肉
  3. 重力

バイオメカニクスの動作分析において、理解しておきたい概念に「テコの原理」がある。まず前提として、我々のカラダは常にテコの原理に基づいて関節運動を行っている。一見、複雑に見える骨格の構造においても、動きの基本的な原理を知ることで、その構造を効率よく利用しながら、筋肉の作用を最大限に発揮できるのだ。

テコの定義とは、レバー(アーム)にかけられた力=「力点」により、回転軸である「支点」を中心に、「作用点」における回転運動が生じる状態といえる。

そしてカラダは外力や体重に抵抗して動くとき、無意識のうちにこのテコの原理を利用しているというわけだ。

ストレングス学園 運動法則・テコの原理

最もシンプルなテコの構造として知られるのが、第1種テコにあたるシーソーモデル。支点を軸とした回転動作で、押す力(力点)が重り(作用点)に対抗する。

ヒトのカラダにおいて、まず回転軸となる「支点」の働きを担うのが関節だ。また「力点」となるのは通常、筋肉の付着部(より具体的にいえば筋の停止部)で、筋収縮によってその力を発揮する。よって答えは③

さらに「作用点」に該当するのは、骨などを中心とした、動かされる体節部の重心点となる。

また、テコの原理が働くのはカラダを動かすときに限ると考えがちだが、我々のカラダは常に重力に逆らって存在する。そのためカラダが静止しているときでも常に作用点は働き、力学的なバランスを保っていることも理解しておこう。

カラダの構造をこうしたバイオメカニクス的視点で捉えることは、無理な動きをなくして効率よく動作を行い、ケガを予防するなど、パフォーマンス向上のうえでも欠かせない。

そこで次回以降は、3種類に分かれるテコの原理について、ひとつずつ具体的に解説していこう。

取材・文/オカモトノブコ イラストレーション/モリタクマ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)

初出『Tarzan』No.839・2022年8月10日発売

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