顔の「下半身」ケアで若さを手に入れる【悩み別・顔と頭の筋膜ケア】
筋膜をケアするなら顔や頭も忘れずに行いたい。顔まわりは筋膜のヨレがシワやたるみに直結する。いつでもできる簡単メソッドで気になる悩みを即解消しよう!今回は、顔の下半分=下半身の筋膜ケアを紹介。
取材・文/門上奈央 撮影/小川朋央 ヘア&メイク/村田真弓 監修/木村祐介
初出『Tarzan』No.830・2022年3月24日発売
木村祐介さん
教えてくれた人
きむら・ゆうすけ/1984年生まれ。パーソナルフェイストレーナー、身体調律家。〈六本木ネイチャーボディハウス〉と京都で対面、オンライン指導を行う。著書に『世界一効く 美顔づくりの教科書 たるみもシワも総消し!』など。
目次
顔の下半身の筋膜ケアで引き締め効果を狙う
唇を中心とする顔の下半身は顔の筋膜ケアで最重要エリア。表情筋の大半が口角に向かって放射状に広がるように存在するため、口の動かし方の癖が筋膜のヨレに大きく影響する。口の周辺にも適切に刺激を与えて、引き締め効果を狙おう。
頭と顔の筋膜
悩み① 輪郭のたるみ
マスクを外す場面に備え、輪郭を引き締めたい。表情筋の動きを司る顔面神経がある耳の裏側の乳様突起のあたりをリリースし、ぼやけたフェイスラインを卒業。
下唇を上唇で強く吸い上げる。片手を逆側の耳の後ろに掛け、胸は引き上げておく。耳に掛けた手で顔を横に引っ張り5秒間キープ。顔を倒す間も頭は真上に引き上げる意識で。逆側も同様に。左右各2回。
悩み② 二重顎
下顎の内側を支える舌骨筋群や舌の動きに関わる外舌筋を使えていないと、顎下の皮膚がたるみ二重顎に。内臓をも引き上げるイメージで行い刺激をin。
舌の腹を上顎にぺたっとつけた状態で実践。両手をデコルテの中心あたりで重ねたら、首を曲げて顎と手をタッチ。そこから舌の腹で頭を真上に押し上げるイメージで、顔を元の位置に戻す。計5回。
悩み③ 首のシワ
加齢を物語る首のシワには念入りに〝アイロンがけ〟を。口角を下げる筋肉と連動する首の広頸筋を上方向に引き伸ばしつつ、適度なテンションをかけていく。
下唇を上唇で強く吸い上げる。両手を片側の鎖骨の真下で重ね、胸は引き上げておく。重ねた手と逆方向に顔を引き上げて5秒間キープ。顎と手で両方向に引き合う意識で。逆側も同様に。左右各2回。
悩み④ 口元のシワ
口角が下がると現れる、口の両端から顎にかけて垂直に走るシワ。これをなくすには重力に逆らい下唇の筋肉(口輪筋下部)を強化する必要がある。
口を唇の両端をすぼめた「お」の形にしてから、両手を鎖骨と胸の間にセット。そこから下唇を上唇で強く吸い上げて、その吸引の力だけを使って胸も引き上げるイメージで行う。元の位置に戻し、リズムよく反復。計10回。
悩み⑤ 嚙み合わせ
歯の上下を嚙み合わせた時にわずかでもズレがあれば、すぐ手を打つべし。下顎の咀嚼筋の筋膜をリリースしつつ、舌骨筋群も刺激して顎のバランスを調整。
人差し指~薬指の指3本をこめかみに添え、舌の腹を上顎にぺたっとつけたら、舌が離れないようにキープしたまま下顎を下げて口を開き、「お」の形に。できる限り下げたら口を元のように戻し、リズムよく反復。計10回。
悩み⑥ エラの張り
エラの張りには、顎の外側の咬筋と連動する側頭筋の筋膜ケアが必要。筋肉を伸縮させない姿勢を保ちつつ負荷をかけるアイソメトリックトレーニングが有効。
奥歯を食いしばった状態で実践。片手で逆側の頭を持ち、反対の手は肩にセット。手で頭を真横に倒すと同時に肩を下に引っ張った状態で5秒間キープ。頭と肩を逆方向に引き合う意識で行う。逆側も同様に。左右各2回。
悩み⑦ 顎先のたるみ
顎先の皮膚のたるみは、口角や下唇を引き下げる筋肉にばかり負担がかかったバランスの乱れが一因。逆の引き上げる筋肉を鍛えることでシャープな顎に。
下唇を上唇で強く吸い上げた状態で実践。人差し指を顎先に置いてから、顎を引いて首元にタッチ。そこから人差し指で顎を押さえる力に逆らうようなイメージで、下唇を吸引したまま顔を引き上げる。計10回。
悩み⑧ 鼻下の伸び
鼻下から上唇までは人中と呼ばれ、口まわりの筋力低下により“八”の字のように伸びてしまう。下がった皮膚を中心に集める動きで、さらなるたるみをセーブ。
口を唇の両端をすぼめて「お」の形にする。口を小鼻の幅以上横に広げないように意識しつつ、下顎を引き上げながら上唇で鼻の頭をタッチ。小鼻の幅を意識しながら、口を再び「お」の形に戻して、反復。計10回。
悩み⑨ 下がった口角
口角が上がりにくいのは、引き上げるのに関わる口角挙筋や大頰骨筋の筋膜が下に引っ張られていることが一因。挙上に必要な筋肉を動かしバランスを整える。
口を歯を見せた「い」の形にして、両手を使って口角を頰に向かって引き上げる。手で口角を引き上げる力はそのまま緩めずに、口をできる限り開いて「あ」の形にする。口を開き切ったら再び「い」の形にして反復。計5回。
顔、頭の筋膜ケアであの日の自分を取り戻せ!
悩ましい老け顔や重い頭は筋膜のヨレが原因かも。パーソナルフェイストレーナーの木村祐介さんは語る。
「顔の中で最も自由に動かせるのは唇です。ただ、日本語はあ・い・えなど口角を横に引いて発音する単語が多く、表情筋は頭や首などの筋肉と縦方向に連なるため、口を横に動かすと筋膜がヨレやすいのです。またマスク生活では普段より顔を大きく動かして表情を作るため、その結果たるみが生じるケースも。一方、頭はカラダの背面を覆う筋膜との関連もあり、悪姿勢が原因で筋膜にトラブルがある人も少なくないです」
こうして筋膜の張りを失うと顔や頭の悩みに直結。だからこそ“アイロンがけ”が必要だという木村さん。
「筋肉の位置関係上、顔は鼻より上と下に分けると効率的。毎日でなくとも週1回網羅的に行うだけでも改善します。筋膜の張りを取り戻し体感や見栄えを整えましょう」