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こんなパンを待っていた! 豆でつくられたグルテンフリーの《ZENB ブレッド》
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あなたの靴の裏を見ていただきたい、黄色の変形八角形がついていたら安心だよ、〈ヴィブラム〉だから。1937年創業、イタリアの靴底専門ブランドだ。創業者は登山家、山岳ガイドのヴィターレ・ブラマーニ。
実を言うと悲しい出来事からこの世界最大の靴底専門ブランドは生まれている。創業の2年前、ヴィターレはスイスのプンタラシカ3305mの登頂中に滑落事故で6人もの仲間を失ってしまう、生還できたのはヴィターレただひとり。
当時の登山靴の靴底は革を積み重ねて鉄鋲を打ちつけただけ。硬い岩、軟らかい雪、つるつるの氷、灼熱や氷点下など豹変する山岳気象やさまざまな路面に対応できるものではなかった。
ヴィターレは耐久性に富み、どんな気象条件、路面状況でも滑らない靴底を開発、改良してゆく。第1号モデルが下写真のものだ。
53年、英国人エドモンド・ヒラリーとシェルパのテンジン・ノルゲイが世界最高峰エベレストを陥落させる、世界中が沸いた。では世界で2番目のK2は誰が、どこの国が?
第二次大戦の敗戦国イタリアは山岳大国の意地か、国威発揚か。国家事業としてK2初登頂を推し進めるのだ。54年、ふたりのイタリア人が8611mの頂に立った。このときのイタリア隊の足元は〈ドロミテ〉の靴、靴底はヴィブラムの特別配合のゴム底だった。雪と氷、氷点下50度にもなる過酷な条件を見事にクリアしたヴィブラムが評判にならないわけがない。
いま、年間3200万足の靴底が製造され120か国で販売されている。世界各国で、ということは土地ごとの地形、地質、気温、湿度を研究分析している、ということ。ゴムを主としたその素材配合(レシピ)は80種以上にもなるという。
その中でトレイルラニングにふさわしい配合が《メガグリップ》だ。乾いた路面はもちろん、濡れた岩場でも滑らない。多くのシューズブランドが採用している。
そして下写真、従来の靴底より50%もスリムな、30%も軽量な成形に成功した《ライトべース》に注目されたい。グリップ力、耐久性、トラクションはこれまでの製法とまったく変わらない。すでに多くのブランドが採用している、ソール刻印「LITEBASE」が目印。
で、おもしろい話。鯛焼き型のはみ出し、焼き餃子の羽根のイメージです。本来はカットされる「はみ出し」「バリ」が薄く丈夫なので、シュウマイのように靴を包みあげてみたんだ。商品名《ラップアンドゴー》。フィレンツェのメンズファッション展示会で大注目された。
取材・文/内坂庸夫 イラストレーション/岡田航也