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駿河湾の海辺のイメージが強い静岡市。実は北部には南アルプスの3000m級の山々が連なり、トレランファン、坂バカがワクワクする道が待っている。海辺の道なら疾走派もノンビリ派も。まずは同市出身でトレランの第一人者・望月将悟さんに、静岡市を走る魅力を聞いた。
目次
日本海は富山湾から、日本アルプスを抜けて太平洋の駿河湾へと続く415kmの道のりを8日間のうちに駆け抜ける『トランスジャパンアルプスレース』。隔年で開催される、この過酷なレースで、なんと4連覇を果たした望月将悟さんは、まさに絶対王者といえる。
そんな望月さんにとって特別な場所が、自らが生まれ育ち、今は消防士・山岳救助隊として活躍する静岡市だ。「静岡の山の魅力を伝えたい」と、2017年には市境の道なき道を4日間20時間で走破した。
2017年、望月さんが挑戦した、静岡市の市境を巡るマウンテントレイル。日本第3位の高峰、間ノ岳(あいのだけ)をはじめ、2000〜3000m級の山々が鎮座する約235kmの道のりを4日間20時間で走破した。
「海近くにある丘のような山、例えば用宗(もちむね)の満観峰(まんかんほう)や浅間(せんげん)神社の北に延びる賤機山(しずはたやま)といった初心者向きから、3000m級の南アルプスまでレベルに合わせたコースを取れるのが静岡市の面白いところ。富士山が見えるのもいいんです」
トレランの魅力は、普段は行かないような自然の中で、それを全身で感じながら走れること、そして自分の限界を知ることと話す望月さんだが、必ずしもストイックになる必要はなく、歩いてもいいし、走るのは街なかだっていい。自分のペースで楽しむのが一番だと言う。
「一日みんなで楽しく遊ぼうというのが、トレランの元来の姿。僕がまず考えるのは“終わったら何を食べよう?”ですから(笑)。山に登って、温泉に入って、おいしいものを食べて帰ってくる。静岡市なら、そんな楽しみ方が満喫できますよ」
そんな望月さんが監修したトレランコースがあるのも、ファンには見逃せない静岡市の魅力なのだ。
静岡駅から北へ約60km。望月さんの生まれ故郷の静岡市葵区井川には、彼が監修したトレイルが整備されている。〈南アルプスユネスコエコパーク 井川自然の家〉を起点とするコースは4km、8km、12km、30kmの4種類あり、レベルに合わせて選べる。冬期は閉鎖中(2022年のオープンはサイトで確認)。
実は静岡市の面積の大半を占めるのは、市の北部に広がる中山間地域。オクシズ(=奥静岡)と名づけられたエリアでは、トレランやバイクなど雄大な自然を生かしたアクティビティが楽しめる。
「静岡市の魅力は、海、山、丘陵、市街地と、さまざまなロケーションが揃うこと。駿府城公園のある市街地にはシェアサイクルもあり、手軽に街乗りを楽しめる。鉄道網が発達していることから、ツーリズムの基点に駅を利用したり、輪行(自転車を交通機関に載せて移動すること)できるのも魅力的だと思います」
こう話すのは、静岡市でサイクリングツアーなどを企画・運営する〈クラブサリーズ〉の代表、仁科斉さん。太平洋を望みながら海沿いを疾走するもよし、かつての城下町や宿場町を巡って歴史探訪するもよし、オクシズの激坂に挑戦するもよし。初心者からベテランまで、思い思いの楽しみ方が待っている。
美しい冬の富士の絶景を、あなたはランで楽しむ? それともライドで?
久能山(くのうざん)の北側に位置する標高307mの丘陵地。「やぶきた」発祥の地で、茶畑越しに富士山と清水港、三保松原を一望できる。
2018年、山頂に展望施設〈日本平夢テラス〉がオープン。約200m続く回廊からは、360度のパノラマビューが楽しめる。ランやバイクでのアクセスは、清水側から延びる清水日本平パークウェイと日本平さくら通り(旧道)のみ可能。
静岡駅側からの日本平パークウェイは自転車・歩行者の通行が禁止のため注意が必要だ。全長1065mのロープウェイを利用すれば、国宝の久能山東照宮にも行ける。
ヒルクライムにオススメは、日本平さくら通り。清水日本平パークウェイに比べると道幅が狭く、カーブが多いものの、交通量が少なく、眺望がよいのが魅力だ。「プロのサイクリストも練習に使うコース。春は沿道の桜が見事ですからぜひ」(仁科さん)。
「日本平で訪れてほしいのは〈日本平夢テラス〉。ぐるり静岡市を一望できる絶景がすばらしい。旧道を使ってロードの練習をするのもいいですね」と望月さん。茶畑の中で富士山を見ながらお茶を飲めるテラス「全景の茶の間」もある。
しらすや桜えび、マグロだけじゃない。潮風ラン、潮風ライドも待ってます。
しずまえとは、静岡市の前浜のこと。蒲原(かんばら)から石部(せきべ)までの駿河湾沿岸部を指す。由比(ゆい)漁港、清水港、用宗(もちむね)漁港の3つの港があり、ここで獲れる魚介類を「しずまえ鮮魚」としてブランド化。とくに桜えび、マグロ、しらすで知られる。
東海道五十三次のうち、東から蒲原、由比、興津(おきつ)、江尻、府中、丸子(まりこ)の6つの宿場町と、薩埵(さった)峠、宇津ノ谷(うつのや)峠の2つの難所が静岡市内に位置する。沿道に名所旧跡や古い町並みも残る、旧東海道を巡る旅も人気だ。また、羽衣伝説で有名な三保松原へは、水上バスで行くのがおすすめ。
「山が海に迫っている地形なので、海と山の両方を堪能できますよ。三保への水上バスは、自転車での利用も可能です。太平洋自転車道と呼ばれるサイクリングロードも整備。道中にある酒蔵を巡るのも面白い。ただし、飲酒運転は厳禁です」(仁科さん)
「久能山東照宮」へと続く、つづら折りの石段1159段をわずか5分で駆け上がるという望月さん。しずまえでのお気に入りを聞くと「用宗のしらす丼!」と即答。「ハイキングコースの整った満観峰なら、初心者でも安心して登れますよ」と教えてくれた。
望月さん監修のトレラン聖地へ! 南アルプスの激坂クライムもぜひ!
静岡市の北部に位置するのは、市の面積の約8割を占める巨大な「オクシズ」。4つの川の流域ごとに、南アルプスの玄関口・井川地区のある「奥大井」、藁科(わらしな)川の上流に位置する「奥藁科」、ワサビ栽培発祥の地「安倍奥」、興津(おきつ)川の上流に位置する「奥清水」に分けられる。
そこにあるのは、2000〜3000m級の山々や湖、滝といった大自然。開湯1700年の歴史を誇る「梅ヶ島温泉」をはじめ、個性的な温泉地も点在する。自然のアクティビティで疲れたカラダを温泉で癒やす。これがオクシズでの正しい遊び方だ。
海側から山々へと続く道のりは、アップダウンを繰り返しながらグングンと高度を上げていくロングライド。「山間にある茶畑など、静岡市らしい絶景が広がります。途中で農産物を買ったり茶そばを食べたり、寄り道するのが楽しいんです」と仁科さん。
望月さんが監修したコースのある井川をはじめ、エリア全体がトレランの宝庫。「食べてほしいのは、青笹山登山口にある〈うつろぎ〉の天ぷらそば。ワサビの葉の天ぷらがおいしいんです。梅ヶ島温泉ではとろとろのお湯が待ってます」(望月さん)。
城下町、おでん、そして模型の聖地。シェアサイクルが強い味方です。
徳川家康ゆかりの城下町を、その原型とする静岡市街地。中心を成したのが、大御所時代の家康の居城であった駿府城だ。現存する建物はいずれも復元によるものだが、お堀の石垣や、呉服町、両替町といった名前は往時のまま。徳川家から手厚い庇護を受けた「静岡浅間神社」をはじめ、江戸の名残を町じゅうに見ることができる。
街中でのお散歩トレランやシェアサイクルでの歴史探訪の合間には、ご当地グルメ・静岡おでんや静岡茶に舌鼓をぜひ。模型好きなら〈静岡ホビースクエア〉も待っています。
駿府城公園のお堀でSUP体験を企画したこともある仁科さん。「公園の周りには家康が整備した薬草園の跡地などもあり、歴史散策にはもってこい。久能山や井川へと続く街道の起点もあるので、静岡駅からサイクルツアーを始めると便利ですね」。
「走る」以外の楽しい目的を持ったランが楽しめる。「例えば伝統工芸品の工房を訪ねたり、気になっているパン屋さんを巡ったり(笑)。静岡浅間神社の背後にある賤機山は標高こそ低いですが、富士山も見えていいトレーニング場所です」と望月さん。
静岡市の自転車生活情報サイト。市内11のコースガイドだけでなく、自転車の駅やサイクルイベントの情報も充実。WEBサイト
用宗を拠点に静岡市内のトレラン、サイクリング、SUPなどのツアーやスクールを開催。クロスバイクのレンタルも。WEBサイト
市内161か所のポートがあり、手軽に電動アシスト自転車がレンタルできる。市街だけでなく、しずまえライドにも便利。WEBサイト
静岡駅でのクロスバイクのレンタルに対応。一日で日本平、三保松原、駅前のグルメなど静岡市の魅力を堪能できる。「静岡駅 クロスバイクレンタル」で検索!
静岡市出身の漫画家・さくらももこさんのオリジナルイラスト『静岡市はいいねぇ。』に描かれた富士山スポットを巡る『静岡市はいいねぇ。ふじさんフォトラリー』を開催中! 限定グッズなどがもらえます。詳細は『静岡市はいいねぇ。ふじさんフォトラリー』HPをご覧ください!
静岡市広報課
TEL:054-221-1353
受付時間/8:30〜17:15(土・日・祝、年末年始を除く)
取材・文/坂本愛 撮影/伊藤徹也 取材協力/クラブサリーズ(tel. 054-291-5115)※静岡浅間神社駐車場は参拝者専用です。賤機山トレランには使用できません。
初出『Tarzan』No.828・2022年2月24日発売