【棚橋弘至・連載】第11回:ゴールは筋肉痛! 棚橋流・筋トレ種目の秘訣
新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第11回のテーマは「トレーニングメニューの組み方」について。
筋トレ種目が無限すぎ問題
ある程度トレーニング歴のある方は、前日か、ジムに向かいながらか、あるいはやりながらか、その日のトレーニングメニューを決めていると思います。
どの種目を何セットやるのか?→フリーウエイト?マシン?ケーブル?
目的は?→筋力アップ?筋肥大?筋持久力?
さらに、どこの部位をトレーニングするのかという大前提もあるので、こう考えると
部位数×種目(バーベル×ダンベル×ケーブル×マシン×自重)=その日のメニュー
という式がなりたち、結果としてトレーニングメニューの組み合わせは無限ということになります。しかしながら、トレーニング歴が長くなると、短時間、少ない種目数、少ないセット数で、如何にして、筋肉痛を手に入れるか?という効率を求め始めます。
トレーニーあるあるでは「良いトレーニーはジムにいる時間が短い」と言われたりもしますし…。と、こうして自問自答しながら冒頭部分を書き始めましたが、今回は「トレーニング種目で何を選ぶべきか?」をテーマに書いていきたいと思います。
“遍歴”から選択肢を探る
まず僕のトレーニング遍歴を振り返り、当時の心理描写を交えつつ「トレーニング種目の選択肢」について探っていきましょう。
はじまりは高校の野球部のオフシーズンに練習の一環として取り組み始めたウエイトトレーニングでした。やっていた種目はベンチプレス、デッドリフト、バーベルスクワットの三種の神器。
プラス、バーベルカールとバーベルショルダープレスでした。野球部の監督が、オフシーズンにしっかりウエイトトレーニングをやらせるタイプだったのが、僕のトレーニング歴のスタートになりました。まぁ、その結果プロレスラーになってしまうわけですが…。
このスタートで良かったことは、ベンチプレス、デッドリフト、バーベルスクワットの基本三種目をしっかりやれたことでした。1つの種目で複合関節を使って鍛えるものは、コンパウンド種目と呼ばれていて、それぞれの競技に落とし込み易いと言われています。なので、基本三種目からスタートしたのはトレーニングキャリアとしてはバッチリでしたね。
大学時代には7時間鍛えたことも
そうして、大学生になります。立命館大学には広いトレーニング室があり、強い体育会の部の選手がしっかりとトレーニングしていました。しかし、マシン種目は少なく、フリーウエイト種目が少し増えたくらいの設備でした。そこで、僕は京都から大阪のワールドジムへ練習に行くようになります。
1995年頃の京都にはまだゴールドジムもなく、ましてやエニタイムフィットネスやジョイフィットのような24時間使えるフィットネスジムなどもない時代だったので、ワールドジムには聖地のような憧れを抱いていたのでした。
そこで、驚いたのはトレーニングマシンの多さでした。フリーウエイト種目は基本中の基本なのですが、ぶっちゃけセットアップするまでが大変です。一方、マシン種目はピンを差し込むだけで重さを変えることができる夢のようなシステムでした。そして、この頃からマシン系のトレーニング種目もトレーニングメニューにどんどん取り入れていく事になりました。
本格的なジムにはケーブル種目ももちろんあり、トレーニングメニューの選択肢が無限に広がり始めます。しかし、ここでトレーニーに1つの試練が訪れます。そうです。冒頭でも書きましたが、選択肢が多いとメニューを組むのが悩ましくなるのです。
大学生の頃、友人と「1日で全身鍛えようぜ!」ということになり、前日に集まり「あれもやろう!この種目もいいね!」と話し合いトレーニングメニューが完成。翌日、そのメニューをすべて終わらせるのに7時間掛かったという、若き日の苦い経験もしました。
ウエイトトレーニングにもトレンドがあり、とにかく良いと言われる種目は片っ端からやってきました。そうした中で、トレーニング内容もブラッシュアップされ、よくやる種目、まったくやらない種目なども出てきました。
トレーニングを続けていると、かなりの高確率で同じ道をたどり、どの種目が良いのか?という答えのない壁にぶち当たります。
まぁ、その壁にぶち当たって試行錯誤することで多くのことを学ぶわけですが、このコラムを読んでくれている皆さんには、そういった遠回りをすることなく、最短距離で良いトレーニングをして欲しい!なので、トレーニングメニューを組む秘訣をお教えします。
やるべき種目を選ぶための秘策
その秘訣とは…「逆から考える」ということです。「え?何言っているのか、ちょっと分からないです」という皆さんの声が聞こえて来ました。説明をプラスしますね。
その秘訣とは「筋肉痛」をゴールにすることです。筋肉痛にならなくても筋肥大は起こると言われていますが、筋肉痛が来たときの喜びはやはり『最の高』なのです。
簡単に言うと「トレーニングの結果、筋肉痛が来る」のではなく、「筋肉痛になるためのトレーニングメニューを組む」ということです。要は自分vs筋肉の勝負なのです(←余計に分からない)。
筋肉は可逆性といって鍛えた分だけ強くなり、刺激に慣れていきます。なので、フリーウエイト、マシン、ケーブル、自重などの種目を1か月~3か月くらいのペースでどんどん変えてみて「筋肉に新しい刺激」を与え続けることが重要です。
つまり、「どの種目をするか?」と考えるのではなく「筋肉痛になること」を目標にトレーニング種目を選んでみてはいかがでしょうか?というご提案でした。
好きな種目や得意な種目がもちろんあるとは思いますが、たまには苦手な種目から始めてみるのもいいかもしれませんね。
INFORMATION
新日本プロレス50周年の記念イヤーとなる2022年の「旗揚げ記念日」は日本武道館にて開催が決定!
- 2022年3月1日(火)
- 日本武道館
- 16:30開場・18:00開始
- ※カード情報は後日発表
棚橋弘至
たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。