サッカー・堂安律選手の「使える体幹」を作る片脚トレ
「体幹トレのための体幹」では意味がない。人間は動いている時、常に片脚になっている。堂安選手をサポートしている杉本龍勇さんに教えてもらった、サッカーでも他のスポーツでも安定した体幹作りを実践できる、「軸トレ」を紹介。
取材・文/鈴木一朗 撮影/下屋敷和文
初出『Tarzan』No.815・2021年7月21日発売
ブレない軸に! 片脚トレで「使える体幹」が手に入る。
4年前から堂安律選手の肉体改造をサポートしてきたのが、法政大学の杉本龍勇教授である。これまで、多くのサッカー選手を指導してきた杉本教授に、堂安選手が行っているトレーニングの要素を含みつつ、一般の人が安全に、そして楽しくできるメニューを考えてもらった。
教えてくれた人
「今回は、片側の脚で軸を作り、カラダを支えることにフォーカスしました。実は片脚で立つことは非常に大事なことで、この動作を繰り返せば、体幹も使えるようになります」
体幹トレーニングは数多くあるが、それが実際の動作に繋がるかといえば大いに疑問である。体幹だけ強くなっても、動きの中で他の筋肉と連動しなければ意味はないのだ。片脚でカラダを支えるトレーニングは、運動動作の中で体幹が鍛えられるので、効果的かつ実戦的なのである。
「新型コロナの影響で、多くの人の歩行距離は落ちています。そんな状況だからこそ、支持脚をうまく使って動くことが重要になる。人間は動いているとき、常に片脚でバランスを取っていますから。だから、ここで紹介したトレーニングを行えば、ジョギングやウォーキングを習慣にする人にもプラスになるはずです」
堂安選手が実演! 7つの片脚トレ。
① 足を内外に動かす。“片足またぎ”でスタート:片側の足の前に、膝より低めのイスなどを置く。片側の足を上げ、体幹を締める。浮かした足でイスを外から内へまたぎ、また内から外へまたぐ。足でまたいだとき足裏をイスに向けておくこと。左右10回。
② 支持脚の尻を上げる。“ヒップリフト”のキモ:片側の足を大きく1歩後方へ下げる。逆側の腕を上方へと大きく振り上げ、同時に後方に引いた脚を前方へと引き上げる。このとき、支持脚の尻が引き上げられるのを意識すること。できるだけ大きく動こう。左右10回。
③ ブレずに足を接地する“8の字ケンケン”:2個のマーカー(ペットボトルでいい)を50cmほどの間隔を空けて置く。片足でマーカーの外側を8の字を描くようにジャンプして進む。足が接地するときは、脚を棒のように固定し、地面の反力を得ることが大切。左右5周。
④ “脚振り”は大きな動きと肩甲骨がポイント:壁などに手をつく(写真は杉本教授の肩)。脚と、対称となる腕を後方へ。このとき上げた腕の肩甲骨を寄せる。脚、腕を前方へ振り出す。肩甲骨は開くが、背すじは伸ばしたまま。シュートのイメージで動こう。左右10回。
片側の脚を上げたとき、上げた脚側に骨盤が落ちてしまう人は少なくない。これは、骨盤を保持する中臀筋や、姿勢を正しく保つ腸腰筋が弱いことで起きる。そして、これがカラダの軸を崩し、動きを妨げる。
「メニューは簡単なことから、難しいものへと移っていきます。順にやれば体軸が決まってくる。同時に肩甲骨を動かすことを覚えましょう。そうすればカラダがブレることが少なくなり、これまでより楽で効率的に動いていけるようになりますよ」