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サッカー・堂安律選手の「使える体幹」を作る片脚トレ

堂安律(どうあん・りつ)/1998年生まれ。ガンバ大阪から2017年にFCフローニンゲン、19年にPSVアイントホーフェン、20年にアルミニア・ビーレフェルトに移籍。2018年、A代表に初招集。今年6月、U-24日本代表に選ばれる。

「体幹トレのための体幹」では意味がない。人間は動いている時、常に片脚になっている。堂安選手をサポートしている杉本龍勇さんに教えてもらった、サッカーでも他のスポーツでも安定した体幹作りを実践できる、「軸トレ」を紹介。

ブレない軸に! 片脚トレで「使える体幹」が手に入る。

4年前から堂安律選手の肉体改造をサポートしてきたのが、法政大学の杉本龍勇教授である。これまで、多くのサッカー選手を指導してきた杉本教授に、堂安選手が行っているトレーニングの要素を含みつつ、一般の人が安全に、そして楽しくできるメニューを考えてもらった。

教えてくれた人
杉本龍勇(すぎもと・たつお)
杉本龍勇(すぎもと・たつお)/1992年にバルセロナ五輪陸上4×100mリレーで6位入賞。2005年、Jリーグの清水エスパルスのフィジカルコーチに就任。現在は法政大学経済学部教授を務めつつ、サッカー選手の指導を行う。

「今回は、片側の脚で軸を作り、カラダを支えることにフォーカスしました。実は片脚で立つことは非常に大事なことで、この動作を繰り返せば、体幹も使えるようになります」

体幹トレーニングは数多くあるが、それが実際の動作に繋がるかといえば大いに疑問である。体幹だけ強くなっても、動きの中で他の筋肉と連動しなければ意味はないのだ。片脚でカラダを支えるトレーニングは、運動動作の中で体幹が鍛えられるので、効果的かつ実戦的なのである。

「新型コロナの影響で、多くの人の歩行距離は落ちています。そんな状況だからこそ、支持脚をうまく使って動くことが重要になる。人間は動いているとき、常に片脚でバランスを取っていますから。だから、ここで紹介したトレーニングを行えば、ジョギングやウォーキングを習慣にする人にもプラスになるはずです」

堂安選手が実演! 7つの片脚トレ。

堂安律

① 足を内外に動かす。“片足またぎ”でスタート:片側の足の前に、膝より低めのイスなどを置く。片側の足を上げ、体幹を締める。浮かした足でイスを外から内へまたぎ、また内から外へまたぐ。足でまたいだとき足裏をイスに向けておくこと。左右10回。

② 支持脚の尻を上げる。“ヒップリフト”のキモ:片側の足を大きく1歩後方へ下げる。逆側の腕を上方へと大きく振り上げ、同時に後方に引いた脚を前方へと引き上げる。このとき、支持脚の尻が引き上げられるのを意識すること。できるだけ大きく動こう。左右10回。

③ ブレずに足を接地する“8の字ケンケン”:2個のマーカー(ペットボトルでいい)を50cmほどの間隔を空けて置く。片足でマーカーの外側を8の字を描くようにジャンプして進む。足が接地するときは、脚を棒のように固定し、地面の反力を得ることが大切。左右5周。

④ “脚振り”は大きな動きと肩甲骨がポイント:壁などに手をつく(写真は杉本教授の肩)。脚と、対称となる腕を後方へ。このとき上げた腕の肩甲骨を寄せる。脚、腕を前方へ振り出す。肩甲骨は開くが、背すじは伸ばしたまま。シュートのイメージで動こう。左右10回。

1/20

⑤ 肩甲骨をしっかり寄せる。そして大きく“腕振り”。

堂安律

背すじをまっすぐ伸ばして股関節を折り、地面と平行になるように骨盤から上体を倒す。膝はやや緩めた角度を動作中キープ。胸を張って左右の肩甲骨を寄せたら、前後に大きく腕を振る。背中は丸めないこと。10往復。

⑥ リズミカルに動きたい、“サイドけんけんステップ”。

堂安律

地面にマーカーを置く。片脚立ちになり、マーカーの上を通過するように、左右にステップ。足が接地したときに、膝は伸ばすこと。脚を一本の棒のようにして、地面からの反力を受け、リズミカルに跳ぼう。左右10往復。

⑦ “走動作”は実際の走りのシミュレーションだ。

堂安律

片脚で立ち、上げた脚を後方から前方に振り上げ、後方へと下げる。走るときの脚の軌跡をシミュレートする。骨盤と背骨は動かさない。カラダが動くのは軸を支える筋肉が使えていない証拠。繰り返せば安定する。左右10回。

8. 背すじと骨盤を安定させ、大きく1歩前に“縦ランジ”。

堂安律

骨盤を前後傾させず、まっすぐに立てて背すじを伸ばす。この姿勢を保持し、片側の足を膝下が垂直になるよう1歩前に出し、腰を落として低い位置まで沈み込む。蹴り上がって元へ。上体を前傾させないこと。左右10回。

片側の脚を上げたとき、上げた脚側に骨盤が落ちてしまう人は少なくない。これは、骨盤を保持する中臀筋や、姿勢を正しく保つ腸腰筋が弱いことで起きる。そして、これがカラダの軸を崩し、動きを妨げる。

「メニューは簡単なことから、難しいものへと移っていきます。順にやれば体軸が決まってくる。同時に肩甲骨を動かすことを覚えましょう。そうすればカラダがブレることが少なくなり、これまでより楽で効率的に動いていけるようになりますよ」

取材・文/鈴木一朗 撮影/下屋敷和文

初出『Tarzan』No.815・2021年7月21日発売

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