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世界は広い、“カッコよく椅子に座れるか”を競うスポーツがあるらしい。その名は「ホッカン」。そして日本も広い、そんなあまり見かけないマイナースポーツにのめり込むアスリートも存在する。どんな競技? なぜハマった? どう練習する? 気になるアレコレをホッカン芸人・ハラコさんに聞いた。
ドイツ生まれの「Hockern(ホッカン)」。2007年にドイツで考案されたエクストリームスポーツで、「いかにしてカッコよく椅子に座るか」を目的に競うもの。そんなホッカンにいち早く励んでいるのが、ホッカン芸人ことハラコさん。競技の魅力を存分にレクチャーしてもらった。
ホッカンの実演動画はこちら!
ハラコさんが、ホッカンに出会ったのは、2019年。元々は、ライブの合間に流す、自身のPR動画用にネタになる素材を探していた時に、Youtubeでホッカンの存在を知ったそう。椅子を回したり放り投げたりして、最後に座ってキメ顔という一連のくだりにピンと来た。
「これだと思って、すぐにホッカン用の椅子を買おうとネット販売サイトで探しました。あるにはあったんですが1か月経っても届かなくて…。商品と送料で30,000円ぐらい。すぐに連絡してなんとかお金は返してもらったんですが、ホッカンは手にできず。
その後、直接ドイツのメーカーサイトにアクセスしてようやく手にしました。このときも本当に届くのか不安で。箱を開けるまで、届かないんじゃかいかという思いが80%でしたね。」
無事に椅子を手に入れたハラコさんは、ひたすら練習に励むことになる。小学校から大学まで、硬式野球部でガチに鍛えてきたカラダと持ち前の負けず嫌いな性格もあって、すぐに上達。ホッカン歴約2年という短期間ながら、早くも人前で披露できるレベルに到達し、腕前は文字通りのホッカン芸人を名乗れるほどだ。
「マイナースポーツなんで、教えてくれる人がいませんから、動画がお手本です。スロー再生と一時停止を繰り返し、ひたすら見様見真似で練習しました。腕を使って椅子を回す技があるんですが、最初はアザだらけになってしまい、よくよく動画を見直したらやり方が間違っていた、なんてことも。
僕が使っている椅子は1.8kgなので、これをガンガン回すと腕がパンパンになりますし、逆に足技では、バランス感覚と柔軟性がないと上手くできないんです。ホッカンをやり始めてから胸周りが確実にひと回りぐらい大きくなったし、逆立ちで歩けるようになりました」
日本でのホッカンの普及を目指しているハラコさん。現在はお笑いライブのほかに、日本国内のドイツの祭りにも呼ばれホッカンの腕前を披露している。そのライブを見た人からDMをもらい椅子の購入方法や練習のやり方をレクチャーする機会もあるそう。
「おそらく日本では、僕を含めて競技人口が10人に満たないんじゃないかと思います。極端に少ないので、もちろん気持ちは日本代表です(笑)。本当は昨年、ドイツの大会に参加する予定だったんですが、残念ながらコロナで大会が無くなりました。僕のイメージでは、大会に出て真の日本代表を名乗りたかったんですけどね(笑)」
ハラコさんの実演を見ていると上半身を使った技も、アクロバティックな足技も既にマスターしているように見える。これ以上の上達の余地があるのか疑問だったが…、当の本人は次のレベルを目指している。
「ある程度の技はできるようになったんですが、ここからが難しいんです。ホッカンは元々スケボーなどのストリートカルチャーから発祥しているので、音楽に合わせてカッコよく踊る要素も必要なんです。僕は、ガチガチの体育会系でしたからダンスの部分が課題かなと。
だから、それを克服するためにダンスを習い始めました。技を繰り出し、ノリのいいダンスを挟んでからのキメ座り。これができれば完璧ですね。あっ、もちろん笑いの要素も磨かきますよ。お笑い芸人ですからね(笑)」
技で魅了し、カッコよく座る(ハラコさんは笑いも取る)。そんなホッカンは子供から大人まで楽しめる競技である。一脚の椅子だけで気軽にできる新しいスポーツ、ホッカンにぜひ注目してみてほしい。
取材・文/菅野茂雄 撮影/山本嵩