大人になってからADHDだと気づく人も。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは、ASD(自閉症スペクトラム障害)や学習障害と並ぶ発達障害のひとつ。集中力が続かない、ミスが多い、じっとしていられない、思いつきで行動してしまうなどの症状が見られる。
- 自閉症スペクトラム障害/診断時期や診断基準によっては、アスペルガー、高機能自閉症、広汎性発達障害と言われることもある。
- 学習障害/読字障害、書字表出障害、算数障害など。
- ADHD/不注意優勢に存在、多動・衝動優勢に存在、混合に存在する場合がある。
とはいえ、なんとなく社会生活を送れてしまうため、自他ともに自覚しにくいという。ここ数年で「大人の発達障害」という言葉の認知が広がっていることも関連してか、大人になってから自身がADHDであると知る人も多いそうだ。
「子供のうち3〜7%がADHDの傾向があるとされていて、そのうち2割が大人になるまでに改善し、6割がやや改善しつつも症状が残り、2割が症状が重くなるとされています」(ゆうメンタルクリニック院長・ゆうきゆうさん)
つまり、大人の3〜5%がADHD傾向にあるという。また、ミスを繰り返すことで上司から叱責されたり、他人ができることができないジレンマから自分で自分を責めてしまったりすると、うつ病や双極性障害などの精神疾患を発症することも少なくないそうだ。
下記の診断基準に該当する項目が多い人はADHDの可能性が強い。もし気になる人は、メンタルクリニックで相談してみるといいだろう。
できないことよりも、できることに目を向ける。
ADHDには症状を緩和する治療薬がある。また生きづらさを感じづらくなる考え方を学ぶカウンセリング治療も一般的だ。
だが、ADHDだからといって一概に治療が必要というわけでもない。症状は個人によって強弱がある。生活に支障をきたしていないのであれば、これまで通り暮らしていて問題ないとゆうき先生は説明する。
「人間は誰しも得意・不得意があります。その特性を知ることが大切です。たとえばADHDの人は注意力が散漫な傾向が強い一方で、のめり込むものがあるとぐっと集中して取り組むことができます。仕事であれば、マルチタスクにするのではなく、ひとつずつ丁寧にタスクを消化していくといった工夫をするといいでしょう」
大切なのは、自尊心を下げないこと。できないことに目を向けるよりも、できることに目を向けて生活する方がメンタルヘルス的にもいい。
どうサポートできる?
ちなみに、身近な人がADHDである可能性は十分にある。その場合、どのように接するのがいいのだろうか?
「悩みを1人で抱え込ませないようにしましょう。相手がADHDであることを開示している場合は、適性を考えてコミュニケーションを取るように意識してください」
本人の意思ではどうにもならないことを強く非難したり、プレッシャーをかけたりすることはNG。上手に頼る・頼られる関係性を構築することで、お互いストレスを感じずに付き合うことができるという。不安なことは早めに共有してしまう方が吉だ。