適応障害とトラウマ、どう違う?
「適応障害」とは、ある特定の状況や環境から強い負荷を感じ続けることで心身のバランスが崩れ、日常生活に重大な支障をきたすストレス症状のこと。気分が落ち込みやすくなり、身体には動悸やめまいなどの症状として現れる。また、不安状態が続いて悪化するとうつ病になってしまうこともあるという。
ちなみに、特定の状況がフラッシュバックして心身に影響を及ぼすトラウマとは違うのだろうか?
「トラウマは「心的外傷」という意味です。またそれによって起きる病状をPTSD(心的外傷後ストレス障害)と言います。特に、生死に関わるような出来事が起因となって起きる精神状態を指し、数か月から数年単位で続くことも珍しくありません。
一方、適応障害はストレスのかかる場面で症状が発生します。また、早期にストレスの原因を探り、その対象から離れることで緩和され、対処が早ければ早いほど回復する見込みも増します」
早期回復が見込めるものの、うつ病に近く、危険な状態だという。自分はまだ大丈夫だ、と軽視していると重篤化していくリスクが高まるので注意が必要だ。
真面目な人ほど適応障害のリスクが高くなる。
適応障害を患う人には、性格的な傾向があるとゆうき先生は説明する。
「真正面から物事を受け止めてしまう、いわゆる真面目な人ほど適応障害になりやすいと言われています。上司や先生に叱られたときに落ち込んでしまう人は気をつけてください」
逆に反抗心が芽生えたり、適度に受け流せる人は適応障害になりにくいという。
では、適応障害になってしまった場合には、どのような治療が必要になるのだろうか?
「カウンセリングを通してストレスの原因を除去することに専念します。適応障害の事象からできるだけ回避する必要があるため、たとえば職場の環境・人間関係が起因しているのであれば、診断書を書いて職場の環境を整えていただくことが多いです」
何事も、苦痛を耐え凌ぎながら続ける必要はない。心が悲鳴をあげていれば、無視せず、まずは精神科に相談してみよう。
ストレス解消方法は、依存に注意。
ストレス社会において、誰もが適応障害を患う可能性がある。精神疾患を引き起こさないためには、どのような工夫が必要なのか?
「最もシンプルなのは、悩みを打ち明けられる人をつくっておくことです。不安や不満を独りで抱え込む状態は、精神衛生的にとても危険です。家族、友だち、パートナーなど、誰でもいいので話ができる人がいるといいでしょう」
昨今のコロナ禍で、人には会いづらい状況が続いている。ストレスを発散するために趣味に没頭することも有効なのだろうか?
「趣味も大事です。しかし、依存には気をつけてください。『自己治療仮説』という言葉があるのですが、自分で自分を癒せない人は依存しやすい傾向があります。特にお酒やタバコは、欲求を満たせる一方で健康を害する可能性がありますし、依存症を誘発する危険性があるので注意しましょう」
ともあれ、悩みがある場合は独りで抱え込むことを避けつつ、リモートでも気の知れた相手と会話の機会を設けるなど、適度な吐口を持つことが大切だ。