引き締め目的なら十分アリ! NASA採用技術を搭載した《OYO Personal Gym》
いつでも誰に対しても、確かな効果が期待できるトレーニングギアを探すため、パーソナルトレーナーが試してレビュー。今回パーソナルトレーナー・寺田大一さんが試したのは、無重力空間での宇宙飛行士の筋力維持を目的に開発された、NASA御用達《OYO Personal Gym》。
取材・文/本田賢一朗 写真/山本嵩
試した人
今回試したギア:《OYO Personal Gym》
トレーニー向けでなく筋トレ初心者向け。
アメリカ・カンザス州でポール・フランシスによって発明されたフィットネス器具《オーヨ パーソナルジム》。これまで50人以上の宇宙ステーション乗組員が使用してきたという。
宇宙飛行士が日々のトレーニングに使っていると聞くと、どんな未知との遭遇が待っているのかと思うが、「強くなりたいと常に鍛え上げているトレーニー向けではなく、体型をキープしたい、引き締めたいと思うあくまで一般の人向けです」(OYOジャパン広報)とのこと。
エクスパンダーの進化版といった感じで、開閉動作を基本とした馴染みやすい筋トレ器具だ。
アームを閉じる「押す」、両端のボールグリップを持ってワイヤーを引っ張る「引く」の動作に本体中央に搭載された「レジスタンスパック」が最大約7.5kgの負荷を生み出し腕から尻まで部位別のトレーニングが行える。
持ち運びもできるサイズで、押す・引く両方の運動ができるフィットネス器具はなかなか珍しく、それがこの製品のポイントだと寺田さんは言う。
スーパーセット法やTRXトレをこれ一個で。
「スーパーセット法というトレーニングメソッドがあるのですが、それが手持ちサイズの器具一個でできるのが面白いですね」(寺田さん)
筋肉は筋線維の「収縮」と「伸張」を繰り返すことでパワーを発揮する。力を発揮するために収縮する筋肉が主働筋で、引き伸ばされながら主働筋の動きを裏側でサポートする筋肉が拮抗筋。ベンチプレスであれば持ち上げる際、大胸筋が収縮し、拮抗筋の広背筋は伸張すると言う具合。
もし、広背筋のトレーニングをしないでベンチプレスばかりをするとしたら、大胸筋が縮む動作が多くなり、柔軟性がなくなり肩が前方に出て猫背のような姿勢になってしまう。
一時期、ボクシングなどパンチを主体とする格闘技のトレーニングにベンチプレス不要説が持ち上がったのは、このあたりに理由があるのかもしれない。
拮抗筋には怪我をしないために、“主働筋の過度な筋収縮”を抑制するブレーキ機能が備わっていることもあり、筋肉バランスを整えるスーパーセット法はパフォーマンスを高める上で非常に重要だ。
スーパーセット法のやり方。
その内容は、拮抗筋をまずトレーニングして疲労させることでブレーキ機能を弱め、主働筋の収縮をより良くし刺激を高めるというもの。《オーヨ パーソナルジム》で大胸筋を狙うのなら、ボールグリップを引くことで広背筋→アームを閉じる動作で大胸筋に刺激を入れる順番で行なうのがポイントだ。
拮抗筋は強く追い込む必要はなく、ある程度疲労させるだけで十分。
「上半身であれば肩甲骨の位置を固定することを意識して行うことが大切。また下半身トレで内転筋・外転筋をこれひとつで鍛えられる器具は多くないので、特長といえます」(寺田さん)
「体幹トレーニングで使うバンドやTRXトレーニングと同じことを器具一個で強度を変えてできるのは、他にないかも」(寺田さん)
運動を始めたばかりの人や怪我からの機能回復にリハビリ目的として適度な負荷を入れられる。この使い勝手は、なるほど未知との遭遇だった。
今回のギアを使ってみて…
- スーパーセット法を一個で行える
- TRXやバンドトレーニングと同じことを強度を変えて行える
- トレーニーにとっては負荷が物足りないかも