歴史的快挙! 日本初の公道レースが「東京から最も遠い町」で開催

今年9月に開催された、自動車大国・日本初の公道レース「A1市街地グランプリ」。開催地の島根県江津市でいったい何が起きていたのか。

取材・文/神津文人

初出『Tarzan』No.799・2020年11月5日発売

名だたる自動車メーカーが複数存在し、サーキットでは世界的なレースが開催されている。自動車大国といえる日本だが、意外なことにモナコグランプリやマカオグランプリのような市街地を走る公道レースは開催されたことがなかった。

日本初の公道レース。その舞台となったのは島根県江津市。東京からのアクセスが不便なため、ある教科書では“東京から一番遠い町”と紹介された場所だ。

前例のない挑戦。

企画が立ち上がったのは2013年。東京のコンサル会社の提案を江津市の建設会社社長が地元に持ち帰り準備会が結成され、プロジェクトがスタートした。

日本初、すなわち前例がないということ。事故のリスクが少なからずあるなかで、道路の使用許可、地元自治体との調整、住民への説明など、解決すべき問題は山ほどあった。“安全”と一言に言っても、その概念は人によって異なる。モデルケースに学べないなか、試行錯誤を重ねて、実現へとこぎつけた。

日本初の公道レース
『A1市街地グランプリGOTSU2020』は、江津駅前を中心にした特設コースで開催。

コースは国道9号線と県道238号線を含む、全長783m。その周囲には、イタリア製の安全防護帯を設置。マシンは、200ccのエンジンを搭載したレンタルカートが採用された。

日本初の公道レース
コースの設置から撤収までの時間はわずか6時間!

レースの模様は地元ケーブルテレビを通じて、島根県全域に生中継。インターネットでもライブ配信された。今回は一人のケガ人もなく無事に終了。これを実績とし、コースの拡大、他都市での開催、市街地を使った自動運転試験なども検討しているという。次はどの町で? 今後の展開が楽しみだ!