【徹底解説】飛沫感染から相手と自分を守る、マスクの着け方・作り方
病原体を"持ち込まない、持ち出さない、拡げない"。感染予防の3原則に徹するため、正しく理解したいマスクの着け方について改めて学ぼう。小林寅喆さん(東邦大学看護学部感染制御学研究室教授)、石鞍信哉さん(メディコムジャパン)に訊きました。
取材・文/門上奈央 イラストレーション/中村知史 取材協力/小林寅喆(東邦大学看護学部感染制御学研究室教授)、石鞍信哉(メディコムジャパン)
初出『Tarzan』No.788・2020年5月28日発売
目次
マスクの予防効果は着け方次第! サイズには拘ろう。
外出時の必需品となったマスク。
「口や鼻からのウイルス侵入を防ぎ、感染経路を閉ざすにはマスクがやはり有効。自他ともに飛沫飛散から守ることができます」(小林教授)
「マスクによる予防効果が見込めるかどうかは着け方次第です。前提として自分の顔にフィットするマスクを使いましょう」(石鞍さん)
マスクの種類問わず、顔とマスクの間に隙間がないものを使うことが感染症対策の絶対条件。不織布マスクを買う時は適正なサイズを、布マスクを選ぶ時は鼻の上から顎下まで覆えて、鼻まわりや顔の側面にも隙間ができないものをチョイス。
「特にマスクの外側の”フィルター”は汚れているという認識を持ってください。着け外しする際にはフィルターを触らず紐を摑むようにして、万一フィルターに触れた時は手を洗うのが先決です」(石鞍さん)
一方、感染予防が第一といえ、いまだにマスク装着中の息苦しさに慣れない人もいるだろう。だが外すわけにもいかない…どうすれば?
「マスクを長時間着けているとマスク内の衛生環境が悪化し、肌荒れなどの原因になることも。人が少ない場所などでは外すなどして適度に換気しましょう」(石鞍さん)
「3密空間以外ではマスクは必ずしもマストじゃない。装着する目的を踏まえ正しい判断を」(小林教授)
正しいマスクの装着方法。
自分に合うマスクサイズの測り方。
外した後の管理が肝心。
不織布とガーゼの違いとは?
身近なマスクは使い捨てマスクと布マスク、つまり不織布とガーゼに分かれる。
「長所と短所はそれぞれ。不織布は目が細かくバリア性に秀でていますが、通気性がガーゼに比べると劣り、息苦しさを感じる人も。一方、ガーゼは生地表面の凹凸が少なく肌触りが良く夏でも快適ですが、バリア性が不織布より低いです」(石鞍さん)
電車に乗る時や複数人数が集まる場に行く時は不織布を使い、暑さからムレが気になる日や顔に肌トラブルがある時はガーゼを選びフィルターを挟むなど、使うシーンと体調に応じて使い分けるのが賢明。
【不織布マスク】
【ガーゼマスク】
マスクの扱い・3つのNG。
入手困難でいまや大変な貴重品といえるマスク。テキトーに扱うなどもってのほか。
「市販のマスクはどれも高性能でバリア性が非常に高いものが多いですが、あくまで正しく装着することが大前提です」(石鞍さん)
正しい着け方を実践しても、一瞬の油断でマスクが発揮していたバリア性が台無しになりうる。以下のNG例、必ず心得るべし。
① 一時的に顎かけ。
② ポッケに突っ込む。
③ 無防備にも鼻を露出。
手元に一枚も替えのマスクがない時の最終手段。
織布マスクは使い捨てで”使い回しNG”が大原則。しかし不足する今、やむを得ず使い回すしかない状況もあるだろう。
「使い回せば必ず劣化します。手入れと併せて性能を担保する工夫も必要」(小林教授)
そのうえでマスクを捨てるタイミングとは。
「目に見える穴が開いたら捨て時。普段から丁寧に扱うのがやはり大事です」(小林教授)
作ってみよう! 2種類のマスク。
① バンダナマスク(教えてくれた人:古着屋・DEPTのeriさん)
生地にハリがある大判のバンダナで作る。好みの柄を選べばファッション小物感覚で使える。こまめに洗って使用を(寸法は乾燥機をかけて縮むのを考慮済み)。
② ハンカチマスク(教えてくれた人:ハンカチの老舗・川辺さん)
出先でマスクが急遽必要になった時、ハンカチがあれば即席マスクが作れる。ヘアゴムはコンビニなどで購入可。ただし洗いたてで清潔なハンカチを使用すること。