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【パラスポーツを10倍楽しむ豆知識】陸上でも金、自転車でも金。夏季2競技制覇のヒロイン

オリンピックやパラリンピックでメダルを獲得するだけでも、十二分に賞賛に値する。が、イギリスのカディーナ・コックスは、なんと!2016年リオ・パラリンピックにおいて、陸上競技と自転車の2競技を制覇したスーパー怪物アスリートだ。

走ることは、生きること。

コックスは、13歳から本格的に陸上に取り組み、オリンピック出場を夢見ていた。23歳の時、陸上競技の大会会場で倒れ緊急搬送された。

後に多発性硬化症であることが判明。多発性硬化症は、中枢神経系の難病だ。コックスは、手足にまひがあり、体温調整ができない。日々症状は変化し、猛練習で体温が急上昇すると、死の危険もある。

Kadeena Cox(カディーナ・コックス)
Kadeena Cox(カディーナ・コックス)/1991年、イギリス・リーズ生まれ。2014年に多発性硬化症を発症。16年リオ・パラリンピック陸上競技、自転車競技で金メダルを獲得。

「走ることは、生きること」。そう語るコックスは障害を負った後、パラ陸上を始め、15年ドーハで開催された世界選手権では、100mで優勝。

ただ、そこでとどまらなかった。どうしても他のスポーツにも挑戦したいと、その後自転車を始める。スプリント能力を活かせるスポーツだからだ。そして、16年のトラック世界選手権に出場すると、コックスは優勝した。

2つの金メダルはともに世界記録を樹立。

パラリンピックでは、障害の種類や程度に応じて細かいクラス分けがある。世界選手権に出場して驚異的な活躍を見せたコックスは、クラス分けの見直しがなされ、より軽度なクラスに変更となった。軽度なクラスに変わることは、勝率が低くなることを意味する。

Kadeena Cox(カディーナ・コックス)

しかし、クラス分けが変更になって出場したリオ・パラリンピックでも、コックスは大躍進。陸上競技と自転車の両方に出場し、陸上ではT38クラス400mで金、リレーで銀、100mで銅、自転車ではC4クラス500mトラックで金メダルを獲得。2つの金メダルはともに世界記録を樹立し、陸上400m1分00秒71の記録は今も破られていないのだ!

現在マンチェスターの大学で理学療法を学びながら、競技を続けている。練習の合間には、パンやケーキを焼いたり、ギターを爪弾いて楽しむ。

来る東京パラリンピックでの2連覇はもちろんだが、22年に行われる北京冬季パラリンピックではスノーボードでの出場を目指すという。おそるべし、コックス! 超人ぶりに注目だ。

取材・文/宮崎恵理 写真/アフロ

初出『Tarzan』No.786・2020年4月23日発売

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