「履いているだけで雑念が消え、自分のプレーに集中できるんです」(サッカー選手・長谷川唯)
text: Kai Tokuhara photo: Yuichi Sugita illustration: Shinji Abe
初出『Tarzan』No.782・2020年2月22日発売
女子サッカーで今最も脚光を浴びているミッドフィールダーの筆頭株といえば、長谷川唯選手だろう。柔らかなボールタッチ、切れ味鋭いドリブル、イマジネーション豊かなスルーパスやクロスなど、所属の日テレ・東京ヴェルディベレーザでもなでしこジャパンでもピッチで明らかな“違い”を生み出す23歳の司令塔。その優美なプレーを支えているのがスパイクだ。
「相棒以上の存在。当然サッカーをプレーするうえで欠かせないものなのですが、このスパイクだからできるプレーというのもきっとあると思うので頼りにしています」
繊細なボールコントロールと直結するスパイクだけに、最も大切にしているのは足を通した時の直感的なフィーリングだ。
「特に甲付近の革の厚さと柔らかさが好みで、履いた時に足全体が包まれるような感じがしますし、伸びにくいところも魅力です。長くモデルチェンジしていないところも個人的には好きですね。頻繁にデザインや仕様が変わると、そのつど私たちもスパイクに慣れなければいけませんので」
身長は157cm。女子サッカーのトップ選手としてはとりわけ小柄なほうで、世界が相手だとその体格差はさらに際立つ。だからこそ、この白いスパイクとともに、迷いのない閃きに満ちたプレーで大きな相手をさらりと“いなす”姿が実に痛快だ。
「これを履いていれば余計な心配がいらないというか、何かに気を取られずプレーに100%集中できるという点で選手にとってはとてもありがたいスパイクですね」