マンガで分かる! 筋トレを語る上で欠かせない「3原理&6原則」
取材・文/石飛カノ イラストレーション/沼田光太郎 取材協力/向本敬洋(東京理科大学理工学部教養・講師)
(初出『Tarzan』No.773・2019年9月26日発売)
目次
筋トレの原理・原則とは?
体力や技術を磨く「トレーニングの原理・原則」理論とは、これまでに得られた科学的知見をベースに組み立てられたもの。
原理・原則それぞれに複数の柱があり、研究者によって組み合わせは多種多様。なので、今回『ターザン』は3つの原理、6つの原則を軸に据えることにする。ちなみに、原理とは根本的な決まり事、原則は具体的な活動のルールのことだ。
さあ、マンガで筋トレの原理・原則を見直そう。
筋トレの原理① 漸進性・過負荷の原理
トレーニングで運動効果を得るためには、ある程度高い負荷をかける必要がある。日常生活レベルの負荷ではカラダは反応しないからだ。これが「過負荷」。
さらに、負荷や運動量、刺激の方法を段階的に上げていくべきである。こちらが「漸進性」。その場足踏み状態でさらなる効果は望めないという理屈だ。
筋トレの原理② 特異性の原理
トレーニングの効果はトレーニングの内容によって特異的に向上する。たとえば、胸を大きくしたいのにアームカールばかりやっても意味がない。目的によって然るべき内容のトレーニングをすべしという話。
筋トレの原理③ 可逆性の原理
トレーニングで得られる効果はトレーニングを続けている間は維持・向上するが、やめてしまうと失われていくという原理。とくに短期間の筋トレで養った筋肉は、トレーニングをやめると短期間で落ちてしまう。
逆にトレーニングを長期間続けた人ほど、筋肉が失われるスピードは遅くなる。ま、言われてみれば当たり前の理屈。
さて、続いてトレーニングの6原則
これを知らずして、あるいは知ってはいるけどうっちゃって漫然とトレーニングしていると、効果はほとんど望めない。頭打ちになったら、そのつどフンドシ締め直すつもりでおさらいしてほしい。
原則① 意識性の原則
今、使っている筋肉を常に意識する。なんなら、かの筋肉芸人同様、筋肉と対話するつもりでトレーニングを行う。
これはギャグではなく、トレーニング用語では「マインド・マッスル・コネクション(MMC)」という筋肉と意識を連動させる方法。効かせたい部位に意識を集中することで、筋活動がより大きくなり肥大効果もアップする。常に集中!
原則② 全面性の原則
ある部分の能力を向上させたいなら、他の部分も同じレベルまで向上させるべし、という考え方。筋トレでいえば、胸というひとつの部位だけでなく、背中、肩、上腕とバランスよく鍛える必要があるということに。
ボディメイクで特徴的なポイントは肩の丸みと背中の広がり。胸ばかり鍛えると見た目のバランスが悪くなる。さらに、偏った筋肉をつけてしまうと日常生活やトレーニング中にケガをするリスクも。
原則③ 専門性の原則
専門的な目的があるなら、それに合ったトレーニング方法を選択すべし。筋トレの場合は目的によって負荷や反復回数を変える。
最大筋力を上げたいなら高重量の負荷を使って6〜8回程度行う高負荷トレーニング、筋肥大によるボディメイクを目指すなら中等度の負荷で10回繰り返すトレーニング、筋持久力を上げたいなら15〜20回行える程度の低負荷トレーニングが適当といえる。
原則④ 個別性の原則
安全に長くトレーニングを続けるためには、個人的な体力、筋力、精神的な特性に応じた運動を行わなければならない。
たとえ、初代タイガーマスクの佐山聡に憧れていたとしても、筋トレ初心者がいきなり片手懸垂できるはずがない。まずは初歩的な自体重トレーニングからコツコツとスタートしよう。
原則⑤ 漸進性の原則
「漸進性」というワードは原理でも出てきたが、原則=基本ルールでも重ねて意識したい重要ワード。体力や競技力の向上に伴ってトレーニングの強度やボリュームも段階的にアップさせていく必要がある。
たとえばスクワットするときに足の幅を広くしてワイドスクワットにする、ベンチプレスのときにグリップの幅を広めにとるなど、負荷だけでなく難度を上げていくのもひとつの手。強度や難度を上げつつプログラムを再検討していくことがとても重要。定期的にプロのトレーナーに相談するもよし。
原則⑥ 反復性・周期性の原則
トレーニングの効果を得るためには、一定期間、運動を規則的に繰り返す必要がある。スポーツ、楽器、筋トレ、万事においてテクニックを習得するには、これ必須。
くに筋トレ初心者の場合、一つの種目のフォームを習得するにはそれなりの時間がかかる。正しいフォームが再現できるようになるまで、しつこく反復すること。効果が出ないのは間違ったフォームで行っていることが原因かも。そしてフォーム習得後も、さらなる継続を。