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2019.01.11

厳しさ増す、平昌五輪以降のスポーツ界のアンチドーピング事情

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2018年の平昌五輪では、ロシアの国家ぐるみでのドーピング隠蔽が話題になった。かの国のドーピング隠しを暴いたドキュメンタリー映画『イカロス』は、2017年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞している。かくも注目されるアスリートの禁止薬物問題の背景には、いったいどんな事情があるのか。

連日のメダルラッシュに日本中が沸いた平昌オリンピック&パラリンピック。しかし、そんな歓喜に溢れる大会に水を差したのがドーピング問題だった。

ボブスレー女子、カーリング男子のロシア人選手、そしてスピードスケート・ショートトラック男子で日本代表選手にも陽性反応が出た。過失なのか故意なのか真相は明らかでないが、いずれにせよ世間は厳しい目を向けている。

「競技力向上以外の目的で服用した薬に禁止成分が入っていた場合、以前は気の毒という風潮がありました」と語るのは、スポーツトレーナー・桑原弘樹さん。

「ところが最近は、たとえうっかりだったとしても、他者に混入される以外は誰も同情してくれない。選手が持病治療のために禁止成分が入った薬を服用する場合は、事前に申請する必要があります。その義務を怠ったなら自己管理不足によりプロ失格、と見られるのです」

それほど全世界を挙げてアンチドーピングが広がるなか、背を向けているのがロシア。組織的にドーピングを隠していたことが疑われ、国家として平昌五輪に出場できなくなったことは記憶にも新しい。

「禁止薬物に抵触しないドーピング薬を研究しているところはあります。それを発見するために審査をアップデートする。まさにイタチごっこです」(スポーツ庁国際課・今泉柔剛さん)

日本はアンチドーピングの取り組みが強化されており、違反確定率は約0.1%と世界一。ただし皆無ではないため、今後もドーピング防止運動を推進していく方針だ。

競技時に禁止される薬物には、こんなものが

利尿薬・隠蔽薬

排泄する尿量を増加させ、尿中に排泄する禁止薬物や代謝物の尿中濃度を下げる。ボディビルや柔道、ボクシングなど体重別の競技では、水分の排泄を促して体重を減らすことで成績を有利に導くため禁止。 フロセミド/デスモプレシン/プロベネシド/アルブミン/アミロリド/クロルタリドン等。

興奮剤

中枢神経を刺激して、俊敏性を高め、疲労感を激減して闘争心を高める。疲労の限界が薬により正しく判断できなくなり、ときには試合相手に危害を与える可能性があるため禁止。薬によっては死亡事故も発生している。 エフェドリン/アンフェタミン/メチルヘキサンアミン/オキシロフリン/プロリンタン等。

ホルモン調整薬・代謝調整薬

乳がん治療薬、骨粗鬆症治療薬、排卵誘発剤として使われる薬もあるが、抗エストロゲン(女性ホルモン)作用を有する、つまり男性化するため禁止。ミオスタチン阻害薬は筋力向上等が期待できるため、禁止成分に指定。 アンドロステンジオン/ミオスタチン阻害薬/レトロゾール/ホルメスタン/トレミフェン等。

ペプチドホルモン

本来カラダの中にもあるペプチドホルモンだが、赤血球生成促進因子であるため、外から投与すると酸素運搬能力が上昇する。マラソンや自転車競技など持久力が必要な種目では運動能力の強化になるため使用が禁止。 エリスロポエチン/メトキシポリエチレングリ コール/アシアロEPO/カルバミル化EPO等 。

ベータ遮断薬

静穏作用のため、不安解消や「あがり」を防止する。また心拍数と血圧の低下作用で、心身の動揺を少なくする。アーチェリー、自動車、ゴルフ、射撃など、精神を安定させることで優位に働くスポーツで禁止される。 アテノロール/ブノロール/カルテオロール/ レボブノロール/ナドロール/ピンドロール等 。

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取材・文/黒澤祐美 イラストレーション/安ヶ平正哉 監修/青田正順(JBBF専務理事)、桑原弘樹(コンディショニングスペシャリスト)、今泉柔剛(スポーツ庁国際課)
(初出『Tarzan』No.728・2017年10月12日発売)

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