• 犬といると、カラダもココロも健康になる6つの根拠
COLUMN
2018.12.24

犬といると、カラダもココロも健康になる6つの根拠

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カラダを変えるには習慣を変えなくてはならないが、30歳を過ぎる頃には生活の大半は固定化している。その固い壁を突き崩せないと、ダイエットも運動も長続きしない。でも、ここに不健康で体型の緩みに直結する怠惰な生活を劇的に変える秘策がある。そう、犬を飼うのです。

健康増進やボディメイク狙いで犬を飼う人はたぶんいないだろう。だが、その気がなくて単に犬好きで飼っただけなのに、知らない間に健康的な生活に変わり、体重が落ちてメリハリ体型に近づく人が大半なのだ。

早起きが習慣になる、散歩で歩数が増えるといったよく聞く変化だけが、フィットネス度を高める理由ではない。フィジカル面とメンタル面に分けて、犬との生活がもたらす御利益を解明していこう。

1. 歩数が増えるおかげで3か月で体脂肪1㎏分痩せられる

歩くことは手軽な運動。だが、日本人の平均歩数は男女ともに右肩下がりで減り続けているのが現状だ。

ウォーキングを生活に取り入れるとダイエットにもメタボ予防にも効果的なのは誰もが知っているけれど、続けるのはなかなか難しいもの。なぜならパートナーがいないからだ。

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今度こそウォーキングを習慣化したいなら、相棒になってくれる犬を飼うのが近道。犬を飼うメリットを語るうえで、やはりこのポイントは無視できない。「イギリスの大学の研究者らが行った研究によると、犬の飼い主は1日平均22分多く歩くとされています」(家庭犬しつけインストラクターの西川文二さん)。

この研究では、犬との散歩の平均歩行ペースを時速約4・8㎞と報告している。これは安静時の3.5倍の運動量(3.5メッツ)だ。体重65kgの人が22分余分に歩いたと仮定すると、消費カロリーは1日80キロカロリー押し上げられる。体脂肪は1kg7,200キロカロリーだから、90日(3か月)あれば体脂肪換算で1kg痩せられる。単純計算だが、1年で4kgも体脂肪が減るのだ。

トレーニングも続けないと期待した成果は得られない。その点、犬の散歩は三日坊主では終わらないから、継続は約束されたようなものだ。

2. 喫煙より悪い「坐りっ放し」の時間が減って健康になる

1日の消費カロリーの約30%は、家事や通勤といった日常生活における活動。これを生活活動と呼ぶ。日々の生活活動が低調に終わると、消費カロリーが落ちて太りやすい。

生活活動を増やすポイントは、坐りっ放しを避けてちょこまか動き回ること。それなのに、オンでもオフでもスマホやパソコンといったIT機器をいじる時間がダラダラ続くと、椅子やソファに根が生えたように坐って動かない時間が長くなる。

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犬を室内で飼うと、自然に生活活動が増えてくる。犬はつねに飼い主にかまってもらいたいからだ。同じ屋根の下で暮らしているだけでも、誘いに応じて遊んだり、トイレシートを替えたり、フードをあげたりするために椅子から立ち上がり、ちょこまか動くことになる。

ちなみに日本人は世界でもっとも坐っている時間が長いとか。オーストラリアのシドニー大学が世界20か国を対象として行った調査によると、成人が坐っている時間の20か国の平均は1日5時間だったのに、日本人は7時間と最長だったという。

坐りっ放しは喫煙よりも健康に有害であり、寿命を短くする一因とも指摘されている。犬は人生を末永く健康に過ごすためにもかけがえのないパートナーなのである。

3. 副交感神経が優位になり、血管が緩み心拍数が落ち着く

この世の中でストレスのない人を見つけるのは、痩せたいと思わない女子を見つけるよりも難しい。

ストレスの源となるストレッサーが何であるにせよ、ストレスは自律神経のうちで心身を興奮へと導く交感神経を優位にする。交感神経は運動時のように短時間だけ優位になる前提で設計されており、ずっと交感神経のスイッチが入っていると過充電されたひと昔前のスマホがダメになるように、心身に悪影響を及ぼす。

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真っ先に被害を被るのは大事な心臓と血管。交感神経がオンになると心拍数が上がり、血管が収縮して血圧が上昇してしまう。そうした状況が長年続くと血管が老化する動脈硬化が進み、心臓病や脳卒中といったコワい病気のリスクが高くなる。

犬と触れ合っていると交感神経がオフになり、代わりに心身をリラックスへと導いてくれる副交感神経がオンになりやすい。副交感神経が優位になると心拍数が落ちて、血管が緩んで血圧も下がってくる。

オーストラリアで行われた実験では、飼い主と犬を一旦別々の部屋に入れておいてから再会させると、飼い主の心拍数は20ポイントもダウンしたという。アメリカ心臓協会も、心臓病予防の見地から犬などのペットを飼うことを推奨している。

4. 最強の幸せホルモンであるオキシトシンがドッと出る

犬をはじめとする動物との触れ合いを介して、心身の機能を改善して生活の質を高める試みが日本でも広がってきている。これをアニマルセラピー(動物介在活動)と呼ぶ。その中心になっているのも犬だ。

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家庭犬と飼い主30組が30分交流してその様子を観察した結果、犬が飼い主をよく見つめる群は犬も飼い主も尿中オキシトシン濃度が上昇。対照群の狼は変化ナシ。出典/麻布大学、2015

大昔から犬との触れ合いは癒やしになることは経験的にわかっていた。最近では脳科学の進歩により、より具体的なメカニズムが解明されるようになった。鍵を握っているのは、オキシトシンという物質。

オキシトシンは脳で分泌されて、脳内で作用しているホルモン。母親が赤ちゃんを抱っこする、恋人同士が手と手をつなぐ、愛あるセックスを交わすといった幸せを感じるシチュエーションで大量に分泌される。その事実から〝幸せホルモン〟という異名が冠されている。犬などのペットとの触れ合いでも、幸せを呼ぶオキシトシンが分泌される。

犬との生活で幸せ度を引き上げるコツは、愛犬を心から愛して見つめ合う時間を増やすこと。

2015年に麻布大学が行った実験では、犬を注視している時間が長いほど、飼い主のオキシトシン分泌量が増えるとわかった。その際、犬側でもオキシトシンの分泌量は増えていたのだ。飼い主も愛犬も幸せになるのだから、互いに目と目を合わせる良好な関係を心掛けたい。

5. 心身のストレスを犬が軽くしてくれる

犬と戯れ合っていると、頑固な肩こりや腰痛などの痛みを忘れてしまうことがある。それはひょっとしたら、脳内で分泌されるβ-エンドルフィンという物質のおかげかも。

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β-エンドルフィンは脳内の報酬系と呼ばれる領域に多く広がり、鎮痛物質として働いている。β-エンドルフィンの鎮痛作用は、あのモルヒネの数十倍に達するのだ。「このβ-エンドルフィンの分泌が、犬との触れ合いで2倍以上に増える事実が研究で確かめられています」。ちなみに、β-エンドルフィンはラン中に訪れる多幸感であるランナーズハイの原因物質ともされてきたが、残念ながら現在では否定されている。

犬との触れ合いにより、逆に体内での分泌が減る物質がある。それはコルチゾールだ。

コルチゾールは、ストレスを受けると副腎皮質から分泌される抗ストレスホルモン。短期的には糖代謝や免疫の活性化といったプラスの作用を持っているが、長期にわたって過剰に分泌されると脳で記憶に関わる海馬が萎縮するなどの悪影響が出る。コルチゾールが減るということは、犬との触れ合いでストレスが軽くなることを意味する。

犬を飼うと心身の痛みとストレスは確実に軽くなるのである。

6. 前頭前野を活性化。脳のアンチエイジングに

運動が足りないと20代以降、筋肉と筋力は1年に1%ほどの割合で右肩下がりにダウンするとされる。

筋肉だけではない。同じように脳力も知らない間に加齢に伴ってじわじわと衰える。「あれ」とか「それ」といった指示代名詞の使用が増えてくると要注意だが、犬を飼うとこうした脳力の低下にブレーキをかけてアンチエイジングにつながる。

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脳の中でもいちばん衰えを心配すべきなのは、前頭前野という部分。前頭前野は額の奥にあり、脳の中の脳と称される本家本丸。他の動物と比べてヒトで特別に発達しており、高度な知的機能を担っている。

この前頭前野は犬との交流で活性化する。「おとなしい犬を撫でている人の脳の状態を、光トポグラフィー(近赤外光脳機能測定装置)という機器を用いて調べた実験では、犬に触れているときに前頭前野が活発に働くことがわかっています」。言葉が通じない犬の立場に立ち、彼らを思いやるのは想像以上に知的な作業であり、脳を刺激するのだろう。

ランのような有酸素運動でも、前頭前野を刺激する働きが知られている。犬と連れ立って軽く走れたら一石二鳥で最強だが、インドアで犬と遊んでいるだけでも、脳のアンチエイジングには十分役立ちそうだ。


取材・文/井上健二 撮影/角戸菜摘 取材協力/西川文二(Can! Do! Pet Dog School代表、家庭犬しつけインストラクター)
(初出『Tarzan』No.750・2018年9月27日発売)

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