喰わず嫌いでごめんなさい、あの人に案内してもらいました
毎年11月に開催される秩父と奥武蔵をぐるり巡る『ファントレイルズ100(FTR100)』、なかなか評判がいい。
とはいえ初心者がいきなりぶっ通しで100kmは厳しい。なので今回は大会開催の張本人、プロトレイルランナーの奥宮俊祐さんに、大会コースの中からいいとこ取りをしてもらった。『ターザン』読者のために楽しく走って楽しく終われる、奥宮俊祐特製の15.6kmである。
奥宮俊祐・特製15.6kmコースマップ
スタートは西武秩父線芦ヶ久保駅、西武池袋線飯能駅から8つ目だ。駅前に道の駅〈果樹公園あしがくぼ〉があるので携帯食などをここで調達してもよし。で、国道を越えて果樹公園の舗装路(クルマに注意)を上がってゆく。向かうは「県民の森」、そんな案内がいくつもある、安心していい。
高みに上がって振り返ると採石場と化した日本二百名山のひとつ、武甲山北面の無残なことよ。やがて右手に木ノ子茶屋があらわれ、100mほど通り過ぎた右側にトレイルが始まっている。いよいよ土の細道へ。入り口には「熊に注意」の看板、緊張するなあ。狭い杉林を抜けると広い防火帯に出る、ここが日向山分岐、その防火帯を上ってゆくのだ。
右下の標高グラフを見てもらうとわかるけど、芦ヶ久保駅から県民の森までは上りっぱなし、でも我慢していただこう、その先は気持ちのいい下りがあらわれるから。
ちなみに県民の森にはクルマでアクセスできる(途中の舗装路がそれだ)、なので100kmレースではここがエイドステーション。
県民の森からは丸山へ、稜線に沿って進むと、なにやら高いところに怪盗ルパンのアジトのような不思議な建物。手前の急坂を上り切ると実はそれ展望台で、その脇に丸山の山頂標高960mの道標。
丸山の展望台、階段を上がると屋上にニコンの双眼鏡が3台も設置されている。ぐるり360度の大展望をお楽しみいただこう。もちろんコインなど入れる必要なし(そんな穴もない)、無料で大眺望拡大。
その先、大野峠までは快適斜度の下りばかり、途中にどどんと大きく開けたパラグライダー場、なんと気持ちいい。天気がよければスカイツリーまで見通せる。
笹に囲まれた明るい南斜面をばんばん下ると右に分かれる分岐、「大野峠」とあるからそっちへ。
うっそうとした林を抜けるとそこが大野峠、大きな広場、そして舗装路だ、大きな周辺地図も掲示してある。
ここが要注意、続くトレイルは舗装路を100mほど進んだ右側に「刈場坂峠」の道標があるから、それ。そこからは舗装路に並行してトレイルが進む、何度か舗装路に出たり入ったりしながら牛立久保の分岐、「虚空蔵峠」方面へ。
100kmレースのときは逆走、左の「刈場坂峠」からやって来る。今回は右の虚空蔵峠へ。
途中から虚空蔵峠まで舗装路(300mくらい)を進むことになるけど驚かず。大丈夫だ、虚空蔵峠の東屋の先から再びトレイルが始まっている。
狭い尾根筋を進むとサッキョ峠の案内。そしてその先がなんとまあの急坂な階段。段差が大きく、また段を支える丸太が朽ちているため土が崩れて上りにくいのなんの、虎(黄色・黒色)ロープが垂らしてあって、これを摑め、という配慮。
いやんなるくらいの激坂で長い長い。ようやく終えたと思ったら、その先にもうひとつありやんの。
ふたつ目の階段を越えた先に旧正丸峠、ここは「正丸峠・正丸駅」ではなく「正丸駅」へ。つまり正丸峠を経由せず、直に正丸駅に進むってこと。ばんばん下るとまたしても舗装路、これまた次なるトレイルの入り口がわからない。このまま舗装路を正丸駅までと思いきや、100mくらい進んだ先の右側、ガードレールの隙間に道標「正丸駅」がある。
こいつは見逃しやすい、特に特に注意(地図参照)。トレイルは沢沿いとなって奇岩、巨岩の脇を行く、おもしろいよ。
やがて国道に出るから道なりに進んで10分もかからず正丸駅に到着。
駅から駅へ、全部で15.6km。所要時間は4時間ちょっと、というところ、初心者でも楽しく終われる。
お腹が空いたら、飯能駅まで戻って、奥宮さんの大のおすすめ〈長寿庵〉(TEL:042-972-3596)。ここんちのオムライス900円、並サイズで満腹です。
おっと、飯能駅から先の西武秩父線は1時間に2~3本しか運行していない、ご注意。
奥宮俊祐・特製15.6kmコースマップ
ナビゲーター
奥宮俊祐(おくのみや・しゅんすけ)/プロトレイルランナー、トレイルイベントの〈ファントレイルズ〉主宰。2015年日本山岳耐久レース優勝を筆頭に国内外のレースでも活躍。