カラダにストレスを与えない無縫製の立体編みニット〈 PRISTINE gents 〉のボクサーショーツ
取材・文/井出幸亮 撮影/阿部 健
(初出『Tarzan』No.753・2018年11月8日発売)
肌に密着するという意味において、下着は最もダイレクトにカラダに訴えかける存在であるにもかかわらず、ショーツに強いこだわりを持つ男性はまだまだ少ない、という気がする。
意識の低さか気恥ずかしさからか、少々肌触りが悪くても、締め付けが厳しくても、何となく我慢して穿き続けている人が多いのではないか。
20年以上も女性向けを中心にオーガニックコットンによる上質なウェアを提案してきたブランド〈プリスティン〉がそんな男性たちのために5年をかけて企画・開発したのが、《縫い目のない立体編み 薄手ショーツ》だ。
布帛をパターンにカットして縫製する一般的な肌着の製法でなく、一着まるごとが編み機から直接立体的に編成される「無縫製」のニットによるもの。内側に縫い代がないため、肌に当たってゴロゴロすることもなく、また編み地がカラダに抜群のフィット感をもたらす。
同ブランドの奥森秀子さんに聞けば、こうした立体成形のショーツは、もともと「競輪選手用の競技パンツとして開発されたもの」だという。
「カラダに不要なストレスを与えないだけでなく、編み地全体が伸縮する作りなので、運動による強い負荷がかかった際に縫い目から裂けることもなく、耐久性も非常に高い。こうしたスポーツ用のショーツを肌触りのよいオーガニックコットンに置き換えようと、原糸の素材や細さから編み地のテンションの強度まで、何度もテストを繰り返し、試行錯誤を重ねました」
肌着作りの豊かな経験値から生まれた、男性のための「究極のショーツ」。アメリカ原産のスーピマ綿で引いた極細の80番双糸を使った生地はなめらかで、バインダーやゴムもなく全体的にフィットする。そのあまりの軽く自然な着心地に、思わず「穿いていることを忘れてしまう」という感覚に陥る人も少なくないのだとか。
「こうした無縫製には日本のメーカーが作る特別な編み機が必要ですが、その編み機があれば誰でも編めるというものでもなく、それを使いこなす職人の方の卓越した技術が必要です。日本のテクノロジーと職人業が融合した商品だと言えると思いますね」
※製品情報は全て掲載当時のものです。