これを食べていたら怒らない!? キレないための朝食の法則

とある栄養が不足するとキレやすい。これ本当。何をチャージすべきか、答えはトラディショナルな朝食にありました。

取材・文/黒澤祐美 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 取材協力/貴堂明世(管理栄養士)

自分が好きなものを食べるとイライラがきれいサッパリ消える、なんてことはよくある。だからメンタルにも食事は大切。栄養を補ったり、生活リズムを整えたりするだけでなく、気持ちのスイッチを切り替える効果もある。

3食の中で、特に怒りに関わりがあるのが朝ごはんだ。内閣府の調査によれば、朝食を食べない人は食べる人に比べ、物理的・身体的ストレスを感じやすいこともわかっている。外食になりがちな昼夜の食事に対し、朝食は自分の意思で必要なものを食べられる。また、外出先では摂りにくい発酵食品も取り入れやすい。

ポイントはまず、炭水化物、タンパク質、脂質をバランスよく食べること。普段の朝食を思い返してほしい。トースト1枚もしくはおにぎり1つ、ちょいと健康を意識してスムージー1杯、なんて人も結構多いのでは? これではタンパク質が全然足りていない。味噌汁、豆腐、魚を追加する、ここにはないが卵もいい。ただし肉か魚どちらかを選ぶなら、魚がベター。なぜなら、魚をよく食べる人と肉をよく食べる人とでは、魚を好む人の方が、攻撃的反応が少ないというのだ。魚の脂肪酸と同じ、n-3系の油を食事にひと垂らしするのもいいだろう。

また、むしゃくしゃすると、甘いものが食べたくなる。砂糖を摂るとドーパミンが分泌され、幸福感を感じやすいからだ。が、砂糖の摂り過ぎは低血糖の引き金になり、イライラを招く。糖を摂る時は、糖の吸収がおだやかなGI値の低いものを選び、よく嚙んで食べよう。

そうそう、朝ごはんをしっかりおいしく食べるためにも、前夜のアルコールはほどほどに!

キレない食事のコツ

  • 朝ごはんはマスト
  • 主食・主菜・副菜を揃える
  • 血糖値を乱高下させない
  • 肉よりは魚のほうが攻撃的にならない
  • n-3系の油をプラス
  • アルコールの摂り過ぎ注意

1. ほうじ茶…飲んでも嗅いでもリラックスできるカフェインを抑えた日本のお茶

まずはほうじ茶でホッとひと息。ほうじ茶にはリラックス作用のあるテラニンが含まれており、高ぶっていた感情を抑えることができる。一方でコーヒーや緑茶などカフェインを多く含むものは、カラダを興奮状態にするのでできるだけ避けたい。

2. ヨーグルト…タンパク質、カルシウム、乳酸菌。抗ストレス栄養素をいっぺんに補う

神経の伝達機能や興奮を鎮める役割を持つカルシウム。主に小魚、海藻、大豆製品などに含まれているが、もっとも体内への吸収率がよいとされるのがヨーグルト、牛乳、チーズなどの乳製品だ。血液中のカルシウム濃度が下がると感情のコントロールが利かなくなり、イライラの原因に。1日200ccを目安に食べよう

3. 果物…オクタコサノールは皮にあり! 丸ごと食べられるフルーツを選ぶ

ブドウは皮ごとパクリと食べてほしい。なぜなら果物の皮を覆っている植物ワックスに、ストレス抑制や疲労回復に効果のあるオクタコサノールが含まれているため。リンゴ丸ごともおすすめ。ちなみにグレープフルーツやオレンジなど柑橘系の果物からは、リラックス効果のあるテルペンが摂取できるためこちらも◯。

4. 青菜ときのこの味噌汁…野菜を手軽にかつたくさん食べたければ汁物にするのがベスト

具だくさんの味噌汁は、お腹も溜まるうえに一杯で多くの栄養素が摂れるのでとても優秀。今回は青菜ときのこ。青菜にはマグネシウムが、きのこにはビタミンDがそれぞれ含まれており、どちらも抗ストレス作用がある。マグネシウムは約60%が骨に存在しており、血中マグネシウムが減少すると骨から取り出される仕組みになっている。で、その骨の形成に欠かせないのがビタミンD。カルシウムの吸収を高める効果も。

5. 焼き魚…周りに敵を作りたくなければ魚に含まれるn-3系の油を摂取せよ

朝食のメインディッシュは焼き魚。鰺の開きに限らず、鯖の塩焼き、ブリの煮付け、その他イワシ、サンマ、ニシンなどでもいい。摂りたいのは青魚に多く含まれる脂肪酸、DHAとEPAである。というのも、キレやすい人は血中のDHAが少ないことが研究で明らかになっている。また肉ばかり食べるのも、攻撃的反応を高めることになるとか。気をつけたし。

6. 豆腐…キムチやしらす、納豆、ネギなどトッピングを変えれば飽きもこない

豆腐をはじめ、魚、味噌汁、ヨーグルトなどに含まれるタンパク質を構成するアミノ酸の一つ、トリプトファン。カラダと心の安定を図る幸せホルモン、セロトニンの材料にもなる栄養素なので、積極的に摂っておきたい。豆腐の上には鰹節をぱらり。旨味成分であるイノシン酸が脳の活性化を促してくれる。

7. ぬか漬け…植物性乳酸菌で腸を整えれば、免疫力が上がり心も健やかに

発酵食品に含まれる乳酸菌は腸内細菌の栄養源であり、腸内環境を整える効果がある。腸内環境を整えるとGABAやトリプトファンの生産性が上がる、すなわちリラックスした状態が作られやすいということ。自分でぬか漬けを漬けるとなるとハードルが高いので、出来合いのものでもちろんOK。

8. 玄米ご飯…GABAのリラックス効果でイライラに直接働きかける

玄米はGI値が低く、抗ストレス作用のあるビタミンB₁、B₂の他に、アミノ酸の一つであるGABAが多く含まれている。GABAの作用は抗ストレス、リラックス、不眠解消、血圧低下、中性脂肪の低下、脳細胞の活性化など。つまり、ストレスを全般的に抑えてくれる効果がある。GABAの摂取量は10〜50㎎が目安。茶碗1杯分には約10㎎が含まれている。