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デブの食生活は逆ピラミッド形? 痩せられない人の12のダメ食習慣

真面目にダイエットをしているつもりなのに、いっこうに体重が減っていかない…。その原因は都合のいい思い込みや勘違いのせいで、「痩せる食生活」になっていないからかも。12のダメ食習慣を反面教師にして、もう一度、減量の方法や日々の食事を見つめ直そう。

1. 食事記録が大雑把すぎる

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体重と体脂肪を落とすには、多かれ少なかれ摂取カロリーと食事量を抑える必要がある。それは中学生でもわかる理屈だが、減量に失敗するタイプは食生活の把握が大雑把すぎる。

いつも食べている食品のカロリーを知らないし、「頑張って減らした!」と胸を張っても、実際は大盛りライスの最後のひと口を我慢しただけ。食事日記をつけ始めても、3食以外の間食やお酒はなぜか治外法権になっていて記述しない人も少なくない。挙げ句に「カロリーも食事量も減らしたのに、痩せないのは体質だ!」と開き直る始末。

自分のことは自分ではわからないもの。まずはアメ玉1個まで食べたものを書き出す、きめ細かいセルフモニタリングで食生活を冷静に振り返ろう。

2. 野菜を免罪符にして食べすぎる

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平均的な日本人の野菜摂取量は1日290gほどであり、厚生労働省が薦める1日350gを大きく下回っている。さらに、太っている人は揚げ物や豚骨ラーメンのようながっつり系を好む反面、野菜の摂取が平均以上に少ない傾向がある。太っていてもいなくても野菜は積極的に食べたいものだが、野菜さえ食べれば痩せるわけではない

「おやつはやめられないが、野菜サラダを食べた」とか「ラーメンを食べたけど、野菜をマシマシにしたから大丈夫」というように、「野菜をあまり食べてこなかった人に限って、野菜摂取をまるで免罪符のように捉えがち」(肥満治療が専門の島野雄実医師)である。しかし、太りやすい食習慣が変えられなかったら、野菜をせっせと食べたとしても痩せられるはずもない

3食ごとに野菜を食卓に乗せるのは、SNSなどで他人に自慢する特別なことではなく当たり前のこと。野菜で栄養バランスを整えつつ、脂質と糖質を減らしてカロリーもダウンさせたい。

3. 白か黒か、理想を追求しすぎて挫折する

学校を出てから一度もまともに運動をしてない人に「痩せたいなら週3回、30分走れ!」と助言しても、実現できるわけがない。同様にこれまで丼物かファストフードの高カロリー食で3食を済ませていた人に、いきなり一汁三菜の低カロリー食に切り替えろと迫っても無理な相談

白でなければ黒というオール・オア・ナッシングの思考に陥って理想を追求すると、ハードルを上げすぎた結果、挫折して丼物やファストフードの世界へ逆戻りしやすい。

目標を持つことは大切だが、その過程には、白と黒の間にグレーのグラデーションがあるように段階がある。初めは1日3食のうち、少なくとも1食を低カロリーな一汁三菜に替えるなどして、少しずつ理想に近づける努力を。

4. ゼロ系食品で甘味への欲望を満たす

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最近、糖質や糖類がほぼゼロで低カロリーなのに甘いゼロ系の飲料や食品が増えてきた。けれど、甘いモノ好きでダイエットに連戦連敗中なのに、便利なゼロ系食品に頼りすぎると一向に痩せない。甘いゼロ系食品がやめられないのは、甘味への欲求を断ち切っていないから。

「代替食は本物とどこか違います。甘味への未練が残っている限り、いずれ本物のスイーツに回帰してリバウンドする恐れがあります」。

ゼロ系食品は、自転車に乗れるまで使う補助輪のように期間限定のサポート食品であり、ずっと頼ろうとすると痩せにくい。補助輪の助けでスタートダッシュが利いて体重が落ちたら、その成功体験を胸に甘味への愛着を断ち切り、ゼロ系食品にサヨナラしよう。

5. コスパがいいから大盛り店に行く

ランチタイムは大盛り無料、麺類にはもれなくご飯をサービス! なかなか痩せないタイプは、そんな気前がよくてコスパ抜群のお店を好む。食べすぎはダメだと頭ではわかっているのに、暖簾をくぐると「せっかくだから」と大盛りや無料のご飯を頼んでしまう。サービスしてくれるのはだいたいご飯や麺類といった糖質だが、糖質を一度にたくさん摂ると血糖値が上がりすぎ、膵臓から血糖値を下げるインスリンというホルモンが大量分泌される。インスリンは体脂肪の合成を促す肥満ホルモンだから、それだと当然太りやすい。

減量中はお店選びの基準を変更。コスパが多少悪くても、小鉢類が充実していて、ご飯を丼ではなく普通のお茶碗で出してくれるお店をチョイスせよ。

6. 糖質制限やミニ断食をやりたがる

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食事のカロリーを抑える際は、栄養バランスを変えずにそのままダウンサイジングするのが鉄則。でも、主食、主菜、副菜から偏りなく減らして適量を守るというオーソドックスな方法を面倒に感じて、主食を抜く糖質制限、油脂を食べないアブラ断ち、週末のプチ断食といった極端なダイエットに走りやすい。

とくに男性は厳しい食事制限で一発逆転を狙いますが、短期的には成果が出ても、遅かれ早かれ心が折れて中断。リバウンドします」。

長く続けられて効果的な方法は「やるぞ!」と腕まくりして挑むものではなく、努力せずに平常心で取り組めるもの。朝ご飯を小盛りにし、ランチの250gのハンバーグを150gにするところからスタートさせるべきだ。

7. こんにゃく系食品で満腹感を得たがる

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こんにゃくは食べ応えがあるのに、カロリーがほとんどゼロ。ダイエッターはこんにゃくゼリーで小腹を満たしたり、こんにゃくから作られるしらたきを刻んでご飯に混ぜたり、パスタの代わりに使ったりして大いに活用している。

こんにゃく系食品を有効利用するのは悪くないが、それで満腹になるまで食べる習慣が抜けないのだとしたら、ちょっと問題。血糖値やホルモン以外にも、食べ物が入って胃が物理的に膨らむという刺激も満腹感をもたらしている。

こんにゃく系食品などで毎度お腹が膨らむまで食べていると、胃が大きくなり、食事量を少しでも減らすと満足できないからダイエットに失敗しがち。減量のために胃を小さくする手術が行われることからもわかるように、小食に慣れて胃の容量を徐々に小さくすれば、早めに満腹が感じられて暴飲暴食が防げる

「こんにゃく系食品は早めに卒業した方が、長い目で見ると減量に成功しやすいのです」(島野先生)。

8. 生野菜よりもおひたしを選ぶ

麻婆豆腐やカレーを飲み物だと主張する人もいるようだが、咀嚼を省略すると思った以上に大量の食べ物がスルスルと入って食べすぎる。そもそも食感を大事にするのは日本人の特徴の一つであり、ゆっくり咀嚼しながらシャキシャキした食感や食べ応えを楽しむと脳で「しっかり食べた!」という充足感が深まり、少量でも満足しやすい。

加えて咀嚼の刺激は満腹中枢をオンにしてくれるし、そのうえ活動的な環境を整える交感神経を優位にして体脂肪の分解も促してくれるのだ。

硬くて食物繊維が多い方が、咀嚼が求められて食べ応えがあるから、白米より玄米や雑穀米、ミートボールよりステーキのような固まり肉、冷や奴より納豆、青菜のおひたしやスムージーより生野菜、ケーキより煎餅の方が太りにくい。ひと口ごとに 回以上嚙むことを目標に味わい尽くそう。柔らかい食材を食べる際も、口の中で溶けてなくなるまで意図的に咀嚼回数を増やすと過食が自然に避けられる。

9. 欠食で過食のつじつまを合わそうとする

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1日3食のうちでも夕飯は食事量とカロリーをもっとも控えめにするべき。食べた後はバタンキューで寝るだけだとカロリーが余って体脂肪に変わりやすいし、体脂肪を合成する酵素の活性も昼間より高くなっているからだ。ところが、痩せられない人の大半は、朝→昼→夕と段階的に食事量と摂取カロリーが増える逆ピラミッド形の食生活をしているもの。

「その弱点を指摘すると、夜は一日頑張ったご褒美に思い切り食べたり飲んだりしたいから、その分朝食を抜くという欠食行動でつじつまを合わせようとしますが、それは逆効果です」。

人は空腹だと飢餓への恐怖から本能的に高カロリーの食事を選びたがるから、朝食を抜くとランチががっつり&こってり系になる。加えて朝食を食べてないことを言い訳に、夕飯を確信犯的に大食すると、1日トータルでは2食で通常の3食分よりも食べる場合もしばしば。欠食を避け、朝→昼→夕と摂取カロリーを減らすピラミッド形の食事パターンを目指そう。

10. 空腹を怖がり、お腹が空く前に食べる

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空腹になりすぎると血糖値が乱高下して過食の引き金となりやすいが、かといって空腹を怖がりすぎるのも考えもの。お腹が空いたときには血糖値が下がり、脂肪細胞に収められた体脂肪が分解されてエネルギー源に変わっている。

空腹を怖がり、お腹が空く前に先手を打って食べると体脂肪が分解される暇がなく、食事をした瞬間に分泌されるインスリンの作用で体脂肪の合成が推し進められるのだ。

仕事に追われていると「いま食べないと次いつ食べられるかわからない」と不安に駆られるかもしれないが、砂漠や大海原のド真ん中にいるわけではないのだから、その気になればコンビニへ駆け込めば食事は摂れる。

お腹の虫がギュルギュルと鳴くまで待たなくてもよいけれど、せめて多少の空腹を感じてから食べるクセをつけた方が、体脂肪の分解が促されて痩せやすい

11. 満タン食ばかりで満足食を食べない

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おデブさんの大好物は、ひと口目から最後まで味がほぼ変わらず、お腹が満タンになるまで無心で食べ続けられるラーメン、カレーライス、パスタ、ピザなどの“満タン食”である。これは、何でもいいからお腹いっぱいになるまで食べたいという動物的な欲求に囚われすぎている証拠。

食事がセルフのガソリンスタンドで給油するような単なるエネルギー補給の時間になり、「食べるのが好き!」と言いながら、食事が本当に楽しめていないのだ。

食べたいのは、お腹ではなく五官が喜ぶ“満足食”。人間らしい気持ちが満足する食事だ。満タン食ばかりを流し込むように食べて味覚、香り、食感などが楽しめないのは残念。

満足食はひと言でいうなら、幕の内弁当や温泉旅館の朝ご飯のような食事。品数は多いが、丼物や旅館の夕飯よりボリュームは全体的に抑え気味。食材も彩りもバラエティに富む満足食を目指せば、見ただけで満ち足りて、味の変化を満喫して少量でも箸が置ける。

12. 「薄味はムリ」と初めから諦めている

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子どもの頃は誰だって苦い食べモノ、酸っぱいモノは苦手だが、大人になるとゴーヤも酢の物も美味しく食べるようになる。このように味覚は食習慣と学習で作り出されるが、太っている人は塩辛くて脂っこいおかずを好み、濃い味付けを中和するためにご飯やパンや麺類といった主食を食べすぎるという肥満パターンから抜け出せない。

しかし、薄味に転換して食べすぎをセーブすることは十分可能。日本人の塩分摂取量は東高西低だが、味付けが濃い東北地方から薄味の関西地方へ転勤したら、しばらくすると大方は薄味に慣れるもの。自分にはムリと初めから諦めず、食材本来の味を楽しむ食事に徹してみよう

「薄味にして数週間後に“野菜の美味しさが初めてわかりました!”と嬉しい報告をしてくれる患者さんもいます」。

薄味に馴染んだら主食の暴食が抑えられて痩せやすい。


教えてくれた人

北星クリニック院長 島野雄果実さん

しまの・ゆうみ/満治療が一般的でない頃から肥満治療の専門クリニックを北海道で立ち上げ、その後、横浜、大阪など全国的に展開。北海道大学医学部卒業後、同大学院修了。医学博士。著書に『やせる生活』など。

取材・文/井上健二 イラストレーション/安ヶ平正哉

(初出『Tarzan』No.693・2016年4月7日発売)

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