• 何をいつ、どう摂る? カラダのための正しい「間食」の基本講座
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2018.10.16

何をいつ、どう摂る? カラダのための正しい「間食」の基本講座

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3度の食事方法も、トレーニング方法も重要なのはわかっている。じゃあ、間食はどうすればいい? 世界水泳でアスリートも実践した間食方法を導入し、運動効果を高めよう。

トップ選手は間食なんてしないでしょ?

いいえ。トップ選手こそ賢く間食します。

コンマ1秒を争うトップ選手同士の争いではちょっとしたコンディションの差が勝敗を決する。なかでも大事なのが、食事。

今夏ロシアで開催された世界水泳選手権大会では、競泳日本代表のオフィシャルスポンサー契約を結ぶ味の素KKから管理栄養士や調理師を含む5人のスタッフが帯同。25人の選手ごとに食事のプランニングシートを作成した。「選手一人ひとりの体重と体脂肪率からエネルギー消費量を試算。そのエネルギーを目標に目的に応じて必要な栄養素をタイミングよく摂ってもらいました。

そこで重視したのが、食事と食事の間に摂る補食でした」(味の素KKビクトリープロジェクトの栗原秀文さん)。2015年の世界水泳で日本競泳陣は3つの金メダルを見事獲得したが、その勝利の原動力の一つは補食にあったのだ。

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トップ選手だけではない。日常的にトレーニングをしているなら3食に補食(間食)を加えると効果的なカラダ作り、体力作りが行えるはずである。

間食って甘いものを食べていいの?

間食=甘食ではありません。

3食の間に摂るものといえば、真っ先に頭に浮かぶのはスイーツやスナック菓子などのオヤツだが、補食はオヤツではない。「そう誤解する選手も多いので“カンショクといっても甘食ではなく、間食ですよ”と最初に釘を刺しました(笑)」(管理栄養士で味の素KKビクトリープロジェクトの鈴木晴香さん)。

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仕事の休憩時間にチョコレートなどのオヤツを口にすると、ほっこりするリラックス効果があって心の栄養になってくれるけれど、カラダに対してはカロリー以外は栄養素に乏しいエンプティカロリーの代表格。

甘食では栄養バランスの改善につながらない。そればかりか砂糖やブドウ糖のように血糖値を急激に上げる甘味料が多く入っていると、摂った糖質は体脂肪に変わって太りやすくなるし、洋菓子のように脂質が多いと一層体脂肪がつきやすくなる。

補食の狙いはベストな体組成を保ちながらコンディションを高め、最高のパフォーマンスを発揮すること。補食=甘いものという誤解を捨てよう。

食間で空腹だと脂肪が燃えているんでしょ?

筋肉も分解されています。

間食=甘食と誤解すると太りやすいが、アスリート仕様の補食で摂るのは後述するようにアミノ酸やタンパク質などの低カロリーで太りにくい栄養素。きちんと摂るとむしろ肥満を防ぐ働きがある。なぜなら、筋肉の無駄な分解が抑えられるからだ。

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筋肉を作るタンパク質はつねにアミノ酸に分解されて、アミノ酸をまたタンパク質に合成することを繰り返している。食間で空腹を感じる間は足りないエネルギーを賄うために体脂肪の分解が進んでしまうし、筋肉の分解が合成を上回り、アミノ酸の一部はエネルギーとして消費される。

アミノ酸は新陳代謝のプロセスで再利用されているが、リサイクル率は100%ではないため、補食でアミノ酸やタンパク質を補わないと筋肉が減少。筋肉は基礎代謝に影響を与えるから、筋肉が減ると代謝が下がって太りやすくなる。

食間には、筋肉のエネルギー源として蓄えられたグリコーゲン(糖質)も減るから、補食では糖質の補給もお忘れなく。

補食は3食の栄養バランスを整えるため?

3食は3食できちんと摂ってください。

補食は大切だが、補食さえ摂れば食事では何を摂ってもいいというわけではない。補食は1日3食の欠点を補うものではなく、食生活全体の長所をさらに伸ばすもの。バランスよく3食を食べて初めて、補食は威力を発揮してくれる。

3食の柱となるのは一汁三菜。定食のように、主食、主菜、副菜、汁物をフルラインナップしている献立である。

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おさらいすると主食ではご飯やパンなどから糖質を摂り、主菜は肉類や魚介類などからタンパク質と脂質を摂取。副菜と汁物は野菜、海藻類、きのこ類、イモ類などからビタミン、ミネラル、食物繊維を補う。主食、主菜、汁物は1品ずつで十分だが、ビタミン、ミネラル、食物繊維はいずれも欠乏しやすいので、副菜は2品摂るようにするといいだろう。

加えて日々トレーニングしているなら、副菜に負けず劣らず多くの栄養素が摂れる季節のフルーツ、タンパク質やカルシウムが豊富な牛乳や乳製品をプラスすると完璧である。

補食を活かす3食、自炊で整えるには?

スープと鍋を活用してみては?

朝食と夕食は自炊のチャンスだが、一汁三菜をフルに揃えるのは難しい。そこで試したいのはスープと鍋を主食、主菜、副菜を兼ねた万能汁物にすること。

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朝食で重宝するのはスープ。ご飯派なら豚汁かけんちん汁がポピュラーだし、洋風スープストックに野菜、海藻類、きのこ類を入れて、肉類や魚介類などのタンパク源を加えて具だくさんのスープを作ればパンにも合う。肉類はハムやソーセージ、魚介類は貝類の缶詰なら手間要らずでストックしやすいし、豆腐や卵もスープとの相性がいい。

外食時のコンビニ活用術
陥りがちな食事パターン
不足しがちな栄養素
ご飯やパンだけ多く、
おかず(主菜、副菜)が少ない。
・タンパク質が少ない
・ビタミン、ミネラルが少ない
丼物がメインになって、
副菜が少ない。
・ビタミン、ミネラルが少ない
飲み会で揚げ物を肴に
ビールを痛飲。副菜も少ない。
・ビタミン、ミネラルが少ない
・脂質が多い

夜は鍋で。作り方は基本的にスープと一緒。定番の寄せ鍋以外にも、キムチ味や豆乳風味など味付けはバラエティ豊かだから、飽きずに食べられる。主食は〆にご飯か麺を入れよう。ちなみに前述の世界水泳でも鍋は大活躍したとか。

「ブッフェコーナーから好みの肉類や魚介類、野菜などを深めの器に入れてもらい、鍋の素と熱湯を入れて1分間レンジアップ。美味しくて栄養満点だと選手たちに大好評でした」(栗原さん)。

間食に最適の栄養素は?

アミノ酸です。パウダーやジェルも利用してください。

補食で優先したい栄養素の筆頭に挙げられるのはアミノ酸。アミノ酸はタンパク質の構成成分として知られるが、それ以外にもさまざまな機能を持つ。

たとえば、運動前の食間に摂るバリン、ロイシン、イソロイシンのBCAA(分岐鎖アミノ酸)は筋肉のタンパク質の分解を抑えて、筋肉の持久力を維持する。BCAAは体内で合成されない必須アミノ酸である。

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味の素KK アミノバイタル GOLD

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ロイシン高配合BCAAを中心とする9種の必須アミノ酸4,000㎎を最新の研究成果に基づいて配合したスポーツサプリメント。ハードなトレーニング時のリカバーに最適。

明治 スーパーヴァームゼリー

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スズメバチアミノ酸「V.A.A.M.」3,000㎎にコエンザイムQ10とL-カルニチンをプラス。ゼリータイプで1個240gと食べ応えがあり、長時間のトレーニングをサポートしてくれる。

パワープロダクションおいしいアミノ酸BCAA

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携帯に便利なスティックタイプで、1本当たりBCAA4,000㎎配合。名前のとおり、本来は苦味のあるBCAAをグレープフルーツ風味で美味しく摂取できる。長時間運動する人に最適だ。

L.A. ニュートリション アミノオール

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BCAAをはじめとする8種の必須アミノ酸をベストなバランスでブレンド。高品質の日本製アミノ酸だけを使い、国内外のアスリートが愛用中。大容量で安心して使える。

同じく運動前に摂るアラニンやプロリンは、血糖値を保って持続的にエネルギーを供給してくれる。アミノ酸ごとに働きは異なっているので(左表参照)、複数のアミノ酸を組み合わせたサプリメントを摂取するのが効率的である。

アミノ酸サプリは使い分けも大切。ドリンク、パウダー、ジェルと多様なタイプがある。もっとも高濃度のアミノ酸が摂れるのは、パウダータイプ。ドリンクは運動の合間に水分補給しながらアミノ酸が手軽に摂れるし、ジェルタイプなら同時にエネルギーも摂取できる。状況に応じて賢く使おう。

筋トレ派と有酸素派で変わりますか?

基本的には同じです。

運動を続ける目的は十人十色だろうが、ざっくり分けると筋肉をつけて体型を整える筋トレをメインに据えている筋トレ派、ランニングなどの有酸素運動でカラダを絞ってレースをイベント的に楽しむエアロ派に分けられる。

筋トレ派とエアロ派ではトレーニングの中身はまったく異なるけれど、どちらもトレーニングの質を高めることが大きなテーマになってくる。

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補食はエネルギー不足と疲労を防いで質の高いトレーニングを可能にするから、筋トレでもエアロでも重要になるのだが、そのベーシックな考え方は同じでOK。

「どちらも土台となるのはカラダ作り。細かい相違点はもちろんありますが、突き詰めると筋トレのように作ったカラダを見せるだけで終わるか、あるいはランニングのように作ったカラダを機能的に使って運動を行うかという違いにすぎないからです」(栗原さん)。

筋トレ派もエアロ派も補食を最大限に活用してやれば、最小限のトレーニングで得られる効果をマキシマムにできるのだ。

外食ばかりで栄養バランスが心配です。

コンビニで賢く補食してください。

自炊がいいのはわかっているけれど、忙しいと自炊の機会が減って外食が増えてくる。すると栄養バランスが整いにくいが、そんなときに頼りになるのが、コンビニ。24時間好きなときに行けるから使い勝手抜群だが、かといって小腹を満たすためにおにぎりや菓子パン、カップ麺を食べては何にもならない。

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外食の内容に合わせて足りない栄養素をカバーするために、主菜や副菜、果物、牛乳・乳製品を補うのである。

外食時のコンビニ活用術
陥りがちな食事パターン
不足しがちな栄養素
利用するゾーン
ご飯やパンだけ多く、
おかず(主菜、副菜)が少ない。
・タンパク質が少ない
・ビタミン、ミネラルが少ない
おつまみ…チーズかまぼこ
缶詰…サンマの蒲焼き
ホットスナック…フランクフルトソーセージ
惣菜…茹で卵
デザート…ヨーグルト
パックドリンク…牛乳
丼物がメインになって、
副菜が少ない。
・ビタミン、ミネラルが少ないサラダ…コーンサラダ
パック惣菜…きんぴらごぼう
デザート…カットフルーツ
パックドリンク…野菜ジュース
飲み会で揚げ物を肴に
ビールを痛飲。副菜も少ない。
・ビタミン、ミネラルが少ない
・脂質が多い
昼に準じる *揚げ物の衣を外す

たとえば、朝食がパンとコーヒーだけでは主菜も副菜も足りない。そこで缶詰やレジ横のホットスナックから主菜、サラダやパック惣菜から野菜、海藻類、きのこ類を使った副菜を補ってやる。あるいはお昼が牛丼やカツ丼のような丼物で、主食と主菜は摂れていても副菜が少ない場合には、サラダやパック惣菜から副菜、果物を調達したい。ビジネスパーソンの3食でありがちな食事パターンとコンビニを使った改善法を表にまとめておいたので参考にしてほしい。

アミノ酸のほかには?

プロテインもいいですね。

運動するならタンパク質(プロテイン)は決して欠かせない栄養素。3食では肉類、魚介類、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品といったタンパク源を必ず摂っておきたい。

さらに役立つのがタンパク質をパウダー状などに精製した低カロリー&低脂質のサプリ、プロテイン。プロテインは筋肉が消耗するトレーニング直後に摂るべきだといわれているが、補食にも好適である。プロテインに含まれるタンパク質が体内へ入り、代謝されるまで3〜4時間ほどかかる。運動後に摂ったのではタイミング的には遅くなり、3〜4時間は筋肉の消耗が続く恐れがあるからである。

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味の素KK アミノバイタル アミノプロテイン

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必須アミノ酸とホエイプロテイン配合のハイブリッドタイプにすることで、1回わずか約4gなのに、一般的なプロテイン(1回分約20g)と同様にカラダ作りに効果を発揮する。

ゴールドジムホエイプロテイン+ ペプチド&ビタミンB群

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ホエイ(乳清)プロテインに、酵素で分解したホエイペプチドをプラスして体内への吸収効率をさらにアップさせた。ビタミンB群配合でタンパク質の代謝をサポートする。

ザバス アミノパワー プロテイン

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ホエイプロテインを分解した独自のパワーペプチドと必須アミノ酸のロイシンを配合。そのまま飲める顆粒状プロテインだから、いつでもどこでもタンパク質が摂れる。

DHC プロティンダイエットバー

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1本で1回の食事に必要なビタミン、ミネラルを含んでおり、タンパク質15.4gをしっかり補給できる。オヤツ感覚で楽しめる食べ切りサイズでさまざまなシーンで食生活を補助する。

仕事帰りにジムに寄ったり、走ったりする場合は、ランチ後の午後3〜4時のタイミングでプロテインを摂っておくと、トレーニング直後にタンパク質が利用されやすい体内環境が整う。

そして運動後には吸収が速いタイプのプロテインを。筋肉の修復は数日かけて行われるから、オフ日も午前か午後に一度プロテインを摂るのがベストである。

レース前の間食のポイントは?

体組成を変えないように摂ります。

ロードレースやトライアスロンといったレースが近くなってくると、疲労を解消してコンディションを整えるために練習量を落とすテーパーリングを行うのが普通。そのとき肝心なのは、筋肉量や体脂肪量といった体組成を変えないこと。

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練習量が減ると消費カロリーもダウンするから、食事を控えめにしないとエネルギー収支が黒字になりすぎて体脂肪量が増えてくる。かといって食事を控えすぎてタンパク質やアミノ酸といった栄養素が足りなくなると、筋肉量が減る。余計な体脂肪がついたり、大事な筋肉が減ったりすると、レースでのパフォーマンスは低下する。それを避けるために活用すべきは、補食。

3食では練習量を減らした分、揚げ物やドレッシングなどから余計な脂質の摂取を減らしてカロリーを適度にダウンさせる。あわせて筋肉が減らないように、1日1〜2回の補食でサプリからタンパク質やアミノ酸を補って筋肉量をキープし、疲労を確実に抜いてやろう。

間食でカロリー過多になりませんか?

低カロリーで機能性の高いものを摂ります。

間食=甘食は過食への一本道で太りやすくなるが、スマートな補食は食べすぎを回避してスリムになる近道でもある。

食事の間隔が空きすぎて空腹感が募ってくると、久しぶりに食べる次の食事で爆食しがち。しかもお腹がペコペコのときは、冷や奴や野菜サラダといったあっさり系のおかずではなく、揚げ物や炒め物などの脂っこいがっつり系のおかずを食べたくなる。

補食をしておくと空腹感が満たされるので、がつがつと過食に走ったり、高カロリーの脂っこいおかずを口にしたりしなくなり、結果的に3食+補食のトータルの摂取カロリーが抑えられる可能性が高いのである。

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一歩進んで間食で重点を置きたいのは、カロリーと機能性のバランスである。爆食の抑制作用が期待できるといっても、補食自体が高カロリーでは何にもならないし、栄養素に乏しいエンプティカロリーでは摂る意義が薄れてしまう。栄養バランスに優れた低カロリーのエネルギー系ジェルやサプリメントをうまく使ってやりたい。

世界水泳で話題のパワーボールって何?

うま味を利かせたおにぎりです。

前述の世界水泳で日本代表選手たちをサポートした補食に「パワーボール」がある。

見た目は小さめのおにぎり。おにぎりを英語でライスボールというが、おにぎりにうま味(グルタミン酸)をプラスして強化したから「パワーボール」と名付けられたのだ。「1個50gと通常のおにぎりのおよそ半分の食べ切りサイズ。プレーン、鮭、ゴマ、梅の4種類を現地に設けた拠点で手作りしました。緊張して食欲が低下するレースの合間などにも手軽に食べられてエネルギー不足、コンディション低下を防ぐことができました」(鈴木さん)。

ポイントはうま味。うま味は和食の美味しさの基盤となっているが、それ以外にも栄養素の消化吸収に欠かせない唾液、胃液、胃酸、消化酵素などの分泌を促す機能性がある。摂ったエネルギー源と栄養素が効率的に利用されるから、うま味を利かせると少量でも満足感があり、食べすぎも抑えられる。うま味調味料のほか、スープの素などでも簡単に作れるからお試しを。

取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 イラストレーション/小山 健 取材協力/栗原秀文(味の素KKビクトリープロジェクト)、鈴木晴香(味の素KKビクトリープロジェクト、管理栄養士)

(初出『Tarzan』No.681・2015年9月24日発売)

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