原因は“涙の質”にあり!ドライアイをケアして脳疲労にブレーキを。
スマホ時代の目に異変。4人に1人が悩むドライアイの原因は、涙の質にあった。目の疲れは脳の疲れとも言える。今、目を守るケアが急務となっている。
取材・文/板倉みきこ イラストレーション/ハニュウミキ 監修/有田玲子(伊藤医院副院長)、柳本真弓(目白鍼灸院院長)
初出『Tarzan』No.900・2025年4月3日発売

教えてくれた人
有田玲子(ありた・れいこ)/眼科医。〈伊藤医院〉副院長。これまで80本以上の英文論文を発表し、ドライアイに関する眼科研究において世界屈指の専門家。
柳本真弓(やなもと・まゆみ)/大学卒業後、東京衛生学園で東洋医学を学び、鍼灸あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得。2007年に鍼灸専門治療院〈目白鍼灸院〉を開院。院長を務める。リンパを流すリンパドレナージセラピストでもある。
目を守る涙の質の改善が急務。
日本人の4人に1人が症状を訴えるドライアイ。その背景には、スマホやPCの長時間使用がある。
「瞬きすることで目はリセットされ、潤いが補われるのですが、スマホなどを見ているときは瞬きが低減。通常の4分の1の回数になるというデータもあります」(眼科医・有田玲子さん)
こまめな瞬きが目の健康に必須。一方、涙不足=水不足というわけではないことも知っておきたい。
「涙は水分だけでなく脂も重要。実は、脂不足のドライアイの人がとても多いんです。点眼で改善しないという人の多くは、脂の質が悪かったり、脂不足の可能性大」
さらに、視力がいい時と悪い時があったり、ピントが合いにくいなどの症状が表れたら要注意。放置せず病院で診断を仰ごう。
「視神経は脳神経の一つなので、目が見えにくくなれば、脳は疲弊し、脳機能の低下も考えられます。早めの治療がおすすめです」
大切なのは、目を守る2つの層。
涙は脂層と、水、ムチンからなる液層に分けられる。目の表面の細胞から分泌される粘液のムチンが涙の安定性を維持。まぶたの縁にあるマイボーム腺から分泌される脂の層が外側を覆い、涙の蒸発を防ぐ。
こうなったら注意!
- 視力がいい時と悪い時がある。
- 目が疲れやすい。
- ピントが合いにくい。
セルフケアで潤いキープ。
目を酷使すると全身の栄養となる“血”が消耗すると考える東洋医学。また、滋潤作用や鎮静作用もある“血”が不足すると、脳の興奮をもたらすとする。
「目は脳と直結していると考えられ、目の疲れは脳の疲れとイコール。目の周りにあるツボを刺激し、“血”の循環を促したり、疲労を和らげるといいでしょう」(鍼灸あん摩マッサージ指圧師・柳本真弓さん)
今回、手軽にできて即効性も高いツボとして紹介してもらったのが、目の周りにある4か所(下図)。
「強く押す必要はなく、ツボを指で軽くポンポンと触れるだけで十分。目をつぶり片方だけ行うと、やった目だけ軽く感じるはずですよ」
こまめに行いたい目の周りのツボ押し。
目の周りの4つのツボを刺激すれば、一時的に“血”の滞りが和らぎ、目の潤いも復活。まぶたを閉じて行えば、目の休憩にもなって一石二鳥。蒸しタオルで目の周りを温めるのも効果的。血流がアップし、マイボーム腺の詰まりも解消できる。