
教えてくれた人
中村雅俊(なかむら・まさとし)/西九州大学リハビリテーション学部リハビリテーション学科理学療法学専攻主任・准教授。理学療法士。ストレッチや筋トレの新常識を聞いた。
白戸拓也(しらと・たくや)/パーソナルトレーナー。フィットネス業界黎明期から、プログラム開発やトレーナーの育成を担当。昨年MSFitness鷺沼のディレクター就任。
目次
疲れと硬さを翌日に持ち越さないためのストレッチ。
自転車を長年雨ざらしで放置すると、そのうちサビついて動かなくなる。同じように、筋肉と関節を活発に動かさないでいると、可動域が狭くなり日常生活も運動も満足にこなせなくなる。
「一時的な不調などで安静を強いられると、筋力だけではなく柔軟性もダウン。体力低下を招いて日常生活に差し障る。動けるうちにストレッチで“柔軟性貯金”を作っておけば、イザというときの体力減退も最小限に抑えられます」
役立つのは、静かにゆっくり伸ばす「静的ストレッチ」。就寝前、疲れて硬くなった下半身を中心にリセットし、柔らかく保つと柔軟性貯金がザクザク貯まる。
「関節と筋肉、どちらも柔らかくするには、やや長めに120秒間伸ばし続けるのがベストです」
一度に120秒伸ばさなくても、60秒×2回でもOK。下半身3種目+上半身1種目の静的ストレッチと、お薦めの120秒プロトコルを紹介するので試してほしい。
お尻(大臀筋)の静的ストレッチ(左右各120秒×1セット)
- 床に両膝を腰幅で曲げて立てて坐る。両手を後ろについて上体を後ろに倒し、左膝に右足首をかける。右脚の膝と踵が、両肩と平行になるようにする。
- 胸を張って左膝に近づけ、右側のお尻をストレッチする。左右を変えて同様に行う。
太腿前側(大腿四頭筋)の静的ストレッチ(左右各60秒×2セット)。
- 左体側を下にして床で横向きになる。右膝を曲げて右爪先を右手で持ち、右足の踵をお尻に近づける。
- 側頭部をクッションに乗せ、左腕をまっすぐ前に伸ばし、左脚をまっすぐ伸ばす。
- 右膝を後ろに引いて太腿前側をストレッチ。左右を変えて同様に行う。
太腿後ろ側(ハムストリングス)の静的ストレッチ(左右各120秒×1セット)。
- 床で仰向けになり、後頭部をクッションに乗せる。右脚を床と垂直に上げ、両手でふくらはぎを持つ。左脚はまっすぐ伸ばす。
- 両手で右脚を手前に引き寄せ、太腿後ろ側をストレッチする。腰に違和感が出ない範囲で行うこと。左右を変えて同様に行う。
背中(広背筋)の静的ストレッチ(60秒×2セット)。
- 椅子の前に両膝をついてしゃがみ、爪先を伸ばす。
- 座面の端に両肘を肩幅で置く。手の甲と前腕外側を背もたれに向ける。
- 正座をするようにお尻を踵へ、胸を床に近づけながら背中をストレッチ。