1日1万歩より確実!鬱対策にも効く”インターバル速歩”。

短時間で効果的に健康を改善できる「インターバル速歩」。このウォーキング法は、筋力や生活習慣病のリスクを改善し、心身の健康をサポートする。忙しい日々の中でも手軽に取り入れられるインターバル速歩の効果と方法をご紹介。

取材・文/石飛カノ 撮影/内田紘倫 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/坂西 透 監修/能勢 博(信州大学特任教授)

初出『Tarzan』No.900・2025年4月3日発売

鬱対策にインターバル速走
教えてくれた人

能勢博(のせ・ひろし)/信州大学学術研究院医学系特任教授。医学博士。自身が提唱するウォーキングの常識を変えたといわれる「インターバル速歩」を解説。趣味は登山。

健康効果は1日1万歩より確実!

「1日1万歩は歩きなさい」とはよく言うものの、散歩レベルで歩いたら約1時間半と結構な時間がかかる。それよりずっと短時間でさまざまな健康効果が期待できるウォーキングがある。ややきついペースと楽なペースの歩きを交互に行う「インターバル速歩」だ。

考案者の信州大学特任教授、能勢博さんは中高年者を被験者に5か月のインターバル速歩のトレーニング効果を検証した。

「筋力は平均約17%と1日1万歩歩いたグループより有意にアップしました。とくに歩く推進力に繫がるハムストリングスの筋肉が強化されることが分かりました」

それだけではない。生活習慣病のリスク指標も5か月間のトレーニング後は軒並み減少。

「さまざまな生活習慣病は加齢や運動不足で筋力が減少し、筋肉内のミトコンドリアが衰えてエネルギーを作る際に細胞を傷つける活性酸素が生じることが原因のひとつ。インターバル速歩で筋力を養うことで、ミトコンドリアの活性度が上がり、病気のリスクが下がると考えられます」

カラダだけでなくメンタルにも変化が。メカニズムは明らかになっていないが、うつの自己評価尺度も5か月後には回復傾向が見られた。40代以降、体力低下を感じている人は騙されたと思って明日から歩いてみるしかない。

ハムストリングスの筋力変化

何もしない対照群、1日1万歩歩く群、インターバル速歩群に分けて5か月後にハムストリングスの筋力を測定。インターバル速歩の群は筋力が平均17%アップ。

生活習慣病指標

血圧、空腹時血糖値、肥満度、中性脂肪、コレステロール値から有病率を判定。インターバル速歩を行った5か月後には体力レベルにかかわらず、指標が低下した。

うつ自己評価の尺度の結果

点数が高いほどうつ傾向が強い。もともとうつ傾向が強い人ほど回復率が高いという結果に。10点以下の数値の上昇は季節の影響と考えられる。

インターバル速歩を早速やってみよう! 

インターバル速歩

2つを1セットとして5セット繰り返し。

歩幅を大きく取り、背すじを伸ばして腕を振って歩くややきついペースの速歩きを3分間行ったら、ゆっくり歩きを3分間行う。これを交互に5セット繰り返し。合計30分のウォーキングでこのうち速歩きは15分。

週に4回以上行うことでさまざまなトレーニング効果が期待できる。一度に行わず朝と晩に分けてもよし。また、平日忙しい人は週末にまとめて週4日分の120分間インターバル速歩を行ってもOKだ。