自転車配達で全身トレーニング! フェンシング選手・三宅諒さんの「おこもり太り」対策

フェンシング選手・三宅諒さんの「おこもり太り」対策は、自転車配達で全身トレーニング!

取材・文/黒田創 撮影/北尾渉 イラストレーション/森拓馬

初出『Tarzan』No.792・2020年7月22日発売

五輪メダリストがウーバーイーツの配達員⁉︎

コロナ禍を機に、一気に多くの街で目にするようになった〈ウーバーイーツ〉のロゴバッグ。

自転車やバイクを使ったオンラインフードデリバリーサービスだが、特に東京都心部ではかなり頻繁に配達員(配達パートナーと呼ぶ)を見かける。そんな中にロンドン五輪銀メダリスト、フェンシングの三宅諒選手がいた。

ウーバーイーツの配達パートナーをする三宅さん

「先行きが不透明な状況で従来通り企業にスポンサーについてもらうことが心苦しく、自力で生活費を確保したいのと、トレーニングも兼ねて自転車で配達を始めました。4月末から週3~4回、1日だいたい5時間で総走行距離は10~20kmほど。ちょうどいい全身運動になるんです」

フェンシング選手・三宅諒さん

【体重】75.8kg(4月)→ 75.8kg(6月)

フェンシング選手・三宅諒さん
みやけ・りょう/1990年生まれ。ロンドン五輪フルーレ個人、団体で代表入りし、団体銀を獲得。昨年のアジア選手権では団体金に輝いた。5月からはYouTubeチャンネルを開設するなど、独自に情報を発信している。

三宅諒さんのおこもりスケジュール

三宅諒さんのおこもりスケジュール
ウーバーイーツをやっていた頃のスケジュール。「配達エリアは自宅周辺に限定し、やりたい時間に自転車に乗る。あとは自分の時間に充てられたのでノンストレスだった」とか。英語学習や動画配信にも意欲的に取り組んだ。

悲観的にならず、いつもと違うことにトライする時間に。

実は三宅選手はそこらの人より早くに「自粛」していた。理由は3月頭のアメリカ合宿。帰国した段階で2週間の自宅待機を余儀なくされ、続けて住まいがある東京都は緊急事態宣言が発出された。

「練習場も閉鎖し、普段通りのトレーニングができない状況にいきなり追い込まれたんです。でも悲観的にはならず、いっそ今までできなかったことをやってみようと」

下半身安定に必要な内転筋強化はこれで。脚痩せにも◎。

下半身安定に必要な 内転筋強化はこれで。 脚痩せにも◎。

ブレずにすばやく相手を突く。そのための内転筋強化に効くサイドヒップリフトは日課。「腰の上げ下げと同時に下の脚の上げ下げも行う。太腿内側がプルプルしてきますが、効いている証拠です」。

後ろ側はこれで動かす。姿勢改善や脂肪燃焼にもうってつけ。

後ろ側はこれで動かす。姿勢改善や脂肪燃焼にもうってつけ。

床にうつ伏せになり、腕を浮かせてT字状→W字状→Y字状に動かす。「これでしっかり肩甲骨を動かし、背中の筋肉の柔軟性を高めます。突く際のもうひと伸びは肩と背中の柔らかさが鍵なんです」。

ファスティングで食改善。夜は野菜豊富な鍋物と豆腐が定番。

フードデリのほか、もうひとつ取り組んだのがファスティング。以来、朝食はスムージーのみになるなど、食生活改善のきっかけを摑んだ。現在は練習を再開し、9月の全日本選手権を目指すべくウーバーイーツの仕事は一旦お休み。

夜は野菜豊富な鍋物と豆腐が定番
「朝は青汁と牛乳入りのスムージー、昼は定食もの、夜は野菜をたっぷり摂れる鍋をよく作ります」と三宅選手。体重変化には敏感で、自粛中は食事とトレーニングでベストの体重を保つことを重視したという。

「今は競技者として元の感覚を戻せるかどうかが一番の課題です」