“セックスの万能ツボ”から役立つトレーニングまで。健全なる性欲を保つ13のメソッド
運動、食事、生活習慣。毎日のケアで健やかな性欲を維持しましょう。医師や鍼灸院の院長、さらには日本家族計画協会理事長にアドバイスをいただきました。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/高橋 潤(DRAWS) 取材協力/上符正志(銀座上符メディカルクリニック院長)、北村邦夫(日本家族計画協会理事長)、小堀善友(医学博士、獨協医科大学越谷病院泌尿器科)、白井雅人(順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科准教授)、関口由紀(医学博士、女性医療クリニック・LUNAグループ理事長)、瀬戸郁保(源保堂鍼灸院院長)
(初出『Tarzan』No.701・2016年8月10日発売)
目次
1. 下半身をスクワットで鍛える
健全な性欲を得て、なおかつそれを維持するためにやれることは思った以上に少なくない。
「まず最も手軽にできて、効果が望めるのが運動。とくに下半身の大筋群を鍛えるスクワットなどがおすすめです」(順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科准教授・白井雅人さん)
せっせとスクワットをして、なにやら下半身が逞しくなってきたらしめたもの。筋肉の細胞を修復して、以前より大きくするために男性ホルモンが動員された証拠だからだ。脳はカラダがホルモンを必要とすれば、必ずそれに応じて必要な分を供給してくれる。
それには大きな筋肉を刺激するほど有効だ。最近どうも性欲が弱ってきたと自覚したら、とにもかくにもスクワット。
2. マスターベーションで平滑筋トレーニング
女性の場合、基本的に卵子は月に1回1個のペースで排出される。これに対して男性は自ら精液のコントロールをすることが必要。その有効な方法のひとつがマスターベーション。
「マスターベーションによって精液を常に新鮮な状態に保っておくことができます。また、海綿体の動脈血管を構成する平滑筋のトレーニングにもなります。勃起から射精に至る行為は血管筋肉系。トレーニングしておくに越したことはありません」(白井さん)
目安の射精回数は1週間に2回程度。
3. 青魚を食べる
自律神経の働きによって血管が弛緩して血液がどばっと海綿体に流れ込む。この一連の流れをスムーズにするためには、まず血液の状態を良好に保つ必要がある。
「中年以降、健全な勃起状態にもっていくためのケアは、すなわち生活習慣病予防を心がけることとイコールになります。血液をサラサラにするために青魚を積極的に食べる。これもまた、性欲に応じたカラダの反応を得るために重要な習慣です」(白井さん)
さらに野菜をどっさり食べ、カロリーにも注意を。
4. ニンニクNG? スッポンOK!
栄養学的な見地では、滋養強壮食材といえばニンニク。でも東洋医学の立場では必ずしもそうではないという。
「ろうそくのろうを生命力とすると、ニンニクはそのろうが溶けるのを早める食材です。つまり、東洋医学的な“性欲”によるセックスには有効ですが、自らの生命力を削ってしまうことにつながります」(源保堂鍼灸院院長・瀬戸郁保さん)
一方、ろうそくのろうを補充して生命力を高める食材が、スッポン。こちらは“生殖欲”によるセックスでのビッグバンの後押しをしてくれる。
「スッポン以外にも、牡蠣、ウナギ、ドジョウ、貝柱などはおすすめ。これらは男性不妊改善のための食材としても知られています」
5. 性欲の鍵はビタミンCと亜鉛
ストレスによって性欲が低下してしまうというのは、よく聞く話。これにはコルチゾールという副腎から分泌されるストレスホルモンが関係している。
「コルチゾールが増えすぎると、男性ホルモンの材料であるコレステロールが作られなくなってしまいます。人間関係や睡眠不足、仕事などでストレスを感じたときはビタミンCで活性酸素を減らし、コルチゾールの抑制を。ビタミンC製剤、アスコルビン酸を朝夜各2g摂取するのがおすすめです」(銀座上符メディカルクリニック院長・上符正志さん)
さらには、亜鉛。こちらは精子を作り出すときの細胞分裂の触媒。精巣と脳のフィードバックを助けてくれる。
「牡蠣やスルメなどを食べたりサプリを利用して、積極的に補給を」
6. アルコールはセックスの後に
アルコールと美味しい食事はセックス前の精神的潤滑油。確かにそれはそう。とくに、まだ交際の浅い相手とあれば、アルコールの力を借りて緊張をほぐしたいところ。といっても、ガブ飲みしてふらふら状態でのベッドインは、かえって逆効果。
「アルコール摂取は勃起力を弱くする原因のひとつです。考えられる理由としては、カラダの末梢のあらゆる血管が弛緩・拡張してしまい、陰茎海綿体に十分な血液が回らなくなる可能性があります」(白井さん)
セックスの前に絶対飲むなとは言わない。せいぜい、ワイン1杯程度に留めておこう。どうしても飲みたいという人はセックスの後にじっくりと。
7. タバコをやめる
前述したように、健全なセックスをこの先も営んでいきたいなら、生活習慣病予防につながる生活習慣を身につけることが鉄則だ。したがって、もちろんタバコも控えたい。
「ご存じのように、タバコは血液循環を阻害する大きな因子です。また、血管の内皮にも負担をかけるので、勃起力の低下につながります」(白井さん)
セックス後、ひと仕事終えたとばかりにタバコをすぱ〜っと吸う習慣のあるあなた。その1本が将来のセックスに支障を与えるかも。
8. シティホテルに泊まる
パートナーがCAや看護師さんのコスプレをしてくれるならお願いしたい。マンネリでイマイチ性欲が湧かないという男性はそんなことを思っているかも。ならば相手に期待するだけではなく、
「場所や環境を変えるという手もあります。たとえば、何かの記念日でなくても敢えて近場のシティホテルで美味しいものを食べて泊まってみる。いつもとは違うセックスの反応が起こる可能性があります」(白井さん)
9. 「ふれあいの12段階」に立ち戻る
動物や人間の行動学研究で知られるデズモンド・モリスが示した、「ふれあいの12段階」というものがある。人と人が少しずつ親密になっていくプロセスを辿った12のアプローチだ。
「相手の姿を観察する目からカラダ、次に視線がぶつかる目から目、そして言葉を交わす声から声。ふれあいを深めていくということは、徐々に相手との接触面積が大きくなっていくということ。7段階目からは口から口、手から頭となり、最後の12段階目は性器から性器、まさにセックスを表しています。
もしセックスが遠のいているのなら、第1段階の相手を見つめることから始めてみるということも、ひとつの方法」(日本家族計画協会理事長・北村邦夫さん)
焦らず、初心に戻るべし。
ふれあいの12段階
- 目からカラダ
- 目から目
- 声から声
- 手から手
- 腕から肩
- 腕から腰
- 口から口
- 手から頭
- 手からカラダ
- 口から胸
- 手から性器
- 性器から性器
10. セックスの万能ツボ、気海を刺激
人体の中心には任脈というエネルギーラインがあり、それに沿ってチャクラが存在するというのが、東洋医学の考え方。1番目は性器周辺、上に上がるごとに2番、3番となり、7番目のチャクラは頭頂部の百会というツボがある場所。
「このうち、セックスに関連するのは下から2番目のチャクラ、気海というツボがある場所です。1番目のチャクラには邪気の多い地の気が入ってきて、快楽だけのセックスを促します。その気を気海に吸い上げて汚れを落とすことで、生殖欲に基づいた豊かなセックスが促されます」(瀬戸さん)
気を吸い上げるにはヘソ下3cmの気海を指などで刺激する、腹式呼吸をゆっくり行うなど。お試しあれ。
11. 「義務にしないで」とパートナーにお願いする
勃起は副交感神経優位な状態でもたらされるカラダの反応。つまり、ストレスやプレッシャーがかかった交感神経優位の状態では促されにくい。
「子づくりのためのセックスは、そういう意味で、勃起を妨げてしまうことがあります。今日は排卵日だからと朝食のときにパートナーから栄養ドリンクを渡されると、男性は途端に重荷に感じてしまいます」(白井さん)
性的な機能に異常がなくても、こうしたことが原因で勃起不全になる男性の割合は10%以上にのぼるという。基本的にセックスは楽しくて気持ちのいいものだが、義務になってしまうと話は別。パートナーに正直に相談を。
12. セックスのハードルを下げる
セックスレスを解消するために、北村さんが提案しているのは、セックスそのもののハードルを下げること。
「セックスをしたら必ず気持ちよくなると思い込んでいる人が非常に多いんです。でも、セックスは触れ合いの究極なので、初期段階を抜きにしていきなり自分勝手な触れ合いを求めるのはナンセンス。気持ちがよかったら儲けもの、くらいに思っておくのが一番です」
セックスは絶対気持ちいいものだとか、勃起して当然などと思い込まない。挿入だけがすべてではないのだ。
13. セックスは、フルコース、定食、お茶漬けの3パターンを用意
アメリカのセックス指南本によれば、パートナー間のセックスではパターンを3つ用意することが推奨されているという。
「セックスをディナーとすると、女性が満足するようなフレンチのフルコースを毎回やると男性が疲れてしまうからです。今日は男性が楽しむ定食スタイル、時間がないときはお茶漬けスタイル、月に1度はフレンチのフルコースというように」(女性医療クリニック・LUNAグループ理事長の関口由紀さん)
最終的な目標は男女ともに満足感を得て、関係を長続きさせること。
「責任感が強い男性ほど、パートナーの満足を求めるがゆえに、だんだんセックスを負担に感じるようになります。なので毎回パターンを変えることが重要」
今日は定食? それともお茶漬け?