「走る映画」のプレイリスト|vol12. スーパーヒーロー役って、大変なのよ。

映画の主人公気分で走りたい! 「走る」シーンが象徴的な数々の名画のサウンドトラックをつないで、ランニング気分を高め、鼓舞してくれるプレイリストを作る試み。第12回のテーマは、DCコミックスが原作の映画。走って跳ねて空まで飛ぶ”スーパーヒーロー”を演じるには、高度な身体能力が求められる。今日はそんなヒーロー俳優たちの撮影前の身体作りをイメージして走ろう。

Select, text: Katsumi Watanabe(Soundtrack Brothers) Photo: Aflo

映画やドラマ、ゲームに至るまで。すべてのエンターテイメントに欠かせないのが、勧善懲悪で、正義を貫くスーパーヒーロー。中でも、近年話題になるのが、DCコミックスを原作とする実写作品のヒーローたち。その最新作が、新生『スーパーマン』(2025年)から連なる『スーパーガール』(2026年)。2人はクリプトン星から地球にやってきた従兄妹同士で、共に空を超高速で飛び回り、自動車を片手で持ち上げるなど、超人的な能力の持ち主として描かれている。

CG加工も使用される昨今、スーパーヒーローを演じる俳優たちには、より完全な肉体が要求される。最新の『スーパーガール』(2026年)を演じるミリー・オールコックは、撮影前の4ヶ月の間、毎朝1時間以上のワークアウトを実施。そのうち週3回は、下半身を強化するウェイトトレーニング。空を飛ぶシーンのワイヤーを使った撮影で身体がブレないよう、体幹を鍛える特別なメニューに取り組んだという。

オールコックの地元、ロンドン市内の公園では、毎日のようにランニングする姿が目撃され、ちょっとした『ロッキー』扱いだったという噂も。

そこで今回は、スーパーヒーロー(を演じる俳優)の気分を味わいながら走るプレイリストを、DC作品のサウンドトラックから選んで作成した。近年のDC作品のサウンドトラックを聴いてみると、派手なオーケストラと、ロックテイストのスコアが多いことがわかる。

現在、DCのクリエイティヴ・ディレクターをつとめるジェームズ・ガンは、元々パンクバンドを組んでいるほどの音楽好き。そこが、音楽的にファンキーなテイストが多い、マーベル・シネマティック・ユニバースとの最大の違いのひとつかもしれない。

まず最初は『スーパーマン』(2025年)から、メインテーマとなるM1を聴きながらランニングへのテンションを上げていこう。1978年に初めて映画化された際、作曲家のジョン・ウィリアムスが書いた有名すぎるメロディを、エレキギターを中心に再構成。

続くM2も、同作のエンディングテーマを。メインボーカルのイギー・ポップは、80歳を目前にした現在も、ライブのためにトレーニングを欠かさないロック界の超人。『トレインスポッティング』(1996年)の爆走シーンで知られる「Lust for Life」をはじめ、『走る映画のプレイリスト』の常連だ。

M3は『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(2020年)から、スロウテンポのロックンロール。非道の限りを尽くすハーレイを演じたマーゴット・ロビーも、撮影前にはワークアウト、ワイヤーアクション用に体幹を鍛えるためピラティスなどを実践。敵から逃れるため、全力疾走しながらも、悪態をつくシーンなどで鍛錬の成果を見せてくれる。M4は、WWEのスーパースターであると同時に、俳優でもあるジョン・シナの当たり役となったドラマ版『ピースメイカー』(2022年)から。

M5は、ドラマ『コブラ会』(2018年)で悩める高校生の空手家を演じたショロ・マリデュエニャが、武道のトレーニングをしたまま、『ブルービートル』(2023年)の撮影に突入。見事にアクションシーンもこなした。そんなシーンを盛り上げた、ロネッツ「ビー・マイ・ベイビー」のカバーで、徐々に走るスピードをあげていこう。

ハーレイ・クインやピースメイカーなど、汚れたヒーローが大集結した『ザ・スーサイド・スクワッド “極“悪党、集結』(2021年)から、1956年にルイ・プリマが歌ったスタンダードよりM6。ブラッドスポートを演じるイドリス・エルバは、マーベルとDC作品を行き来し、いつ何時でも撮影に入れるよう、常日頃からジムへ通うアクション映画俳優の鑑だ。

続いては、ホアキン・フェニックスが絶食寸前の危険な減量に挑み、狂気のダークヒーローを演じ切った『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(2024年)からM7。全力疾走するシーンはもちろんスタントなし。ホアキン自身、よろよろと身体を引きずりながらトレーニングに励んだという。

『バットマン vsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)から、まるで原作そのままの見事な佇まいでワンダーウーマンを演じているガル・ガッドット。アクションのキレが称賛されえる彼女は、兵役を経験しており、俳優になった現在でも普段からワークアウトを欠かさないという。シリーズ第2作目『ワンダーウーマン 1984』(2020年)の運動会シーンで印象的なM8、そして1作目の『ワンダーウーマン』(2017年)から壮大なM9を。この2曲は迫力あるオーケストラ曲。今日のランニングのクライマックスを飾るのにふさわしいスコアになっている。

そして最後は『スーパーガール』(2026年)のサウンドトラックから、緩やかで、壮大な楽曲を聴きながらランニングを締めよう。