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アスリートを悩ませる運動後の睡眠と疲労回復。対策の鍵はフルスルチアミンか。

“追い込むほど、よく眠れる“は本当か。高強度の筋トレと有酸素運動を比較した実験で、睡眠の質に明確な差が示された。いま、睡眠と疲労、両方の対策について探るべく、フルスルチアミンを用いた第2弾研究も進行中だ。

取材・文・編集/大田原 透  イラストレーション/世戸ヒロアキ

初出『Tarzan』No.921・2026年3月12日発売

有酸素と筋トレをしているマッチョな男性のイラスト
教えてくれた人

大藏倫博(おおくら・ともひろ)/筑波大学体育系教授。国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)主任研究者。専門は、健康増進学、運動疫学、体力測定およびその評価、肥満や高齢者の健康支援など。IIISは、睡眠覚醒機構の解明を目指し、基礎から臨床まで網羅する世界トップレベルの研究拠点。

筋トレ vs 有酸素、20人のハードな睡眠実験がスタート!

運動好きなら、思わず身を乗り出して知りたくなる研究が筑波大学で行われた。

「運動習慣のない、平均23歳の成人男性20人のデータを集めました。運動による身体的な疲労状態を作り、脳波で見る睡眠指標、血液、主観的な検査、認知機能的な検査も行い多角的に疲労と睡眠を評価しました。脳波は、睡眠の質を評価する最新の指標であるデルタ波(深い眠りで現れるデルタ波の出現量)にも着目しています」と語るのは、この研究を指揮した筑波大学の大藏倫博教授。

筋トレは、4種類(チェストプレス、ロウイング、レッグプレス、レッグカール)。負荷設定は、1回しか上げられない1RM(限界挙上重量)の80%。これで“もう上げられない“とオールアウトするまでが1セット。それを3セット×4種目、という内容である。

一方の有酸素運動は、屋内でのバイクマシン(自転車エルゴメーター)。1分間に60〜70回転で、さらに負荷をかけ、被験者の最大心拍数の80%の負荷に設定して60分間漕ぎ続ける。実験は秋から冬にかけて行われたが、誰もが汗だくで体力の限界まで追い込んだ。

大藏先生は、同大学の国際統合睡眠医科学研究機構にも所属し、このプロジェクトを機構長の柳沢正史教授と進めているという。

「睡眠中の脳波は、運動する前の晩、当日の夜、そして翌日の夜に測り、3日間とも翌朝にもデータを集めて解析しています。実験では、80%の高強度だけでなく、それぞれ60%の中強度でも行いました。結果として、中強度では、筋トレと有酸素運動での睡眠の質への有意な影響は見られませんでした。しかし、高強度では、有酸素運動は睡眠の質を低下させ、筋トレで睡眠の質が良くなるという結果が得られました」

頭に実験装置をつけている学生
筑波大学の生徒が有酸素と筋トレをして実験している写真

●対象者:平均23歳の成人男性20人(23.4±2.2歳)。
●研究デザイン:無作為化クロスオーバー試験(以下の全ての試行は、18:00頃から60分間実施)。
●有酸素運動:自転車エルゴメーター(最大負荷テストにて、対象者ごとに最大心拍数を測定)。中強度:最大心拍数の60%、高強度:最大心拍数の80%。
●レジスタンス運動:マシンウェイトトレーニング(4種目:チェストプレス、ロウイング、レッグカール、レッグプレス。1RMテストにて、対象者ごとに1RMを算出)。中強度:1RMの60%、高強度:1RMの80%。
●安静座位:映画視聴。
●疲労評価:中強度・高強度の運動負荷後の主観的および客観的な疲労度の変化。
●睡眠評価:S’UIMIN社「InSomnograf」による(客観的な)中途覚醒時間、総睡眠時間、睡眠効率、N3睡眠中のデルタパワー。「主観的な睡眠の質」はOSA睡眠調査票による(主観的)疲労回復項目、総合得点。

高強度のレジスタンス運動(≒筋トレ)は、睡眠の質を向上させる。

研究結果

出典/「運動による身体的疲労が夜間の睡眠に与える影響。運動の様式と強度の違いに着目して」(2025年日本睡眠学会第49回定期学術集会での口頭発表資料)

高強度の有酸素運動は、睡眠の質を低下させる!?

大藏先生によると、実際、マラソンやウルトラマラソンを走るトップアスリートの中には、睡眠の悩みを抱える選手が多いのだとか。

「今回の実験のように、夕方に高強度の有酸素運動で疲労困憊まで追い込むと、主観的な疲労感を示すだけでなく、睡眠効率まで悪くさせてしまいました。最近、高強度の有酸素運動が、自律神経のバランスを崩して睡眠の質を下げるのではという、私たちの実験を支持する研究も、いくつか出てきています」

筋トレ好きのトレーニーが喜ぶ“睡眠の質を上げる”結果は、どのような理由なのだろうか?

「推論として、筋トレによって、マイオカインと呼ばれるホルモンや神経栄養因子の分泌を促進して睡眠の質を向上させたと考えられます。また、運動中の交感神経活性化が、回復期の副交感神経優位を生み出したとも考えられます」

さらに興味深いことに、有酸素運動では、運動を行った翌日の睡眠にまで「持ち越し効果」として悪い影響が続いている。一方の筋トレでは、運動翌日の睡眠にも好影響を与えているのだとか。

毎日連続しての筋トレや、屋外でのサイクリングやマラソンでの影響など、興味は尽きない。

「今回の実験は、入り口にすぎません。単に“運動はカラダにいい”というのではなく、良い面と悪い面があることを、知識として得ておきたいですね。そのうえで、睡眠を悪化させない対策を講じるための基礎となる研究なのです」

実験の第2弾で試されるリカバリーの成分とは?

大切なのは、運動によって疲労度や睡眠の質が異なるため、疲労回復と睡眠改善に着目したリカバリーの対策を講じることなのだ。となると、気になるのはリカバリーに何を選ぶか? 大藏先生は、実験の第2弾として、抗疲労成分のフルスルチアミンを使った実験の準備を進めているという。

「抗疲労成分によって、高強度の有酸素運動がもたらす疲労を回復する際に、睡眠の質がどうなるか、とても興味深いですね。第2弾も長期的な実験になるので、論文発表できるのは2027年になる見込みです」

大藏先生のチームの研究は、今までとは異なり、睡眠の質を悪化させる運動を特定し、さらにその悪化を防ぐ可能性のある成分を研究するという世界的にもオリジナリティに溢れる研究になるという。

もちろん結果が気になる。来年まで、しっかり運動を続けつつ、果報を寝て待とう!

フルスルチアミンの効果、気になるぞ!

実験の第2弾では、抗疲労成分・フルスルチアミンが用いられる。

フルスルチアミンは、腸からの吸収が良くなるようにビタミンB1の分子構造がわずかに変更されたビタミンB1の誘導体。腸から吸収されると、血流に乗って脳や心臓、筋肉など全身の組織によく行き渡る(下表参照)。そして、各組織で活性型ビタミンB1となって機能を発揮する。

フルスルチアミン

フルスルチアミンはビタミンB1に比べ、組織との親和性が高く、組織・臓器へ高濃度に移行する(標識を付けたフルスルチアミンまたはビタミンB1を、ラットに経口投与した時の体内動態を確認。玉の数が多いほど、組織移行が良い)。

出典/アリナミン製薬「フルスルチアミン疲れLab.」より

フルスルチアミンの効果として広く知られるのが、疲労状態からの回復だろう。各組織でフルスルチアミンから変換された活性型ビタミンB1は、糖質からエネルギーのもと(ATP)を作り出す際に働き、傷んだ神経細胞や筋細胞を修復するのだ。

実際に、運動後の筋肉中のATP濃度を調べた実験では、フルスルチアミン投与により、筋ATPの減少が抑制された(下図参照)。

注目すべきは睡眠への効果だろう。睡眠中の疲労回復、そして睡眠の質改善に、フルスルチアミンがどのような効果を発揮するかは興味深い。

なお、ビタミンB1は、豚肉や豆類などに含まれるが、水溶性ビタミンなので調理などで失われやすく、体内で貯蔵ができないため、不足しがちとされる。ビタミンB1の不足は、集中力の低下、食欲不振、筋力の低下、イライラ、記憶力の低下などに繫がることが知られているのだ。

フルスルチアミンは、ビタミンB1不足によって引き起こされるさまざまな症状に対処できる可能性がある。

フルスルチアミンが医薬品の成分に認められているのも、なるほど納得なのである。

フルスルチアミンは、筋ATP量の低下を抑制する。

フルスルチアミン投与により、筋ATPの減少が抑制された図

動物の水泳実験データ。運動直後の下肢の大腿四頭筋および腓腹筋にあたる筋肉中のATP濃度を調べた。フルスルチアミンを与えた群は、動物の遊泳時間が延長し、そのメカニズムとして、筋ATPの減少抑制が示された。

出典/Nozaki S. et al.: Nutrition Research 29(12): 867-872. 2009より改変

Information

問い合わせ先/アリナミン製薬
TEL/03-6212-8501(代表)
月曜〜金曜(土・日・祝日・その他の同社休業日を除く)9:00〜17:00
https://alinamin-pharma.co.jp/

今回の研究結果の解説動画をはじめ、様々な健康情報を紹介しているYouTubeはこちら
健康サイト(アリナミン製薬)【公式】