
Profile
辰巳和磨(たつみ・かずま)/1990年生まれ。近年は『SHOGUN 将軍』(ディズニープラス)、『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK)に出演。稽古の応募はHP(https://tatsumi-kazuma.jp)で受け付け中。
基本動作の「構え」と「すり足」こそが腰痛知らずの軸である。
辰巳さんのケアメソッド
- 舞台の外でも足の親指に重心を置いて歩く。
- 43℃の湯に10分間浸かる。
- クエン酸を飲んで一日を締める。
扇を広げた瞬間に「本舞台」の気配が満ちた。「引分ケ(ひきわけ)」と呼ばれる型で、遠くのものを見つめているのだという。感情を露わにするのではなく、動きや音の“気配”で情景や心境を暗示する能楽。
観る者は所作の余白から物語を汲み取り、想像を巡らせる。辰巳和磨さんの姿勢に注目すると、中腰のようにも映る。長丁場ではカラダへの負担が大きそうだ。

「むしろ逆です。これは“構え”といって、最初に覚える基本動作です。背すじを伸ばして胸を開き、膝を軽く緩める。上半身の重心は折り曲げた手の小指に、下半身は足の親指に預けます。すると腰が立ち、体幹が整う。さらには背すじと足腰の耐性も高まります」
さらに踵を上げずに進む「すり足」は深層部に働きかける。
「この2つの型こそが、腰痛知らずでいられる所以なんですよ」
横から見ると腰が立っているのがよくわかる。趣味で能を始めた人が「構え」を覚えたことで、腰痛が軽くなったという報告もあるそう。

小道具の扇は、小指に重心を預けて握る。
シテ方(主演)を務める宝生流に4歳で入門。基本動作はカラダに染み込み、舞台の外でも足の親指に重心を置いて歩くという。
「生徒への指導も含めると、稽古は1日10時間。芸を磨くのが主題ですが、所作そのものがフィジカルの鍛錬にもなっています」
さらには海外公演や映像作品への参加も。舞台に穴をあけないようコンディション管理は必須だ。
「疲れを翌日に持ち越さないようにしています。夜は熱めの湯船に浸かり、クエン酸を摂取します。50歳でようやく一人前とされるこの世界。芸とカラダと向き合いながら積み重ねていきたいですね」


