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猫背・首こり・腰痛の元凶!背骨のC字化を防ぐには?

スマホ姿勢や長時間の座り姿勢で、背骨が本来のS字からC字へと丸まる人が急増中。放置すれば猫背や首下がり症候群の原因にも。脊椎専門医・石井賢先生のメソッドで、背骨の弾力と若々しい姿勢を取り戻そう。

取材・文/井上健二 イラストレーション/高橋 潤 取材協力・監修/石井 賢(New Spineクリニック東京総院長、脊椎疾患専門医)

初出『Tarzan』No.910・2025年9月11日発売

教えてくれた人

石井賢(いしい・けん)/脊椎疾患専門医。New Spineクリニック東京総院長、慶應義塾大学医学部整形外科前特任教授、医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、ハーバード大学などで研鑽を積む。脊椎最小侵襲・内視鏡手術の第一人者。

C字タイプが多い現実。背骨から姿勢を変える。

自然界に直線はないとか。カラダの大黒柱である背骨も例外ではない。

背骨は正面からだとまっすぐに見えるが、真横から見ると頸椎は前方、胸椎は後方、腰椎は前方にカーブする緩やかなS字を描く。それにより、頭の重みや着地衝撃をスプリングのように吸収・分散させている。

真横から見た正常な背骨。

正常な背骨

背骨は、可動性のある24個の椎骨が縦一列に連なったもの。前彎する7個の頸椎、後彎する12個の胸椎、前彎する5個の腰椎からなる。腰椎下の仙骨、尾骨と合わせて「脊椎」と呼ぶ。

背骨という大黒柱は、多くの筋肉で支えられている。S字カーブが乱れると、こうした筋肉が過度に緊張して凝りや痛みが起こる。また背骨に沿って自律神経などの大事な神経や血管が走るため、その歪みで神経や血管が悪影響を受けると、代謝や血流や免疫などにも不調が広がる。

「ことに現代人には背骨全体がC字に丸まったタイプが多く、それが猫背、首こり、肩こり、腰痛、背骨の圧迫骨折などの引き金となります。背骨が丸まるとそれだけ身長が縮み、老けて見える一因になりかねない。最近は頭が落ちて顔が上げられない“首下がり症候群”も増えています」(脊椎疾患専門医の石井賢医師)

背骨がC形になり、首下がり症候群に。

背骨がC形に

頸椎の前彎が失われて後彎し、胸椎の後彎も強くなると、背骨がC形になり頭が前方へ垂れ下がる首下がり症候群に至る。高齢女性に多く、首を後ろに反らす頸椎伸筋群が機能不全を示す。

※ 出典/石井賢 編『首下がり症候群の診療マニュアル—病態・診断・治療まで』(三輪書店)、石井賢 著『丸まった背中 曲がった腰・うつむいた首 何歳からでも自分で伸ばせる! 名医が教える最新1分体操大全』(文響社)

背骨が丸まる主な理由は2つ。

第1に、スマホやパソコンの操作などで前屈みを続けること。頭はボウリングのボールほどの重さ(5〜6kg)があるため、重みを分散させるために前彎しているはずの頸椎が後彎し、胸椎の後彎も強まる。

第2に、坐っている時間が長いこと。椅子には骨盤を立てて坐骨で坐るべきだが、長く坐り続けると疲れて背もたれに背中を預け、骨盤を後傾させてラクしたくなる。結果、前彎するべき腰椎まで後彎してくる。

スマホなどの操作中を含め、坐った姿勢を正しく保つとともに、石井先生が考案した「おなかのばし」で背骨のS字カーブを取り戻したい。下のチェックで該当者は、首下がり症候群を解消する運動にも挑んで。

歩くようになり、S字カーブは完成。

歩くようになりS字カーブは完成

胎児や新生児の背骨は丸まったC形。首が据わり頭を持ち上げると頸椎の前彎が生じ、立って二足歩行するようになると腰椎も前彎。胸椎はC形のままなのでS字カーブに。

壁立ちチェック|背骨の丸まり具合を確かめよう。

壁際で後ろ向きに立ち、力まずいい姿勢を意識することなく、踵とお尻を壁につける。肩甲骨と後頭部が壁につけば合格。

チェック

肩甲骨も後頭部も壁につかない場合。

頸椎、胸椎、腰椎で背骨が丸まっている。「おなかのばし」と「首下がり症候群リセット」を両方行う。

肩甲骨はつくのに後頭部がつかない場合。

おもに頸椎で背骨が丸まっている。「首下がり症候群リセット」を行う。

おなかのばし|S字カーブを取り戻すストレッチ。

うつ伏せ胸離し(10回×3セット)

うつ伏せ胸離し

  1. 床でうつ伏せになり、両肘を曲げて肩の真横につく。両脚を肩幅でまっすぐ伸ばす。
  2. 鼻から息を吸いながら、両肘で床を押し、胸を床から離して上体を起こす。
  3. 骨盤を床から離さないこと。できる人は肘を伸ばして背中をさらに反らせる。首や腰に痛みが出ない範囲で。
背中枕ストレッチ(10回×3セット)

背中枕ストレッチ

  1. 床で仰向けになり、バスタオルを筒状に丸めて胸の下に横に置く。両腕を伸ばし、お腹の上で両手を組む。
  2. 両脚を肩幅でまっすぐ伸ばす。鼻から息を吸いながら、半円を描くように両手をゆっくりと頭上に上げる。できる人はさらに頭の先まで両手を下ろし、元に戻る。両肩に痛みが出ない範囲で。

首のトレーニング|首下がり症候群をリセット。

後頭部押し付け(10秒×3セット)

後頭部押し付け

  1. 仰向けになり、両腕を体側で伸ばし、両脚は肩幅でまっすぐ伸ばす。
  2. 自然に呼吸をしながら、顎を天井に向けるようにして後頭部を床に押し付け、首の後ろ側に力を込めて10秒キープ。
  3. ゆっくり元の姿勢に戻る。首の脊柱起立筋を強化。
顎引き(10秒×3セット)

顎引き

  1. 仰向けになり、両腕を体側で伸ばし、両脚は肩幅でまっすぐ伸ばす。
  2. 自然に呼吸をしながら、顎を天井に向けるように上げてから、二重顎を作るように顎を引いて10秒キープ。
  3. ゆっくり元の姿勢に戻る。首の前面で頸椎一つひとつに付く頸長筋を鍛える。