ギャラリーディレクター・伊勢春日さんの、登山に欠かせないコスメ。ささやかだけど、大事なこと。 vol.11
気持ちよく汗をかくときにこそ使いたいコスメやアイテムがある。日々身体を動かしているあの人がどんなものを愛用しているのか、アクティビティに同行して紹介。第11回はギャラリー「VOILLD」ディレクター、キュレーターの伊勢春日さんが登山の前後で使う3つのアイテムの話。
取材・文/佐々木彩 編集/黒木許子、撮影/伊藤明日香(ロケーション)、鳥羽田幹太(プロダクト)

Profile
伊勢春日(いせ・はるひ)/アートギャラリー「VOILLD」ディレクター・キュレーター。展示やイベントを通して現代アートをより身近に感じられる機会をつくる。また、作品コーディネートやアーティストマネージメント、「TOKYO ART BAZAAR」の企画運営、広告制作、現代美術作家・加賀美健とのポッドキャストなど、アートを軸に多岐に活動を行っている。
冬以外はほぼ毎週末登山に出かけている伊勢春日さん。初めての入山は2年前、友人に誘われてのものだった。その日、すっかりハイクに魅せられて以来、ひとりでもどんどん新しい山の開拓を続けている。
「魅力は、なんといっても都会にはない景色。それが気持ちいい。そして登り切ることで味わえる達成感も特別です。山の中腹あたりまでのんびり歩いて下山して温泉へ、という楽しみ方もありますよね。でも、私は達成感が欲しいから、必ず登頂できるように心掛けています」
これまで天候不良以外の理由で断念したことはなく、挑んだ山は全て登頂。
「絶対に今日のうちに登る!と自分を追い込んでいきます。精神面・体力面ともに苦しさを感じることもありますが、それを跳ね返していくんです」


朝9時過ぎに出発。なだらかな道が続くなかでも、「どこに足を置くべきか考えながら歩くのが楽しい」と話してくれた。
もともとあまり運動習慣はなかったが、日常的に何かしようと思っていたときに、山登りに出合ったという。かなりの頻度で山に通っているが、「がんばって行く」という意識はない。
「ピラティスやヨガ、ジムも検討したことがあるのですが、同じ場所に留まることが、なんだか苦痛に感じたんです。マシーンで動作を繰り返すのも性に合わないというか。ランニングもいいなと思ったことがあるけど、いつも目にしている街中を走っていると、飽きてしまうんです。それ対して山登りは、常に景色や空気が変わり続けるところが、すごくいい。全身を使うスポーツだし、怪我をしないように足元にも気をつけながら歩くので集中力も必要。アドベンチャー要素があって、一度ハマったらどんどん次の場所に行きたくなってしまいました」


「結局あまり写真を撮らずに終わることも多いのですが」と言いながら、コンパクトカメラで印象に残った自然を切り取る。
山道で目に飛び込んでくる自然の光景は、実はかなりの情報量を持っている。一口に山と言っても、それぞれ道のりも傾斜も異なっているから、無意識的に頭を使う。
「この植物は見たことがないな、あの稜線がきれいだなど、目に映るものすべてが新鮮で、観察するのも楽しい。あと、登山が面白いのは、自分ひとりで完結できるところ。試合のように相手がいるものではなくて、途中で引き返さずに登り切れるかという自分との戦いですから。普段の仕事では、アーティストや関係者と一緒でないとプロジェクトが進められない。自分だけで何かを達成できることはほとんどないので、登山は、真逆の世界ですね」
行き先は、常にそれまで経験した山と比較して決める。たとえば、前に登った山よりも少しだけ標高の高い山、頂上までの距離が数キロ長くなる山を選んで、少しずつ目標を上げていく。挑戦する山のレベルとともに、山頂での充実感もアップするのだという。

週末のたびに山へ出かけるため、身体のコンディションも日頃から整えている。
「もともと美容オタク。そこから、健康オタクになりました」という伊勢さんは、砂糖や肉、乳製品、小麦を普段から控えているのだそう。
「コロナ禍の間に、自分に合う食生活をいろいろ試しました。そして山に行くようになった今、食事面ではさらに気を使っています。数日前からタンパク質多めの食事にしたり、お酒を控えたり。体力づくりという意味では、散歩は大好きですが、それ以外はこれといって運動はしていません。でも、家で隙間時間にバンドを使ったトレーニングをしていますね。以前、下山時に膝を痛めてしまって。そのとき、太ももの横の筋肉が大事だと聞いて、意識して鍛えているんです。そして、下山したらケアも入念に。疲れを残さないことで、次の山への準備にもなっているかもしれません」
愛用ケアグッズの筆頭は、微弱な電流を発生させるマッサージツール、ネオヒーラーだ。
「血流を改善し、炎症をおさめる効果が気になっていて、2年ほど前から買うか迷っていたんです。一緒にポッドキャストをしている加賀美健さんにおすすめされて、とうとう先日購入しました!マッサージするように足や腕、首に当てていると、筋肉痛や疲れが取れやすくなる。全身に使えますし、充電がいらないので、出張や山小屋に泊まるときも持っていきやすいんですよ」
紫外線も気になる登山中は、スティックタイプの日焼け止めが活躍するという。
「韓国に行った時に購入しました。界面活性剤が入っていないのも良いですし、何より鏡なしで “ノールック“で塗れる。休憩中にパパっと塗り直せるので便利です。アロエが配合されていて、ほんのりいい香りもします」
下山後、家に帰ったら、お香を焚いて心身を休めるのも伊勢さんのルーティーン。仕事で縁のある佐賀で出会ったブランド〈リセント〉は、「自分らしく生きることを大切に、きちんと休む時間をつくろうというコンセプトに共感」とのこと。いちばん好きな香りを紹介してくれた。
「ホワイトツリーは香り方もエレガントで、ふわりと和む。山小屋で焚いても違和感のなさそうな、自然に寄り添う香調なんです。原料はすべて佐賀県産の有機のもので、無添加なところも魅力」

疲れて帰ったあとに、ゆっくりと心身をニュートラルに戻してくれるお香。
旅に行けばその土地の山を探すのも習慣になった。韓国でも現地の仕事相手に教わった北漢山にトライ。地方出張時にもどんどん新しいいただきに挑戦していく。
「愛媛の石鎚山と大分の久住山にも登りました。それぞれ西日本、九州最高峰の山なのですが、やはり関東の山とは広がる景色が異なり、また違った感動と爽快感がありました。山の数だけ眺めがある。もっといろいろな山に登っていきたいと思っています」

こんなアイテムも、おすすめです。
登山の前後に使いたい、伊勢さんの愛用コスメに着想したアイテムを、Tarzan Web編集部が見つけました。
マイクロカレント機器
習慣にしたいケアツール
UVスティック
手軽で直塗り可能なスティックタイプ
お香
ウッディで甘いインセンス














