
教えてくれた人
水上健(みずかみ・たけし)/国立病院機構久里浜医療センター内視鏡部長。医学博士。便秘・過敏性腸症候群治療の第一人者として、現場で多くの患者の診察に当たる。「ねじれ腸」「落下腸」の発見者でもある。
白本彩奈(しらもと・あやな)/女優、モデル。2002年、東京都出身。3歳から芸能活動を開始。24年公開の映画『箱男』のヒロイン・葉子役でも注目を集める。スポーツ万能で、趣味は殺陣。「見かけは派手なのに、実は繊細なところに惹かれています」。
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日本人は、ねじれ&サガリ腸が8割。
腸活では腸内細菌ばかりにスポットが当たりがちだが、その他にも腸内環境を良くするうえで重要なポイントがある。それは大腸のフォルムを整えることだ。 一般的に大腸は、下のイラストのように規則正しく直線的な四角形をしていると思われている。
「でも、日本人の約8割の大腸は、途中でねじれた“ねじれ腸”か、ねじれて便が詰まりやすく、腸の固定が悪いと腸全体がその重みで骨盤内に落ち込む“落下腸”(以下、ねじれ&サガリ腸)がある。専門的には“腸管形態異常”と呼び、どちらも便通が滞って便秘に陥りやすい。すると腸内細菌の働きが悪くなり、本来出さなくてはならない便が滞ると、異常発酵を起こしてガスが大量発生することもあります」(大腸内視鏡検査の第一人者、水上健医師)
水上先生が、日本人の大腸がおかしいと気づいたのは、ドイツの大学で大腸内視鏡検査の指導に当たっていたとき。その間に内視鏡検査を行った100人前後のドイツ人は全員、肛門からいちばん奥の盲腸まで内視鏡を入れるのに、3分程度しかかからなかった。
「日本人の内視鏡検査では悪戦苦闘することも多く、なかには40分ほど要する例もある。この違いの要因を調べるうち、ドイツ人の多くは直線的な四角形の大腸を持っているのに、日本人には整然とした四角形の大腸を持つ人は2割ほどしかいないとわかったのです」
大腸がイレギュラーにクネクネしていたら、内視鏡が入りづらいのは当然。便秘が生じやすく、腸内環境も悪くなりやすいだろう。 なぜ日本人にはねじれ&サガリ腸が多いのか。理由を特定するのは難しいが、おそらく何らかの遺伝的要因が関わると考えられる。 加えて運動不足と姿勢も問題。
「お腹を上下左右に揺さぶるような運動を習慣にしていれば、大腸の形はどうあれ、少なくとも便は詰まりにくい。また、姿勢が悪いと、肝臓に押されて大腸が骨盤に落ち込みやすいのです」
便秘に悩んだり、腸内環境が気になったりするなら、ねじれ&サガリ腸の可能性が高い。適度な運動と姿勢改善に励み、大腸の中身をしっかり出せるように整えたい。
より手軽に大腸をメンテナンスできるのが、これから紹介する水上先生考案のマッサージ&リズム体操の組み合わせ。調子が悪い人は毎日行い、ねじれ&サガリ腸を整えて腸内環境も改善しよう。
※急な便秘や体重減少、血便や発熱がある場合は医療機関を受診しましょう。
詰まりを解消する3つの腸ゆらしマッサージ。
便秘とそれに伴う腸内環境の悪化を避けたいなら、真っ先に正すべきなのは、大腸の出口に近い下行結腸とS状結腸の乱れ。
「大腸のうち、小腸に近い上行結腸を通る便は水分が多くシャバシャバなので詰まりようがない。水分吸収が進み、便が硬くなる下行結腸やS状結腸にねじれがあると、便秘が起こりやすく、腸内環境の悪化に直結しやすい。それを避けたいならマッサージが有効です」
下行結腸とS状結腸+横行結腸を、指を使ってリズミカルにゆらすマッサージと持ち上げるマッサージで正しく整えたら、詰まりが解消しやすい。いずれも腹部の力みを取り、大腸を動きやすくするため、仰向けで行うとよい。
【基本姿勢】

仰向けになり、両膝を肩幅に開いて立てて曲げる。お尻の下にクッションや畳んだバスタオルを置くと、お腹がリラックスできてマッサージしやすくなる。下行結腸の詰まりをリセット。
POINT
- 力加減は、指先がお腹に少し沈む程度。
- それぞれ1分間を目安に行う。
- お腹の中で拍動しているのは動脈。そこを避けてマッサージする。
1.左腹部トントンマッサージ|下行結腸の詰まりをリセット。

- 基本姿勢を取り、親指以外の4指を左腹部に置く。指はしっかり伸ばす。
- 肋骨の下から骨盤に向け、右手、左手を左右から交互に押し込みながら、下行結腸をゆらしてマッサージ。骨盤まで押したら、肋骨下に戻って繰り返す。
2.下腹部トントンマッサージ|S状結腸の流れをスムーズに。

- 基本姿勢を取り、親指以外の4指を下腹部に置く。指はしっかり伸ばす。
- 骨盤の底の恥骨からヘソ上まで、右手、左手を左右から交互に押し込みながら、S状結腸をゆらしてマッサージ。ヘソまで押したら恥骨に戻って繰り返す。
3.腸持ち上げマッサージ|落下腸の詰まりを取って整える。

- 基本姿勢を取り、親指以外の4指を恥骨の少し上に置く。指はしっかり伸ばす。
- 落ちた横行結腸を持ち上げるイメージで、両手の指で下腹部をヘソまでゆさゆさゆらしてリフトアップ。ヘソまで上げたら、恥骨に戻って反復。
朝食前の3分間リズム体操でスッキリ!
若い女性には便秘に悩む人も多いけれど、体育学部の女性には便秘で悩む人がほとんどいないとか。
「それは運動で日常的にカラダをひねり、揺らす動きに励んでいるため、ねじれ腸や落下腸が解消されているためだと考えられます」
そこで水上先生は、東京女子体育大学教授で、新体操界のレジェンドでもある秋山エリカ先生に協力を依頼。新体操の優雅な動きを取り入れつつ、お腹と骨盤をひねったり、揺らしたりして腸管を整えて便通を促進する「おなかにいいリズム体操」が完成した。
ここではそのハイライトを紹介する。簡単かつ2〜3分で終わるから、ラジオ体操感覚で毎朝朝食前に取り組んでもらいたい。
POINT
- 途切れなく連続してリズミカルに続ける。
- 全部通して3分間前後で行う。
その1

- 両足を肩幅に開いてまっすぐ立ち、両手を腰に当てる。
- 爪先を軽く外側に向けて、両膝を伸ばす。踵を高く引き上げて爪先立ちになり、ストンと踵を落とす。6回。
その2

- 膝を軽く曲げ、両足の位置を動かさずに腰を左右交互に大きく3回振る。左に振るときは左足、右に振るときには右足に体重を乗せる。
その3

- 両腕を体側に下げ、肩を回しながら腕を後ろから前に回しつつ、膝を少し曲げて腹筋を縮めるように意識。
- ヘソを覗き込むように背中を丸め両腕を肩の真下でダランと下げる。これを2回。
その4

- 両手を胸の前で合わせ、両腕を斜め下へ伸ばし、膝を曲げてヘソを覗き込んで背中を丸める。
- そのまま両手を天井へ伸ばし、膝を伸ばして伸びをする。
- 両腕でバンザイをし、胸を張り背中を反らせてお腹を突き出す。これを2回。
その5

- 両足を揃えて立ち、両手を腰に添える。
- 左足を半歩前に出し、真後ろを見るように息を吐きながら上体を左側へひねり、軽く戻す。動きを徐々に大きくしながら5回繰り返す。左右を変えて同様に行う。
その6

- 5と同じことを、両腕を天井に伸ばして両手を頭上で組んで行う。左右5回ずつ。
その7

- 両足を肩幅に開き、前傾して両手を膝に置く。
- そのまま軽く膝の屈伸を4回行う。
その8

- 7と同じことを、両足を閉じて4回行う。
- その後7に戻り、7と8を今度は3回ずつ。
その9

- 両足を肩幅に開いてまっすぐ立ち、両手を頭の後ろで組む。
- 左膝を引き上げながらカラダを左側へひねり、左膝と右肘を近づける。これを左右交互に4回繰り返す。




