ヨガと気づき|vol.47

メルボルン出身・東京在住の人気イラストレーター、エイドリアン・ホーガンさんは、数年前にヨガを始めて以来、ライフスタイルが少しずつ変わってきたそう。ヨガが与えてくれるささやかな日々の気づきを、毎週コミックエッセイ形式で紹介します。

イラスト・文/エイドリアン・ホーガン

実は、僕は「ヘッドスタンド」という逆さまになるポーズがとても苦手です。どうしても緊張してしまって、動きに意識を向けすぎると、今度は集中力が切れてしまうんです。

若いヨギーたちが集まるスタジオでは、クラスが終わった直後、こんな風にスマートフォンを手に取る生徒を見かけることがあります。逆さまになる感覚に慣れますし、転倒のリスクも少ないので、もしかしてこれはいい練習になるのでは? と思う時があります。

先生のコメント

あらあら、緊急時以外でクラス後にすぐスマートフォンを見るようでは、まだまだヨギーとは言えませんね。

現代では、ヨガ愛好者に対しても「ヨギー」や「ヨギーニ」と呼ぶ場合がありますが、これは本来のインドの概念では、ヨガを通して「最高の精神的洞察」や「高次元の悟り」に到達した人や、先生、またはその過程にいる人を指す呼び名です。ヨギーは自然な感覚や直感、洞察力も鋭く、スマートフォン中毒とは遠い次元にいます。

昨今は、お仕事以外でも常にスマートフォンを見すぎてしまう人が多いです。それは当然メンタルにも良くないですが、過度な情報量のせいで、そのことにすら気づけない人も多かったり。イライラしたり、アップダウンが激しくなって周囲に迷惑をかけないためにも、せめて寝る前の数時間は、スマートフォンから離れ、デジタルデトックスしましょう。そうすれば、睡眠の質も向上します。

それからヘッドスタンドについて。これは、とにかく慣れです。極めた人は、足で立つのと同じように、手で立つことができます。でも初めのうちは、ケガがないように、ポーズへの入りは必ず先生と行ってくださいね。

緊張している、ということはすなわち恐怖心を感じているとも言えますが、それは何に対して恐れを抱いているのでしょうか?その理由を探ることが、自己探究にも繋がっていきます。そうして少しずつでも恐怖心を克服していけば、その先でマインドの変化が訪れます。だからヘッドスタンドが上達する頃には、思考とマインドも、きっと変化しているはずですよ。