マリーゴールド
違う属性の植物をひとまとめに「マリーゴールド」と呼んでいる場合があります。マリーゴールドとよく似ていますが、厳密に言えば違う属性の植物であるカレンデュラもそのうちのひとつ。肌の炎症を抑える効果があって、化粧水やクリームに多く用いられています。
一方でハーブとしてはあまり活用されていないのが、いわゆるフレンチ系と呼ばれるマリーゴールド。メキシカンマリーゴールドやレモンジャムなど食用にもおすすめの品種も多く、今回は中でも一押しのレモンマリーゴールドを紹介したいんです。
台湾や中国でも茶として飲まれていたり、生花はエディブルフラワーとしてサラダで食べたりもします。キク科の花の多くは食用にできるんですが、ぜひ試していただきたいのは、葉っぱの活用なんです。肉料理にも相性がいいですし、個人的にはフムスなど豆料理の合わせるのもおすすめです。
蕾はケッパーのように薬味にもなりますし、実は全草余すところなく使える。畑で作物の脇に植えるコンパニオンプランツとしても益虫を呼びますし、農業的にも有用性が高い植物なんです。
こんなふうに使ってみるのはどう?
●「食べる」
レモンマリーゴールドのグレモラータ 鶏肉の塩煮
ー材料ー
・マリーゴールド 20g
・オリーブオイル 50g
・ニンニク 1g
・ケッパー 25g
・塩 1g
・レモンピール 1個分
・レモン汁 1g
・鶏肉 2枚
・白ワイン 50ml
・玉ねぎ 1個
・塩 適量
・水 500ml
ー作り方ー
イタリアの薬味のようなソース、グレモラータを作ります。ミラノにはオーソブッコという煮込み料理がありますが、こっくりとした味なのでキレを出すために使うソースが、グレモラータ。イタリアンパセリとケッパー、レモン汁で作るのが一般的ですが、今回は同じく柑橘系の香りを持つマリーゴールドで作ります。オーソブッコは牛のスネ肉を使うんですが、入手しづらいと思うので、鶏肉を使いました。花はレモンマリーゴールド、それからオレンジのような甘い香りが特徴のメキシカンマリーゴールドをブレンドして使っています。
マリーゴールドは料理人の中でも、エスニックを好きな人が好むように思います。中華料理の豚の煮込み、トンポーローを作ったときにも、マリーゴールドの茎をスパイスのように使いました。実はどんな料理にも合わせやすい、優秀なハーブです。
●「使う」
マリーゴールドのインフューズド・オイル
―材料―
・オリーブオイル(未精製・エクストラバージンがおすすめ) 100ml
・レモンマリーゴールドまたはフレンチマリーゴールドの葉や花 適量
今回はレモンマリーゴールド、そして本来は別の属性の植物ですがマリーゴールドとしての認知のある、カレンデュラを合わせます。化粧水にも使われるカレンデュラには肌の炎症を抑える効果がありますし、レモンマリーゴールドは、柑橘の香りが高いんです。今回はエクストラバージンオイルに漬け込んで、料理にも使えて、肌につけてもいいというオイルに仕上げます。
漬けてからはおよそ2週間ほどで使えます。フレッシュな素材は青みがありますが、乾燥すると、その青みが抜けるので、ドライにしてから漬け込んでもいいでしょう。レモンマリーゴールドは多年生の植物ですので、冬に枯れる直前に収穫すると、全草使うことができます。オイルはストックしておけるので、料理の最後に香り漬けとしても垂らして使ってみてください。
10月のハーブスタンドの様子
富士北麓では山の果実も赤や紫色に熟し始め、紅葉も徐々に始まり、色鮮やかな秋の山へと移り変わってきました。