老化予防に“攻めの抗酸化ケア”が注目される理由。

疲れやすい、肌がくすむ。それは“カラダのさび”が原因かも。酸化ストレスにより、老化は加速する。時代は攻めの抗酸化ケアが必要だ!

取材・文/板倉みきこ イラストレーション/ハニュウミキ 監修/満尾 正(満尾クリニック院長)

初出『Tarzan』No.900・2025年4月3日発売

教えてくれた人

満尾正(みつお・ただし)/〈満尾クリニック〉院長。2002年、日本初のキレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを開設。食事療法に関する著書多数。

体内の酸化を進める、過度な運動や加齢。

疲労と老化には共通するメカニズムがある。キーワードは酸化=さびつきだ。生体酸化の進行と、抗酸化機能の低下がさびつきを生み、細胞は炎症して傷つき、脳機能にまで影響する。

「肌の衰えを感じたら、抗酸化力も落ちてきたサイン。抗酸化物質を積極的に摂り入れるなど具体的な努力が必要です」(医学博士の満尾正さん)

フルマラソンに挑戦したり、過度な有酸素運動を続けている人は、より酸化・老化対策が必要となる。さらに気になるのが、体内で慢性的な炎症を生む原因とされる、有害物質の蓄積だ。

「ヒ素や水銀などの摂取は、生きている限り避けられないもの。むしろ問題は肝臓の解毒作用が衰えることなんです。有害物質の処理が追いつかなくなり、さまざまな不調の原因になります」

まずは酸化ストレスの状態など、カラダの現状を知ること。

現状を知るために…。

尿検査

カラダのさびつき具合をチェックできる、尿中酸化ストレスマーカー検査(8—OHdG)。活性酸素により遺伝子・DNAが損傷した量を測定できる。トレーニング前にチェックし、その日の適正負荷の決定に役立てているアスリートもいる。

血液検査

栄養状態の過不足や、解毒・代謝に関わる肝臓と腎臓の状態、有害金属の蓄積量、炎症反応などをチェック。慢性的な疲労感や、体調不良の原因をある程度摑める。自分に合った食生活や生活習慣の見直しにも役立ち、効果的な抗酸化対策を行える。

溜まった有害金属の排出をサポートする“キレーション点滴”。

攻めの抗酸化対策が必要な人は、有害物質を除去するキレーション点滴を行うのもひとつの手だ。

キレーション点滴は、ヘルスケアの先進国・アメリカで約70年続く治療法。キレート剤(薬剤)を点滴で送り込み、体内に蓄積した有害金属を尿とともに排出させる療法だ。

当初は鉛中毒の患者の治療を目的に行われていたが、酸化ストレスの軽減などさまざまな効果が認められ、万能のアンチエイジング治療として日本でも人気。

「さらに近年で研究が進み、動脈硬化の予防効果や、血液中の再生細胞が増加したという検証結果も出てきました。細胞内のミトコンドリアの機能が改善したという発表もあり、肝機能の改善にも期待できます。現時点では、抗酸化・抗老化に最適な治療のひとつだと思います。血液検査で有害金属の蓄積量が多いと判明した人は、点滴をするとポジティブな体調変化を実感できるでしょう」

最新の研究で分かってきた効果。
  • 酸化ストレスの軽減
  • 動脈硬化の予防
  • 肝機能の改善
  • 再生細胞の増加