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心臓専門医が実践する習慣とは?心臓を労わる生活について聞く。

心臓

カラダの最重要器官・心臓のプロである心臓専門医は、普段の生活でどういったことを意識しているのか?筋トレから食生活、仕事中の「プチトレーニング」まで、カラダのために心がけている生活習慣について聞いてみた。

ストレスは成長できる機会と前向きに捉える|野田泰永医師の場合。

教えてくれた人

野田泰永(のだ・やすなが)/サクラクリニック理事長、日本循環器学会認定専門医、医学博士。現国立国際医療研究センター病院循環器外科、現JCHO東京新宿メディカルセンター外科医長を歴任。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。

心臓に良いと患者に薦める生活習慣は、自分でもすべて実践していると語るのが、野田医師。食事の節制と適度な運動を忘れず、体重は20歳のときと同じ。体型もスリムで実年齢以上に若々しい。

「毎日どんな栄養素をどのくらい摂取し、トータルで何キロカロリー摂ったかを把握しています。初めはアプリを活用していましたが、しばらく続けるとアプリに頼らなくてもわかるようになりました」(野田医師)

週3回ジムに通い、トレッドミルと筋トレで汗を流す。診察台の下にはダンベルが待機しており、隙間時間に鍛えることもある。

心臓

取材で伺った診察室には確かにダンベルが!思い立ってすぐできる環境作りが大事だとか。

運動は生活習慣病を防ぎ、心臓を守るために欠かせないが、定期的に運動する人は少数派。その状況を変えたいと、今年2月から24時間ジムの経営を新たに始めた。

心臓

ジム経営には信念が。「健康も資産。増やす努力、摑み取る気持ちが必要だと考えます」。

「いつでも運動できる社会環境作りをサポートしたいという思いで始めました。今年中にもう1施設をオープンする予定になっています」(野田医師)

ストレスの絶えない仕事だが、ストレスとはどう向き合うのか。

「ストレスは受け取り方次第でプラスにもマイナスにもなる。私はストレスを感じたら“自分が成長できるチャンスをもらった”とポジティブに捉えるようにしています」(野田医師)

デスクワーク中でも手軽な筋トレを実践|大島一太医師の場合。

教えてくれた人

大島一太(おおしま・かずたか)/大島医院院長、東京医科大学八王子医療センター循環器内科兼任講師。日本心臓病学会特別正会員、日本循環器学会心不全療養指導士実務部委員など併任。地域医療と高度専門医療を兼務する心臓病のスペシャリスト。

朝7時から診察を始め、すべての仕事が終わるのは午前2時すぎ。平均睡眠時間は3〜4時間ほど。1日に100人以上の患者と対峙する大島医師は、超多忙な日々を送る。

「心臓病の患者さんには“坐りすぎは良くない”“運動もしてください”とお話ししていますが、僕自身は運動する時間がほとんどない。診察中はほぼ坐っているので、平均歩数は1日3000歩ほど。先日何年かぶりにジムに立ち寄ったら、妻がこっそり解約していました(苦笑)」(大島医師)

まさに医者の不養生だが、じっと坐り続けるわけではない。合間を見てデスクスクワットに励む。

「デスクに手を添えたら、脚の力だけで立ち上がり、脚の力だけでゆっくり腰掛けます。これを1セット10回、毎日最低10セット以上行っています。これで足腰の筋肉を保ち、心臓病予防につなげています」(大島医師)

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隙間時間でできるので、大島先生は診察の合間に行っている。

おかげで毎朝必ず測る血圧は平均して上が115mmHg、下が80mmHg前後に抑えられている。

このほか、朝イチで白湯を飲み、朝日を浴びて体内時計を整え、昼間に時間が取れたら15分ほどの短い昼寝で午後の英気を養う。

心臓

寝過ぎは禁物。15分が夜の睡眠にも影響しないちょうどいい時間。

「あと醬油とソースは50%減塩タイプを愛用しています。調味料を替えるのが減塩のはじめの一歩です」(大島医師)

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「家庭血圧」の測定を毎朝実行。

正確な知識を得ることで心臓を守る行動変容へ|別府浩毅医師の場合。

教えてくれた人

別府浩毅(べっぷ・こうき)/京都大学附属病院、三菱京都病院などで循環器内科、糖尿病を専門とし15年の勤務を経て独立開業。「患者とともに歩む医療」をテーマに掲げ、投薬や高度医療と並び、生活習慣改善も重点的に指導。

心臓病対策の一丁目一番地は、食事の改善にある。そう考える別府医師の食生活は、心臓が泣いて喜ぶような理想的な内容だ。

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朝は納豆+卵黄+亜麻仁油で上質なタンパク質と脂質を補う。

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ドレッシングで味変を楽しむ。

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「夕食は普通ですよ」と話す別府先生。刺し身や魚料理が定番で、やはりタンパク質リッチなメニュー。

「朝食は納豆のみ。そこへ卵の黄身を落とし、多価不飽和脂肪酸が多い亜麻仁油を垂らします。昼食は妻が作ってくれるお弁当。刻んだ野菜とレンジでチンした鶏ささみが入っています。夕飯も妻の手料理を食べます。おかずは鶏肉かお刺し身が多くて、ご飯は仏壇に供える器(仏食器)に乗るくらいの少量に留めます。外食はお付き合いで月1回程度。お酒もほとんど飲みません」(別府医師)

ストイックで患者には薦めないが、昔はここまで厳しくなかったとか。

「糖質過多の食事で糖尿病になると病気のデパートになり、必然的に心臓にも悪い。そうした知識が身につくと、自然と大盛りのご飯やラーメンなどを避け、食材を選んで食べるようになりました。正しい知識を得ることが、悪い生活習慣を変える行動変容へ導いてくれるのです」(別府医師)

運動はジムでトレッドミル30分+筋トレ10分を週3回。ん? 10分っていくら何でも短すぎませんか。

「筋トレ、苦手なんですよ(笑)。でも必要なのはわかっているので、我慢して10分だけやっています」(別府医師)

取材・文/井上健二 イラストレーション/森 拓馬 取材協力・監修/野田泰永(サクラクリニック理事長)、別府浩毅(べっぷ内科クリニック理事長)、大島一太(大島医院院長、東京医科大学八王子医療センター循環器内科兼任講師)

初出『Tarzan』No.886・2024年8月22日発売

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