6年かけて徒歩で日本一周。よこみーさんは、人生に絶望して歩き始めた
ウォーキングをする理由は十人十色。ダイエットや運動不足だけが目的じゃない。なぜ歩くのか? 歩くことに何かを見出しているという人たちにその理由や歩き方を聞いてみた。奥深さや楽しみを知れば、もっと長く、もっと頻繁にウォーキングに出かけたくなるはず。今回は元旅人・よこみーさんが6年かけて成し遂げた「徒歩での日本一周」について。
取材・文/石飛カノ 写真提供/よこみー
初出『Tarzan』No.866・2023年10月5日発売
絶望から歩き始めて、ゴールしたときは 希望だらけでした
日本一周しました!という人は世の中に何人かいる。でも、その移動手段が徒歩となるとかなり人数は絞られる。
横田拓未さん、通称“よこみー”さんはその稀なひとり。2015年に沖縄をスタートし、6年かけて東京都庁でゴールした。
「大学在学中は将来起業したいと思ってたんです。でも人間関係やお金のトラブルがあって、卒業したときは一文なしで人生の夢も希望もありませんでした。
そんなとき友達に沖縄から北海道まで歩いて行こうと誘われて。その友達は途中で飛行機で帰っちゃったんですけど、僕は最後まで成し遂げようと沖縄でアルバイトをして歩き始めました」
毎日歩く時間は15〜16時間で距離にして30km。一番歩いたときで40時間歩き続けたことも。
「お花見シーズンの広島で、野宿しようと思っていたあずまやが花見客でいっぱいだったんです。結局、寝ずに海を渡って愛媛県で寝ました(笑)」
毎日それだけ歩いているうちに、下半身の形が変わってきたという。
「お尻の上にさらに一段お尻ができて、脛が出っ張ってふくらはぎが前についた感じになりました」
過酷なウォークで中臀筋と前脛骨筋が発達したと思われる。ヒトのカラダってすごい…。
「旅の途中で今勤めている会社の経営者に出会ったり、理解ある奥さんも見つかりました。ゴールしたときは次はどうしようかな、どこを目指して生きようかな、とすごくワクワクしたことを覚えています。もう希望しかなかったですね」