消化を助ける「山椒」を使った、サグカレーとラッシー。| 6月のハーブ・山椒

富士吉田を拠点とする〈ハーブスタンド〉にとって、山椒は「土地に根ざしたハーブ」と、主宰の平野優太さんは言います。森の山椒は複雑な味わいを持ち、木それぞれに特徴があるそう。身近な植物の可能性を探る連載「ワンモア・ハーブ」第20回は、山椒について。

text: Toshiya Muraoka photo: Nathalie Cantacuzino supervisor: Yuta Hirano, Shiori Kitayama(HERBSTAND) recipe: Takumi Abe

山椒

富士吉田に移住してきて、とても感動した食文化のひとつが、山椒おにぎりでした。この地域では4月下旬から5月上旬のおよそ2週間に、新芽を収穫します。さっと湯掻いて、冷凍で保存し、おにぎりや卵焼きに入れて食べる。その美味しさは土地の豊かさを表しているようです。吉田うどんの薬味として知られる「すりだね」も、この周辺で山椒が多く採れるから生まれたもの。山椒を日常的に食べる文化が根付いています。

移植を嫌う植物ですが、葉を落とした冬に、山から自分の家の庭に山椒をおろして植える人もいます。街中に誰が摘んでもいい、みんなの山椒と呼ばれる木があったりして、まさに富士吉田の土地に根ざしたハーブなんです。

朝倉山椒、ぶどう山椒など、いくつも種類があるのですが、自然交配する植物なので、森に自生する山椒は個体差が大きいです。その土地の特性が味にも影響する、いわゆるテロワールももちろんあります。僕も山の山椒を畑に植えた経験がありますが、そうすると味が変わりました。やっぱり森の山椒はひと味違う。単一の品種にはない複雑さが、天然の山椒の醍醐味と言えるかもしれません。

こんなふうに使ってみるのはどう?

●「食べる」
山椒サグカレー

ー材料ー

山椒の葉 お好みの量
小松菜 2束
米油 60g
ニンニク 1かけ
玉ねぎ 1個
生姜 1かけ
鶏もも肉 1枚
トマトピューレ 50g
牛乳 100g
水 200g
塩 5〜10g
クミン、山椒、コリアンダー(すべてホールで)5gずつ
カイエン、山椒、コリアンダー(すべてパウダーで)お好みの量

ー作り方ー

今回のサグは小松菜を使う。サッと茹でる。電子レンジでもOK。

茹で上がった小松菜に牛乳と山椒をあわせて、ピューレ状になるまでミキサーにかける。

ホールのスパイス類を炒めて、油に香りを移していく。

玉ねぎ、生姜、ニンニクはみじん切りにして加える。

一口大に切った鶏肉、追加のパウダースパイス、ナンプラー、トマトピューレを入れて10分ほど煮込む。

最後に小松菜と山椒のピューレを加え、味を整えて完成。

「サグ」とは、青菜全般のことを指しますが、今回は比較的クセのない小松菜を使って、山椒を引き立てるサグカレーを作ります。山椒がメインのカレーなので、スパイスはそれほど多くは使いません。試行錯誤の結果、山椒と特に相性が良いと思ったのは、コリアンダーシードでした。香りの系統が似ているからでしょう。辛味を加えるためにレッドペッパーも使います。山椒は、中国の花椒のような力強い華やかさとはまた異なり、清涼感のある繊細な香りが特徴です。すっと抜ける爽やかな余韻が、どこか和の趣を感じさせる上品なカレーに仕上げてくれます。

●「飲む」
山椒ラッシー

―材料―(1杯分)

山椒木の芽or葉山椒 3g
ヨーグルト 60g
牛乳 100ml
砂糖 8g

ヨーグルトに山椒、牛乳、砂糖を加える。

ミキサーにかけて完成。

カレーやエスニック系の料理と合わせるイメージで、山椒ラッシーを作ります。山椒は消化を助ける作用があるので、辛いものや脂っこいものとの相性がとても良いんです。木の芽でも葉山椒でもどちらでも構いません。枝部分を取り除いて、材料を全てミキサーにかけ、氷の入ったグラスに注ぐだけ。これから暑くなる季節に向けて、とても清涼感のあるラッシーです。

6月のハーブスタンドの様子

6月に入り、スグリの実やエルダーフラワー、ラベンダーなど、畑のハーブたちの収穫が始まりました。花や実が次々と表情を変えていくこの季節は、畑に立つ時間そのものがとても豊かで、毎年楽しみにしている時期です。