火山と温泉をめぐる日帰り冒険登山|6月の山・安達太良山

季節によって異なる表情を見せる日本の山。その時期だけに出会える風景や体験を求めて、写真家の根本絵梨子さんに毎月おすすめの山と、その歩き方を教えてもらいます。

interview, text: Yuriko Kobayashi photo: Eriko Nemoto

  • landscape_pattern1
  • portrait_pattern2
  • landscape_pattern8
  • landscape_pattern4
  • portrait_pattern2
  • portrait_pattern7
  • landscape_pattern1

今月の山 安達太良山
あだたらやま
| 福島県

標高/1,700m(安達太良山)

おすすめコース

沼尻登山口(2時間35分)鉄山避難小屋(35分)矢筈森(20分)安達太良山(35分)船明神山(2時間)沼尻登山口
歩行時間計:6時間5分

活火山が見せてくれる、強く、美しい大地の色。

6月は爽やかな初夏というイメージですが、近年は気温の上昇スピードが早いため、関東近郊の低山はすでに暑く、丹沢などではヒルの心配も出てきます。山に登りたい気持ちは膨らむのに、ちょうどいい山が思いつかない……。6月はそんな、少し難しい季節です。

あれこれと思い悩んだ末、思いついたのが福島県の安達太良山。日本屈指の紅葉が見られる名山ということで、秋に足を運ぶ人が多い山ですが、6月には雪も解けていて、関東に比べると随分と涼しい。これはこの時季にうってつけだということで、友人を誘って日帰り登山に出かけたのでした。

活火山の安達太良山は、山頂や周辺の山から迫力ある火口を見ることができます。安達太良山だけを登るなら、「あだたら山ロープウェイ」を使って標高1,350mの8合目付近まで上がり、コンパクトに登山を楽しむことができます。でも、どうせ行くなら火山らしいダイナミックな景観を満喫したい。それで、少し歩行時間は長くなりますが、火口をぐるりと一周できる周回コースを選びました。

沼尻登山口から最初の山頂である鉄山までは、硫黄川という温泉の川に沿って登っていきます。安達太良山の火口付近から流れ出る源泉を、登山口周辺にある温泉街まで運ぶパイプが造られていて、ほんのりと硫黄の香りがします。街へと下る温泉に逆行するように登っていくのは、温泉の旅をなぞるよう。噴火によって運ばれた大きな岩がゴロゴロしていて、アスレチック気分で歩くのも、ワクワクします。

鉄山の山頂からは火口の周りを歩く「お鉢巡り」。赤茶けた山肌、真っ白な火口、ところどころ見える緑。まるで他の惑星に来たような感覚になります。夏の北アルプスなどでは色とりどりの高山植物の色に圧倒されますが、火山にはまた違った色のレイヤーがあって、とても綺麗。それは、気が遠くなるような年月をかけて生まれた「大地がつくる色」のようで、歩くたびに新しい色を発見しては、写真に収めます。

下山後には麓の中ノ沢温泉の湯に浸かって、疲れた体を癒やします。ただでさえ気持ちのいい温泉ですが、この湯が今日歩いたあの山から流れてきているのかと思うと、改めて自然のすごさ、ありがたさを感じるのです。

活火山エリアであることを忘れず、万全の準備を。

安達太良山は現在も活動を続ける活火山。沼ノ平と呼ばれる火口周辺はダイナミックな景観が魅力ですが、有毒な火山ガスが発生しているので、登山前には火山活動レベルなどを確認しておきたい。

火口周辺を歩くお鉢巡りのルート上には木々が少なく、風を遮るものがほとんどないため、晴れた日でも強風が吹くことも。しっかりとした防風、防寒対策を。特に6月は急な雨になることが多いので、山麓が晴れていても必ず雨具を携帯すること。

沼尻登山口から火口を周回する今回のルートは歩行時間が長いので、体力に不安がある場合は二本松側から入山し、ロープウェイを利用するといい。安達太良山近くにある山小屋〈くろがね小屋〉は現在休業中。周辺には避難小屋しかないので、山中で一泊する際には注意が必要。麓の中ノ沢温泉に前泊して歩くと安心だ。

おすすめスポット情報

おでん おばこ
JR 郡山駅前にある昔ながらの居酒屋。毎日日替わりで仕込まれたおでんをカウンターで楽しめる。地元の人に人気の店で、ローカル気分を味わえるのもいい。
福島県郡山市大町1-2-8
024-933-5657

中ノ沢温泉
古くから湯治場として栄えた温泉地で、パワフルな強酸性の湯は「美肌の湯」として名高い。日帰り温泉を楽しめる施設も多いので、下山後に立ち寄ってリフレッシュを。
https://www.bandaisan.or.jp/tag/nakanosawa_onsen/

小西食堂
中ノ沢温泉街にある大衆食堂。店主はこの地域で古くから作られている「中ノ沢こけし」のコレクターで、店内は小さな博物館のよう。店の前には「こけし自動販売機」もあり、こけし好きにはたまらない空間。
https://www.instagram.com/konishisyokudou1937/
福島県耶麻郡猪苗代町蚕養沼尻山甲2855-145
0242-64-3128