大迫傑さん直伝・マラソンデビューに向けた心構え。
日本記録を更新したばかりの大迫傑さん。走ることが日常化してきた読者に向け、マラソンデビューのコツを教えてください!
取材・文/内坂庸夫
初出『Tarzan』No.920・2026年2月26日発売

Profile
大迫傑(おおさこ・すぐる)/プロランナー。佐久長聖高校、早稲田大学出身。3000m、5000m、そしてマラソン、この3つの日本記録を持つ日本陸上競技の大レジェンド。特に34歳にしてマラソン日本記録を塗り替えたことは多くの陸上関係者を驚愕させている。
大迫さんの3つの日本記録。
1回目|日本人初の2時間6分切りを達成。
【大会】シカゴマラソン
【日時】2018年10月7日
【タイム】2時間05分50秒
2回目|自身の記録を21秒更新。
【大会】東京マラソン
【日時】2020年3月1日
【タイム】2時間05分29秒
3回目|鈴木健吾選手の記録(2時間04分56秒)を1秒更新。
【大会】バレンシアマラソン
【日時】2025年12月7日
【タイム】2時間04分55秒
自分の成長度合いがタイムに出る。だからマラソンはおもしろい!
走ることが少しずつ日常になってきたなら、次のステップとして「マラソンに挑戦してみる」のはどうでしょうか。
そして、指導は昨年12月にバレンシアマラソンで日本記録を更新した大迫傑さん。世界のトップを走る彼が、マラソンを走るために、4時間を切りたいという読者レベルに合わせて、大切なことを教えてくれました。
人によって違いはあるだろうけど、この大迫メソッドであなたは4時間切りにかなり近づけるかも。
ランニングの日常化。仲間を見つける。
仮に来年の『東京マラソン』出場としましょうか。漠然と“完走”ではなく、目標タイムを、たとえば4時間切り、あるいは4時間ジャストなどと、決めましょう。
「すべてのランナーに適合する練習メニューなど存在しないので、おおまかな説明になりますが、最初の3か月から半年は走りの習慣化です。少しずつ月間合計距離を延ばしたり、ランニングサークルに入って仲間を見つけるなど、走ることを普通にしましょう」(大迫傑さん)
どんなスケジュールで走ればいいでしょう?
「平日は1〜2日くらいはジョグで、週末にサークル仲間と長い距離を走るなど、三食のごはんと同じように、走ることを日常にしてゆきます。走ることに慣れてきたら、2〜3か月に1回くらいハーフマラソンに出場しましょう。目の前に目指すものがあると、モチベーションが高まります」
まずはハーフマラソン。そして目標ペース。
「仮にマラソンの目標タイムが4時間ジャストなら、それから15分を引いて、半分にしたものがハーフの目標タイムです。つまり1時間52分ちょい。ここで目指すペースがわかります、キロ5分19秒になります。目標が4時間30分ならキロ6分2秒です。まずは目指すハーフをそのペースで走れるように練習すればいいのですが、無理はいけません。少しずつ積み上げていきましょう。練習量は週に10〜20%アップが目安。リカバリー(カラダの回復)ができているかどうか確認して、そのつど調整します」
疲れ、痛みなど足と脚のケアはどうしたらいいでしょう?
「足と脚も大事ですが、それを動かすのは股関節で、それにはお尻の筋肉が大きく関わっています。きちんとしたマッサージやストレッチを定期的に、ランニングを理解しているプロ(マッサージ、鍼、整体など)にお願いするのがいいでしょう。睡眠や栄養などを気遣うのは当然として、風呂に入ってカラダを温め、筋肉をほぐして眠ることも大事です」
ときにはやる気の起きない日もあると思うのですが?
「モチベーションを保つには? とよく聞かれますが、走れば目標に近づくし、走らなければ遠ざかるだけ。目標があるなら“やる気”うんぬんは無意味でしょう」
「カラダの声」は聞いた方がいいのでしょうか?
「カラダの声、痛みや倦怠感は主観的な信号です。走っていいかどうかは、第三者(ランナー仲間とか)の客観的な意見や、過去に“翌日にどんな影響が出たか”の自己体験からの判断も大事です。マラソンは日々の自分をマネージメントし、走りを積み重ねてゆくもの。練習や大会タイムの比較で、自分の成長度合いを見ることができると、よりマラソンの楽しさに気づけると思います」
マラソンを走るための8つのキーワード。

マラソンを走るには「目標タイム」を決め、「ペース」を知ればいい。あとはそのペースで走れるようになればいい。走って、カラダをケアして、の繰り返しです。あなたにもできます。

