酒席で楽しく・正しく飲むための5か条。

酒は百薬の長という諺もあるが、肝腎膵へ最も負担をかける因子であることは確実。どうせ飲むなら、正しく楽しく飲もう。

取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 イラストレーション/Motiejus Vaura、松本セイジ 取材協力/川口 巧(久留米大学医学部主任教授)、栗原 毅(栗原クリニック東京・日本橋院長)、川村哲也(東京慈恵会医科大学客員教授)、高取優二(埼友クリニック外来部長)、伊佐地秀司(ヨナハ丘の上病院理事長)、糸井隆夫(東京医科大学主任教授) 料理・レシピ製作/河村玲子 編集/星野“cap”徹

初出『Tarzan』No.916・2025年12月11日発売

正しいアルコールとおつまみの選び方_楽しくお酒を飲む女性2人のイラスト

肝臓・腎臓・膵臓を守る! 正しい酒との付き合い方。

いくら脂肪肝の原因で甘いものが注目されようと、飲酒が肝臓に負担を強いる事実は変わらない。また、アルコールの利尿作用で脱水が起こると血液がドロドロになって腎臓に負荷がかかる。さらに、飲酒自体が膵臓の働きを低下させることも分かっている。

3つの臓器をいたわるためには、正しいアルコールの飲み方とつまみの食べ方を学ばないわけにはいかないということ。いつまでも健康で飲み続けるために、学ぶだけでなくお作法も身につけるべし。

休肝日は週2よりも週3

お酒を明るく断る男性のイラスト

飲酒の頻度と摂取量のマイルールをきっちり決める。順守さえすれば悪魔の誘惑にも屈しないはず。

週2回の休肝日を設けていたら、周囲から称賛される? 確かに毎日飲む人に比べれば、それは良い習慣。でも、もう一歩進んだより良い習慣を目指すなら、休肝日は週2日より週3日。

「私たちの研究結果では週3日の休肝日を設けている人は肝臓の障害が少ないことが分かりました。1日の純アルコール摂取量は20gです」(久留米大学医学部内科学講座消化器内科専門主任教授・川口巧さん)

「週2回の休肝日を設け、1週間の純アルコール摂取量が合計150g未満なら膵炎のリスクは大幅に低下します」(東京医科大学消化器内科学分野主任教授・糸井隆夫さん)

ちなみに純アルコール20gはビールロング缶1本、日本酒1合、ワイングラス2杯弱。

飲酒の頻度と摂取量のマイルールをきっちり決める。順守さえすれば悪魔の誘惑にも屈しないはず。

飲酒パターンと死亡率の関係

飲酒と死亡率の関係グラフ

1週間当たり300g以上の純アルコールを飲む大量飲酒者の場合、休肝日なしの人の死亡率は休肝日3日以上の人より明らかに高い。

国立がん研究センター多目的コホート研究(American Journal of Epidemiology 2007年)

外飲みより家飲み。ただしダラダラ飲みは禁止。

外で飲むか家で飲むか、この2択でいえば家飲みの方がカラダに優しい。理由は飲むものも食べるものも自己管理がしやすいから。

「外飲みではお酒が進むようつまみの塩分は高めだし、会話に夢中になるとどれだけ飲んだか分からなくなったり、相手につられて飲みすぎることも」(埼友クリニック外来部長・高取優二さん)

「ただし、家飲みでも朝から飲みっぱなしというダラダラ飲みは厳禁。慢性膵炎や膵臓がんのリスクになります」(ヨナハ丘の上病院理事長・伊佐地秀司さん)

2時間なら2時間と時間を決める、または飲む量を決めて飲み終わったら潔く切り上げるのがコツ。

町中華より居酒屋で飲むべし。

居酒屋で楽しく飲む女性二人のイラスト

酒席は居酒屋、つまみはタンパク質や野菜がメイン。適量のお酒を楽しもう。

酒席で食をメインにするのか酒をメインにするのか、それが問題。

「食べながら飲む人と飲みがメインでちょっとつまむ人がいたとして、肝臓にとってより悪いのは前者のケース。アルコールだけでも脂肪肝のリスクは増えますが、さらに胃酸が出て消化吸収が良くなった状態で食事をたくさん食べたら、ますます脂肪肝のリスクが上がります」(栗原クリニック東京・日本橋医院長・栗原毅さん)

食べすぎないためには、どこで飲むのか、店選びもとても重要。餃子や麺類など糖質の多いメニューが豊富な町中華よりつまみメインの居酒屋がベター。

飲む順番は度数の低いお酒から。

最初の一杯から焼酎のロック。一見、男前だが肝臓にとってはかなり迷惑な飲み方。

「アルコールは度数が高いものほど吸収が速いという性質があります。アルコール度数5%のビールより40度のウィスキーの方が速く吸収され、その分肝臓に大きな負担がかかります」(栗原さん)

最初の乾杯はビールやワインなど度数の低いものから。焼酎やウィスキーのロックは適度につまみを口にした後、少量ずつ嗜むのが基本。ちなみに、炭酸が含まれるハイボールやサワー、熱燗など温かい酒も吸収が速いので要注意。

水は前後に飲むよりつど飲むこと。

お酒を飲むグラスの横にチェイサーのイラスト

ワインや日本酒を飲むときもチェイサーは必須。度数の高い蒸留酒を飲むときももちろん必須。

飲む前と飲んだ後に1杯の水を飲む。なんとなくカラダに良さげだが、それでは甘すぎる。基本的に水は飲んだ酒と同量、そのつど飲むことで肝臓と腎臓に余計な負担をかけにくくなる。

「アルコールの利尿作用によって脱水症状が起こると肝臓のパフォーマンスも低下し、アルコールの分解が滞ります。チェイサーの水は飲んでいるときに必ず飲むのが鉄則です」(栗原さん)

「アルコール度数が14度のお酒を飲むときに同量の水を飲んだらアルコール度数は7%になるイメージ。酔いにくくなりますし飲酒による脱水も防げるので水はそのつど飲みましょう」(高取さん)

つまみ対決どっちがいいでSHOW!
  • チョコ VS ポテチ

チョコはカカオ70%以上のものであれば抗酸化作用が期待できる。さらに少量で満足できる。一方、ポテチは塩分が多くやめられない無限地獄。チョコの勝利。

  • レバー VS きのこホイル蒸し

鉄の過剰摂取は肝臓に炎症を引き起こす可能性あり。肝機能が弱っている人はレバーよりナイアシン豊富で糖質代謝を助けてくれるきのこ類を。きのこホイル蒸しの勝利。

  • フライドポテト VS 鶏の唐揚げ

フライドポテトのポテトは糖質食品。鶏の唐揚げの鶏肉は言うまでもなくタンパク質。同じ揚げ物なら筋肉を維持して脂肪肝を防ぐタンパク質を。 鶏の唐揚げの勝利。

  • フルーツ盛り合わせ VS チーズ盛り合わせ

ワインを飲んでいるときに大きなお皿に盛られたチーズとフルーツが出てきたら迷わず前者を選択。理由はフルーツの果糖が脂肪肝を招くから。チーズ盛り合わせの勝利。

  • イカの塩辛 VS キャビア

メーカーにもよるがイカの塩辛の塩分は100g中5〜十数g、キャビアのそれは3〜4gと少なめ。魚卵のオメガ3脂肪酸の血液サラサラ効果にも期待大。キャビアの勝利。

  • 大根サラダ VS オニオンサラダ

玉ネギに含まれるケルセチンという物質は老化細胞を除去する効果が期待されている。アンチエイジング効果ですべての臓器にメリットあり。オニオンサラダの勝利。

  • おでんの具|はんぺん VS 卵 VS 大根

腎臓第一主義でいうと1位は植物性でリンが少ない大根、2位は良質なタンパク質食材の卵、3位が塩分が少々多い練り物のはんぺん。大根の勝利。