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合わせだしラーメンをすすりながら、坂本美雨さんと“ダメな大人”を知ることの大切さを考える。|麻生要一郎のテーブル・トーク

料理家・麻生要一郎さんは、人を招いてテーブルを囲むのが大好き。気心知れた友人から、会ってみたかったあの人まで。「テーブル・トーク」ではさまざまなゲストを招いて手料理を楽しむ時間を音声と写真でドキュメントします。第8回は、ミュージシャンの坂本美雨さんをお招きしました。

取材・文/平岩壮悟 撮影/表萌々花 ポッドキャスト録音・編集/浜本壮大 

ここは料理家・麻生要一郎さんの自宅。悩める若者から酸いも甘いも知るアーティストの先輩、旧知の仲から初めましての人まで、夜な夜な一癖も二癖もある人たちが円卓を囲み、麻生さんの手料理をほおばりながら日々のあれこれを語り合います。

この日、麻生さんが自宅に招いたのはミュージシャンの坂本美雨さん。麻生さんとは猫好きの同士で旅仲間、麻生家で食事を囲む集まりの初期メンバーにして大常連です。そして今回はもうひとりの常連、坂本さんの娘である”なまこさん”もテーブルを囲みました。

テーブルゲスト

坂本美雨(さかもと・みう)/1980年生まれ。ミュージシャン。1997年、「Ryuichi Sakamoto feat. Sister M」名義で歌手デビュー。音楽活動に加え、執筆活動、ナレーション、演劇など表現の幅を広げている。TOKYO FM他全国ネットの『坂本美雨のディアフレンズ』のパーソナリティを2011年より担当。2024年4月NHK Eテレ『日曜美術館』の司会に就任。李相日監督作品 映画『国宝』主題歌「Luminance」の作詞を担当。最新作は坂本美雨×原 摩利彦 「Resonant Tales」。

坂本さんから麻生さんへ。料理のリクエスト

要一郎お母さん

いつも美味しいご飯を本当にありがとう。

要一郎さんの家は、いつも「ただいま」と駆け込めば安全と思える場所です。いつも一番だらだらした自分を出してしまって、本当の子どもみたいだなと思っています。

娘が娘を連れて、家に押しかけてくるのは、本当にめんどくさいですよね。でも要一郎さんのおかげで「今日も生き延びたな」という日がたくさんあります。

いつもご飯で、ハグで、くだらないことで笑う時間で、ときには何も言わずに、微笑んでくれるというそれだけで、助けてくれてどうもありがとう。

要一郎さんの唐揚げで育っているうちの娘だけれど、今回は彼女が愛しているもうひとつのメニュー、「ラーメン」をリクエストします。

坂本美雨

坂本さんが仕事現場に子どもを連れていく理由から、麻生さんの執筆ルーティン、ふたりにとって忘れえぬ旅となった北海道旅行まで。合わせだしラーメンをすすりながら交わさせた坂本さんと麻生さんの「テーブル・トーク」の模様はこちらから。

麻生さんによる手描きの献立。

8人分のラーメンを同時に仕上げるという、異様な緊張感が漂う厨房のなかで麺が茹で上げられる。

ラーメンの盛りつけから配膳までテキパキと手伝うなまこさん。食器の収納場所もすべて把握しているのだそう。

1ヶ月に3回ほど麻生家を訪れるという坂本美雨さんとなまこさん。あたかも実家のような和やかな空気が漂う。

白菜の浅漬け、パクチーを盛りつけた水ぎょうざ、きゅうりとトマトのサラダがラーメンの周りを彩る。食べ始めると、丼はあっという間にからっぽに。

子どもの頃は、母親の仕事現場によく付いていっていたという坂本さん。今は娘のなまこさんを積極的に仕事の現場へ連れていく。

美雨ちゃんと、なまこちゃんへ。

テーブルトークへのご出演、本当にありがとうございました。

いつもは次から次へと話題の尽きない賑やかな食卓だけど、こうして改めて向かい合うと、お互いが聞き役だったなあと、誰かの顔を次々に思い浮かべるのでした。

お互いの沈黙を、共有できること。

出会った当時の僕は、姉妹の介護が始まり、一番不安な時期だった。家を空けられなくて、誰にも会えない中、美雨ちゃんだけがいつも待っていてくれた気がします。

予定を決める事ができない僕の状況をよく理解して、例え会えなかったとしても諦めずに、だからと言って、負担にならないように、さらっとまた誘ってくれる様子。

それは美雨ちゃんがこれまでの人生、たくさんの人と関わり、様々な経験を積み重ねながら、心の中で捏ねて温めて育てた、潰えることのない愛なのだろうと思っています。

仕事への取り組み、ガザの人々へ思いを寄せる様子、猫に関わること、様々なライフワーク、包み込むようなその歌声を感じながら。

介護をしていた頃は、まだ小さかった、なまこちゃんのきらきらした生命力にも救われた。二人がいなかったら、僕はもっと深いところへ静かに沈んでいってしまったかも知れない。改めて本当にありがとう。

今はうちに来ると真っ先に台所に来て、料理を手伝ってくれるなまこちゃん。今回もラーメン作りを手伝ってくれて、一緒に食べた事、とても嬉しかったし心強かった。また、一緒に作ろうね!

2人に伝えたい事は尽きないけど、これからも長い人生引き続きよろしくお願いします!

麻生要一郎

本日の一品:合わせだしラーメンのつくりかた

―材料(4人前)―

・ラーメン 4玉
・ラーメンスープの素(醤油味) 2袋
・焼豚 4枚
・味玉 4個(茹で卵をめんつゆと水を1:3で割ったもので半日漬け込む)
・メンマ 適量
・ワカメ 適量
・なると 4枚
・ねぎ(小口切) 適量
・スープのだし
・キクラゲ 適量(キクラゲを水で戻して、醤油、味醂、酒、砂糖とひたひたの水で、甘辛く煮る。キクラゲはなまこちゃんの好物)

A 鶏だし
・水 1500ml
・手羽先 400g
・ねぎ(青い部分) 2本分
・玉ねぎ 1/2個
鍋に水と野菜を入れてから火にかけて、沸騰してきたら手羽先を加え、灰汁をとりながら30分ほど煮込んでザルで濾したら完成(手羽先は蒸し鶏として)。

B 魚介だし
・水 1500ml
・削り節 75g
・煮干し 30g
・昆布 20g
・干し椎茸 5個
鍋に水と昆布、煮干しを合わせて20分おき、中火にかける。湧いてきたら、かつお節を全て加える。再沸騰したら弱火にして10分程煮込んで濾したら完成。

手順

1.具材を盛り付けやすいように、焼き豚(1枚ずつスライス)、味玉、メンマ、わかめ(食べやすい大きさに切り分ける)、なると(1枚ずつスライス)を準備する。丼をお湯であたためておく。

2.鍋にお湯を沸かし、麺を表記通りに茹でて水を切り、温めるための湯を捨てた丼に入れる。

3.そこへスープの素を入れたら、鶏だしと魚介出しのスープを半量ずつブレンドしながら丼に注いで味を整え(スープの素はお好みで加減)、スープの中で麺をほぐしておく。

4.彩りよく具材を盛り付けたら、完成。伸びないうちに召し上がれ!

ポッドキャスト出演

麻生要一郎
坂本美雨
井手裕介(Tarzan Webプロデューサー)
平岩壮悟(Tarzan Webライター)

ポッドキャストスタッフ

ジングル・BGM:田中堅大
編集:浜本壮大